■「可愛い子が可愛いものを」「私はそうでないものを」と勝手に役割分担していた子ども時代
――「可愛いものは似合わない」と信じていた/ピンクやスカートを避けていたというツイートに多くの反響がありました。実際にコメントや反応をご覧になって、どのようなお気持ちになりましたか?
「『私にかけてくれた言葉を、あなた自身にもかけてあげて』と思いました。 この投稿のコメント欄を見ていると『人間てこんなに温かいのか』と思える言葉で溢れています。 だけどこんなにも反響を呼んだ裏には、それぞれ思い当たる節があったからなのでは?と思って。 コメントを残してくれた方も、投稿を読んで心の中でコメントしてくれた方も。 あなたが私にかけてくれたその優しい言葉を、自分にもかけてあげてね。と思いました」
――その感覚のなかで、ぬいぐるみを「欲しい」と感じたこと自体に、葛藤や戸惑いもあったのではないかと思います。友達に冗談っぽく伝えたり、すぐに買えなかった当時の気持ちを、今振り返ってどのように感じますか?
「『うんうん、視野が狭いね、可愛い』と思っています」
――「可愛いものは自分には似合わない」と、ご自身ではなぜそう思っていたのでしょうか?トラウマなど、何かきっかけになったエピソードがあれば、その感覚とどのように付き合っていたかも踏まえて教えてください。
「写真を見てもらうと分かる通り、いわゆる「可愛い」顔のタイプではなくて。
――ぬいぐるみを買えたことが「自分に優しくできるようになった」きっかけになったとのことですが、その後、ご自身の中で何か変わった行動や、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
「これ以降、髪を伸ばし始めました。色付きリップも初めて買いましたね。これらがずっとしたかった、というよりかは、この件以降「したい」という感情が“見えるようになった”感じでしょうか」
■「好き」が“見える”ようになった今…過去のおかげで「人の苦しみ が“分かる”ように」
――今は、“可愛いもの”や“自分の好き”と、どんなふうに付き合っていますか? 昔と比べて変わったなと感じる瞬間があれば、ぜひ教えてください。
「前は「好き」も見えなかったんですよ。だって、「好き」なのに「できない」って状態はストレスが溜まるじゃないですか。なのでその「好き」すら見えなくしていたんです、頭が勝手に。だけど今は、もうSNSで何万人というフォロワーさんに向け「好きなもの」を発信する側です。「これ最高!」「やばい!」「ジャジャーン」って。
――今のご自身から、当時「私は可愛いものを選んじゃいけない」と感じていた自分に何か声をかけられるとしたら、どんな言葉をかけてあげたいですか?
「声はかけないです。これは、賛否両論だと思うけれど、私はやっぱり「悩んで、苦しんで」と思います。この苦しみのおかげで、私は人の苦しみが分かるようになりました。たくさん悩んだおかげで、美容という大好きすぎるものを見つけ、発信を通して多くの人が「ありがとう」って言えるようなものを創れるようになりました。だから「悩まないで。そんなことないよ」とかは言いません。でも、抱きしめてあげます。「あなたは今、とても大事な経験をしているよ」って心で呟きます」
――自分に「こうあるべき」とレッテルを貼ってしまったり、本当の自分を表現できずに悩んでいる方も多いと思います。そんな方に向けて、今のご自身から伝えたいメッセージがあればお願いします。
「『お!悩んでるね!』ですかね。 まず、悩むことは良いことです。 だっておかしすぎません? 何かが苦しくて、嫌で、悩んでるのに、その悩んでることすら「ダメなこと」なんて、×の二重重ねじゃないですか。