俳優・渡辺篤史が案内役を務めるテレビ朝日系の人気番組『渡辺篤史の建もの探訪』(毎週土曜 前4:25)の22日放送は、東西2.7メートル×南北14メートルという細長い形状を生かし、家の中に“場所ごとの表情”をつくり出した住まい東京都に建つ勝田邸を紹介する。

 建物は、正面の出窓がアクセントになる細長い外観で、屋根は東西で角度が異なる切妻を採用。
中央に切り欠きがあり、そこに屋上バルコニーを備える構成だ。玄関から中へ入ると、西側は奥まで見通せる開放的な空間、東側は用途に応じて分節された空間という対照的なつくりになっている。奥行きを際立たせるよう、西面の壁に沿って一直線に伸びる棚兼デスクが造作されている点も特徴だ。

 ロフト階の窓から取り込んだ光を下階へ落とすため、階段は蹴上の無い仕様とし、採光を最大化している。2階も1階と同じく、西側に見通しの良い空間、東側に区切られた空間を配置。壁沿いには1階同様、棚兼デスクが連続して造られている。南端のLDKは正面の出窓に加え、高窓からも光を取り込み、明るさを確保。ダイニングは南側の段差をベンチとして活用し、限られたスペースを無駄なく使う工夫が施されている。ベンチにもなる前面の出窓には十字形の落下防止柵が取り付けられ、アルミサッシの硬質な印象を和らげている。

 2階北側は子どもたちのスペースで、長いカウンターが勉強机として機能する。北端の個室は天井が高く、ロフトへ通じる小窓も設けられており、立体的な広がりを感じられる空間だ。

 建物中央の屋上バルコニーは南北に開口部を設け、光を上下左右へと通す役割を担う。
これにより、南側のLDKはもちろん、暗くなりがちな北側にも自然光が届き、細長い敷地形状を利点に変える設計が随所に表れている。今回の放送では、渡辺ならではの視点で、このユニークな住まいの魅力が紹介される。

竣工:2022年11月
敷地面積:60.1平方メートル(18.2坪)
建築面積:35.9平方メートル(10.9坪)
延床面積:68.2平方メートル(20.6坪)
構造:木造在来工法
設計:阿蘓俊博/アソトシヒロデザインオフィス + 平井直樹/平井直樹建築設計事務所
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