スピッツの名曲「楓(かえで)」を原案にした映画『楓』(配給:東映/アスミック・エース)。監督を務めるのは、『世界の中心で、愛をさけぶ』など数々の恋愛映画を手がけてきた行定勲。
脚本は『ソラニン』『東京リベンジャーズ』などで知られる高橋泉(※高=はしごだか)がオリジナルストーリーとして書き上げた。音楽は、藤井風らの楽曲プロデュースでも知られるYaffleが担当した。

 主演は福士蒼汰と福原遥。双子の弟・恵を事故で失った兄・須永涼(福士)は、弟の恋人・木下亜子(福原)に弟と間違えられたまま、恋人として時間を過ごしてしまう。一方、亜子もまた、誰にも明かせない“秘密”を抱えていた。真実を告げられぬままひかれ合う二人の運命を描く、切なくも温かなラブストーリーだ。

 本作の物語において大きな意味を持つのが、恵と亜子がひかれ合う“高校時代”の記憶だ。合唱コンクールや屋上での出会いなど、二人の距離を縮めた青春期を演じたのは、若手注目株の北島岬(高校時代の涼と恵)と泉有乃(高校時代の亜子)。このたび、当時の撮影を振り返る二人のコメントが到着した。

 恵と亜子の出会いは、高校生の頃。合唱コンクールのソロパートを任され、重圧に押しつぶされそうになった亜子は、思わず屋上へ逃げ出す。そこへ現れたのが、1学年上の写真部の恵。
空を見上げる亜子の姿を、思わずカメラで撮影したことがきっかけだった。そして、恵は不安そうな亜子の頭にそっと手を添えておまじないをかける。後日、掲示された一枚の写真に心を奪われた亜子は、次第に恵にひかれていく。

 二人の距離を縮めた淡く瑞々しい青春期を演じたのが、北島と泉。北島は、モデルとしての活動を経て注目される新鋭。泉は、モデル・俳優として多方面で活躍し、ドラマでも存在感を放つ。二人は、福士と福原の“高校時代”を演じるにあたり、行定監督から「大人になった二人の演技を写すように演技をしてほしい」という指示があったという。

 北島は子の演技指導について「事前に、福士さんと福原さんが学生時代のシーンの本読みをしている動画をいただきました。そのおかげで、役の関係性やシーンの質感をイメージしやすい状況で現場に入ることができました」と振り返る。さらに苦労したのは“歩き方”だと明かし、 「同じシーンを何度も撮り直しました。撮影後に監督から“演技の型をつくらない方がいい”と言われて、相手役を鏡にすることで芝居の幅が広がるという言葉がすごく印象に残りました」と語り、俳優として大きな発見になったという。

 一方の泉は、学生時代と大人の亜子を“同じ一本の線”につなげることが課題だった。
「亜子らしい無邪気さと明るさを軸にしながら演じました。学生時代も大人になってからも、彼女には何度も支えられる大切な言葉があります。その言葉が亜子にとってどれほど大きいものなのか、たくさん考えました」と語り、感情の動きを丁寧に積み上げながら役に向き合った。

 二人がひかれ合った高校時代、恵と亜子は夜空の下で天体観測へ出掛け、「いつか自分たちで彗星を見つけて、名前をつけたい」と約束を交わす。この“彗星探し”が、後に涼・恵・亜子の三人を大きく動かしていくシーンへとつながり、物語の象徴的なモチーフとして輝きを放つ。本作の舞台はやがて、世界に3か所しかない星空保護区ゴールドティア(最高ランク)のひとつ、ニュージーランド・テカポ湖へと広がっていく。

 公開を前に、北島は「スピッツさんの『楓』という曲には、人によってさまざまな解釈や思い出があると思います。本作もその曲にまつわる、数ある思い出の“ひとつの物語”として受け取ってもらえたら嬉しいです!」。

 泉は「切なさの中にも、そっと背中を押してくれるような温かさがある映画です。誰かを大切に思う気持ちや、前に進む勇気などうまく言葉にできない感情をやさしく支えてくれる作品だと思います。ぜひこの冬、大切な人と一緒に観てほしいです!」と語った。

 スピッツの不朽の名曲とともに紡がれる、儚くも温かな愛の物語。
若き日の恵と亜子が過ごした、かけがえのない時間が、観る者の記憶と静かに重なっていく。

■北島岬(高校時代の須永涼・須永恵役)

 2007年8月6日生まれ、千葉県出身。2023年より雑誌「ニコラ」でメンズモデルを務める。2025年には映画『誰よりもつよく抱きしめて』で主人公、水島良城の高校時代を演じてスクリーンデビューし、ドラマ『魔物』では主演、源凍也の高校時代を演じてテレビドラマ初出演。ナオト・インティライミ 「タカラモノ~この声がなくなるまで~(REBOOT ver.)」のMVにメインキャストとして出演。本作では、須永涼・恵の高校時代を演じる。

■泉有乃(高校時代の木下亜子役)

 2010年7月12日生まれ、東京都出身。2024年に「第11回日本制服アワード」でフォトジェニック賞を受賞。NHK夜ドラ『柚木さんちの四兄弟。』霧島宇多役で俳優デビューを果たし、続けてドラマ『119 エマージェンシーコール』『御上先生』『しあわせな結婚』『修学旅行で仲良くないグループに入りました』などに出演。映画では『#真相をお話しします』でルージュの子ども時代役を務めるほか、2024年には雑誌「二コラ」モデルオーディションでグランプリを獲得し、モデルとしての活動もスタートした。本作では、木下亜子の高校時代を演じる。
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