そして、スカーレット役の芦田愛菜が“スカーレットとして”歌い上げる「果てしなき」が物語を締めくくる。16世紀の復讐劇と現代の渋谷、そして対照的な2つの歌。それらはどのように物語の核へとつながっていくのか。細田監督に、現代パートの狙いとキャスティングの裏側を聞いた。
聖が生きていた「現代の日本」は、16世紀の王女スカーレットにとって遥か彼方の未来だ。スカーレットが目にする渋谷は、私たちが知る渋谷とは異なる、どこか異世界のように立ち上がる。
「観ていると急に出て来て驚きますよね(笑)。未来というものは、結局“相対的”なんです。彼女が目にする渋谷は相対化され、私たちが知る現代の渋谷とは少し異なる風景に見えるのではないかと考えました。物語が時空を越えたとき、観客の視点もまた、スカーレットの視点へと引き寄せられる。
渋谷のシーンで流れる「祝祭のうた」の歌詞を《死者の国》にいる聖やスカーレットが口ずさむとまったく異なる意味を帯びる。細田監督はこれも「相対性の演出」だと説明する。
「重要なのは、その歌声が“どう聞こえるか”が状況によって変わることです。エンディング曲は、『芦田愛菜さんの歌』ではなく『スカーレットとして聞こえるか』を意識して歌っていただきました。芦田さんなのか、スカーレットなのか――その境界が溶け合うこともこの作品のテーマに合っていると思ったんです」
スカーレット役に芦田を起用した理由について、監督は「ギャップ」を挙げた。
「芦田さんは一般には『かわいらしい』『利発的』というイメージが強いと思います。復讐と孤独に生きるスカーレットとは真逆ですよね。でも、パブリックイメージに縛られない役を演じることで、本人の表現力がより際立つタイプだと思いました。実際、21歳にして非常に成熟した表現力を持ち、役柄を“広げる力”があると思いました」
エンディング曲の歌唱は当初、必ずしも本人に委ねる予定ではなかったという。しかし録音現場で耳にした歌声は監督の想定を大きく超えた。「スカーレットの感情そのものが宿っていた。
渋谷のシーンと歌は、未来を「相対的に変わるもの」として描くための装置だ。現代の渋谷を知る私たちにとっては当たり前の風景も、スカーレットにとっては異世界に映る。同じ歌詞も、歌われる状況が変わればまったく別の意味を帯びる。未来をどう捉えるのか。それは、スカーレットも、聖も、そしてスクリーンの前に座る観客の皆さんにとっても同じ課題だ。それぞれが立つ場所から、未来を見つめ、迷い、選び続ける。『果てしなきスカーレット』は、そんな“未来”を静かに問いかける作品となっている。
■『果てしなきスカーレット』あらすじ
父の敵への復讐に失敗した王女・スカーレットは、《死者の国》で目を覚ます。ここは、人々が略奪と暴力に明け暮れ、力のない者や傷ついた者は〈虚無〉となり、その存在が消えてしまうという狂気の世界。敵である、父を殺して王位を奪った叔父・クローディアスもまたこの世界にいることを知り、スカーレットは改めて復讐を強く胸に誓う。
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