きょう13日放送のテレビ大阪『ドキュメンタリー7』(前11:00~11:30)は、第33回「ピアノ奏でる移動スーパー~夫婦で届ける小さな幸せ~」を届ける。

 「目立たずとも私たちの生活に貢献している人たち」「社会的に弱い立場の人に寄り添い、一緒に歩む人たち」。
日頃のニュース取材の中で見つけたそんな人々にスポットライトを当てたドキュメンタリー番組。第33回は、全国でも珍しいピアノ演奏付きの移動スーパー「移動商店 とらピ」を夫婦で営む、桃玄(とうげん)義成さんと妻の真実さんに迫る。

 京都府亀岡市内を走る1台のトラック。その正体は「移動スーパー」。そこには新鮮な魚や惣菜、お菓子の数々、多くの商品が並ぶ。最寄りのスーパーは歩くと30分以上かかるため、この地域のお年寄りにとてもありがたい存在となっている。

 約3人に1人が65歳以上という亀岡市で、昨年7月移動スーパーを始めた義成さん・真実さん夫婦。ユニークなのは、プロのピアニストでもある真実さんがトラックの横でピアノを無料で演奏すること。そんな夫婦の活動は、買い物弱者の助けになるだけでなく、地域住民が集まるコミュニティーも生み出している。

 夫婦の活動は公園や集会所だけではない。外出が困難な住民から依頼を受ければ、自宅にまで出向く。さらに、介護施設利用者に向けての音楽会まで活動の幅を広げている。


 義成さんは2020年に京都に移住した際、親しい人の死や別れが重なり精神的に落ち込んでいた時期があった。「自分自身が保てない」そう思ったこともあるという。そんなとき、真実さんと出会った。真実さんの人柄とピアノの音色に勇気づけられ、立ち直ることができた義成さん。入籍を機に、2人にしかできない「移動スーパー」と「ピアノの生演奏」の取り組みを始めた。

 そんな夫婦が、過疎地で商売を続ける難しさに直面する。新しい命を授かった真実さんは、8月は暑さが厳しく、移動スーパーの仕事を控えることに。生演奏がない「とらピ」。夏の暑さで客足が遠のいてしまうが、生計を立てようと一生懸命な義成さんの姿を見て真実さんが考えた秘策とは…。

 そんな奮闘する夫婦に、地元の中学校から職業体験に関する講演の話が舞い込む。そこで義成さんは手助けが必要な人に寄り添う気持ちの大切さを伝え、学生たちの心を動かした。これまでの取り組みが少しずつ実を結び、亀岡市からの援助も実現。
10月下旬には地域のお祭りにも招待され、真実さんは地域の人たちと生演奏をすることに。そして、普段は気丈に振る舞う真実さんが抱えていた不安も明らかに…。

 美しい音色を奏でる移動スーパーは、きょうもどこかで小さな幸せを届けている。たくさんの困難のなか支えあって歩み続ける、夫婦の物語に迫る。
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