大手声優事務所の81プロデュースとAI音声技術をグローバルでリードするイレブンラボジャパン合同会社は15日、業務提携したことを発表した。所属声優の音声登録の開始で日本発の「声優文化」を守りながら、グローバルへの多言語展開を加速させていく。


 提携の背景は、近年、声優の声が無断盗用され、AI生成された音声が不正に利用される事例が国内外で増えており、「声優の声は日本が誇る財産」ということから保護は業界全体の喫緊の課題となっている。

 81プロデュースは、創業45年を迎える老舗の声優事務所であり、400名以上の声優を抱える事務所。81プロデュースが業界で先陣を切って本提携を実現することで、業界が抱える課題に一石を投じる。

 イレブンラボでは、「声を守る技術」=VoiceCAPCHA・デジタル透かし・C2PA準拠などにより、その声が本物であることを確認でき、不正利用を防ぐ仕組みが確立。また、デジタルに登録する声の品質が非常に高いことで 、声優本人の声質やトーンを維持したまま多言語化し、世界中の視聴者に作品を届けることができる点に強みを持っている。両社の提携は、声優それぞれの声を、声質やトーンをそのままに多言語化して世界中に作品を届けることを可能にするという

 両社は「これは単なる音声登録や技術提供にとどまらず「日本語の文化」「声優のアフレコ文化」を守り継承しながら、声優の価値を世界に広げる文化的な挑戦です」と伝えた。

 具体的には81プロデュースは、所属の声優の声を必要に応じて随時、イレブンラボに登録し、イレブンラボは多言語化するためのプラットフォームや技術の提供を行う。両社は今後共同して、日本語のコンテンツを、オリジナル声優の声質を保ったまま多言語化して世界に届けることで、日本のコンテンツ産業への貢献を進めていく狙いがある。

 両社によると「これは単なる音声登録や技術提供にとどまらず「日本語の文化」「声優のアフレコ文化」を守り継承しながら、声優の価値を世界に広げる文化的な挑戦です」と説明した。

 今後の展開は「さまざまな声優の方々による音声登録の拡大」「アニメ、映画、ゲームなど多様なジャンルへの技術適用」「グローバル配信会社・制作会社との共同プロジェクト推進」など、さまざまな分野での提携や協業を目指していくという。

■声優の声がグローバル展開されるまでのプロセス
・81プロデュースは、所属する声優の声を必要に応じて随時、イレブンラボの技術を使って登録
・イレブンラボは登録された音声をもとに、許諾を得たアニメ/ナレーション/番組などのコンテンツを多言語化
・イレブンラボの技術を通して、元の声優の声はその魅力を損なうことなく、29カ国語もの多言語に生成される
・そのコンテンツがグローバルに配信され、世界中のファンが、元の声優の声のニュアンスを保ったまま各言語で作品を鑑賞可能になる

これにより、
「日本語の声優」+「多言語の声優」=「ハイブリッド声優」という新しい概念が生まれ、声優の活躍領域は世界へと大きく広がる。

■81プロデュースとイレブンラボが本提携を進めることで目指す社会的意義と業界へのインパクト

・日本の文化を守りながら、日本のコンテンツ産業とグローバル市場の接続を支援
・これまで業界の課題でもあった吹き替えによる多言語化のスピード・コスト構造を低下
・海外市場での日本発コンテンツの競争力向上を支援
・声優自身の声の権利の保護と新しい収益機会の創出
・コンテンツ制作の負荷軽減による、制作現場の生産性改善

■代表者コメント
81プロデュース 代表取締役社長:南沢道義
国産初のテレビアニメシリーズ『鉄腕アトム』の誕生・放送から60数年の時間が流れました。
アニメ産業は世界へ大きく羽ばたき、次々と話題作が生まれ声優業界も賑やかにその一翼を担ってまいりました。まもなく私達81プロデュースは創業45周年の節目を迎えます。

その節目の年に「生成AI」問題は登場し、声の保護、アフレコ文化の継承、作品の多言語化、等をテーマに世界屈指のAI技術を持つイレブンラボさんと向き合うことになりました。
大平透さん、小原乃梨子さん、…ご指導いただいた大先輩の声が蘇える!そんな胸が熱くなるご提案もいただき、声優とAIは共存しコンテンツが拡大・発展する時代へ進むと思います。

自分自身の日本語の声とAI技術で多言語化された声を持つ『ハイブリッド声優』が誕生します。私達の大切に育んできた芝居、技術、プロデュースが生成AIと向き合うことに、様々なご意見のある中で私たちは踏み出してみます。次世代の仲間たちや後輩たちが安心して生成AIと向き合い、真のビジネスパートナーとなることを心から願っています。

イレブンラボ Japan & Koreaゼネラルマネージャー:田村元
日本の声優が持つ高い表現力と独自の文化は、世界のコンテンツ産業において非常に大きな価値を持っています。今回の取り組みは、その文化的資産を尊重しながら、最先端のAI技術を通じて新しいビジネス機会へとつなげるものです。イレブンラボによる声を守る技術と、オリジナルの声を保ったまま多言語化できる技術の両輪を提供することで、作品のグローバル展開の加速、日本発のクリエイティブ産業のさらなる拡大を支援してまいります。

■81プロデュースについて
株式会社81プロデュースは、1981年の創業以来、声優業界の成長と発展に向けて、人材育成、マネージメント、音声制作、イベント制作等、幅広い分野で“声”と“俳優”の仕事にかかわっている。また、グループには、アニメーションの音響制作や、海外映像作品の日本語版制作等、録音・マルチオーディオスタジオの運営を行っている「HALF H・P STUDIO」や、現役の俳優や制作スタッフ等の指導でこれからの業界をささえる次世代の声優を育成する養成所「81 ACTOR'S STUDIO」等があり、多岐にわたって総合的な事業展開を行っている。


■イレブンラボについて
2022年に設立されたイレブンラボは、AI音声研究と技術のグローバルリーダーであり、企業、開発者、クリエイター、アーティストなど幅広い方に向けた最先端AIオーディオツールを構築している。現在時価総額は66億ドル(日本円で約1兆円 2025年10月時点)で、プラットフォームは4000万人以上もの個人、そしてFortune 500企業の75%以上を含む数千もの企業が利用。サービスでは、高品質なボイスオーバーを手頃な価格でスピーディに、そして大規模に作成したり、30以上の言語で対話型AI音声エージェントを立ち上げたりすることが可能となっている。
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