原作は、第2回大藪春彦新人賞を受賞した西尾潤による同名小説(徳間文庫)。貧困の中で闇ビジネスに手を染めざるを得なかった若者3人の“3日間”の出来事を3人それぞれの視点を交差させながら描く。岩井俊二監督のもとで長年助監督を務めた永田琴がメガホンを取り、社会的テーマを織り込みながら、3人の運命と友情をリアルに浮かび上がらせる。
映像は3章構成で展開される。CHAPTER1<物語について>では、北村が「この映画で一番描かれているのは、“生きる”を託すということと、その意味」と語り、作品の根底にあるメッセージを示す。
続くCHAPTER2<役者3世代のバトン>では、林が「タクヤでもあり、匠海くんでもある彼に強くひかれ、せりふがせりふでなくなる瞬間があった」と振り返り、
北村も「リアルな時間を流すため、“せりふではない会話”を多く取り入れた。全シーンがアドリブのように感じられる瞬間もあった」と語る。
さらに綾野は「マモルやタクヤ、梶谷がそれぞれ“いい男”として生き抜く姿が、最後に残ればいい」と言葉を添え、3人が役を“演じる”のではなく“共に生きた”ことを物語るコメントが並ぶ。
締めくくりのCHAPTER3<今伝えたいこと>では、綾野が「タクヤ、マモル、梶谷の3人がどう時間を生き、その先をどう生きていくのか」と語り、林は「なんとしても生きようとする3人の姿なのか、心の穴を埋めようとする生き方なのか――受け取ったものを大切に感じてもらえたら」と続ける。
そして北村は、「誰しもが愚か者の側面を持っていると思う」としながら、「認めた上で、俺らは愚か者でも生きるんだっていう。彼らが生きる輝きを、一人でも二人でもいいから誰かが肯定してほしい」と語った。
映像の最後には、tuki.が歌う主題歌「人生讃歌」にのせてクランクアップの瞬間も収録。「生まれ変わるんだ。」というメッセージが静かに響き、タクヤとマモル、タクヤと梶谷、それぞれの距離感の中で、兄弟のような絆や、互いを思いやる優しさの余韻が残る映像となっている。