TBSラジオの開局記念日にあたる25日、午前8時30分から午後4時50分までの8時間20分にわたって特別番組『TBSラジオ大感謝祭2025』が生放送される。今年のテーマは『ボーダレス』。
ニュース、カルチャー、バラエティ。あらゆる番組の壁を打ち破り、さらには地上波・Podcastの枠をも超えて、TBSラジオのオールスターがこの日のために集結する。

 オリコンニュースでは、放送を前に出演者へのインタビューを敢行。パーソナリティーを務める向井慧(パンサー向井の#ふらっと)、午前8時30分から11時までパートナーを務める本仮屋ユイカ(ONE-J)、11時から午後2時までのパートナーを務めるジェーン・スー(ジェーン・スー 生活は踊る)の鼎談を届ける。

――ラジオパーソナリティーを続けることについて

【本仮屋】スタートして、最初1年2年続くかって不安な気持ちで、そのあとって覚えてますか?自分の中で何年目がけっこう大きかったなとか…。

【ジェーン・スー】全然覚えてないです。1年目と変わんないですよ。自分の意志とは関係なく、番組が愛されれば続くだろうし、頑張れば続くというものでもないと思っていたので。自分の番組が続いているうちに前後の番組が両方変わることは想像していなかったけど。

【向井】スーさんは、TBSラジオの匂いみたいなものを、本当にけっこう担ってますよね。

【本仮屋】安心感の砦ですから!

【向井】僕はその都度、いろいろな思いを持ちながらやっていますけど、楽になる日がいつ来るのかなと思っています。スーさんとはちょっと違った感じを受けているかもしれないですけど、本当にライフスタイルとして、なじむ時が果たして来るのかというか。


【ジェーン・スー】私、元々会社員だったんで、同じ時間に同じ場所に来るっていうのはそんなに苦じゃないんですよ。1回、寝過ごしましたけど(笑)。

【向井】僕らの仕事なんかは本当もうバラバラで、昼間まで寝て、深夜3時~4時まで起きてみたいな、そんな感じでずっと15年ぐらいやってきたので。そこから、朝、この時間に絶対起きるっていうことで、ようやく慣れてきたのがこの3年ぐらいかもしれないです。一緒にやっている人たちの環境は変わっているんですよ。例えば、滝沢カレンさんがご結婚されて、どんぐりたけしくんとかも、周りは確かに進んでいるんですけど、俺だけずっとブースに閉じ込められて、なんか何も変わってねえんじゃないかっていう怖さもあるんです(笑)。

【本仮屋】わかります!すごろくのコマがずっと同じところで、止まっているような気が(笑)。めちゃくちゃサイコロ振ってるはずなんだけど…。

【ジェーン・スー】向井さんは、月~木の朝帯をやっていたら、物理的にライフステージを変えるタイミングもないでしょうね。

【向井】これはね…帯でダメになった恋愛はいくつかあります(笑)。

【ジェーン・スー】(笑)。そうなりますよね…。


【向井】生活サイクルが合わないんですよね。

【ジェーン・スー】生活サイクルが合うとしたら、会社員ですね!

【向井】その期間に付き合っていた方から「(深夜)1時まで一緒にいてほしい」っていう、お話が出てくると、頑張って…。そこで話さないと、話す時間がないから。それで深夜1時になって寝て、朝6時に起きて…とかやっていると、やっぱ限界を迎えて、オレは帯に生きるしかないんだなって…。

――本仮屋さんは日曜朝に番組があるという生活サイクル

【本仮屋】寝られるようになったのは、番組が始まって3年半過ぎたぐらいからです。それまで緊張しちゃって寝られなかったです。だんだん寝られるようになって、今12時半から1時ぐらいには寝て、5時に起きて…という感じです。それで、終わった後に寝ています。『ONE-J』は、JRN各局のアナウンサーさんが週替りでいらっしゃるので、その方が帯の番組とかをやられていたら、1週間なんとなく聴いて、前日の夜からはずっとその人のことを調べています。地方の方になってからは、特に「〇〇の地域はめっちゃ調べているのに、▼▼の時はあんまりじゃない?」とかってなると、その地域の方がさみしい思いをするから…ってなるので。

【向井】その濃度と密度はすごいわ。

――リスナー像を置いて番組を行っている?

【向井】『#ふらっと』を始める時に、名前につけた通り、もうあんまりこう、誰でも入りやすくはしたいとは思っていて、あまり想定しすぎずしゃべろうと考えていました。
TBSラジオを昔から聞いている方がいらっしゃるのはもちろんわかっているのですが、そこにいきなりオレが入って、その方々を想定しすぎても、寄せてTBSラジオっぽくみたいなこともできないので、だったら、今まで聞いてこなかった人たちがどれだけ入りやすいかみたいなことは考えました。

【ジェーン・スー】私が番組を始める、もっと言うと赤江(珠緒)さんが番組を始める前ぐらいまでは、この時間って自営業の男性の方、営業車で移動している方、工場で聞いてる方とか、男性、特に中年の男性が多かったと思うんですけど、実は時代が変わってきて、この時間帯って育休中の若い女性や介護中の方も多くて。ラジオなら視覚情報はありませんから、つけたまま育児をしたり、家事をしたりができる。プラス、家族以外に大人と1日1回もしゃべられずに終わるってことが、育休中だと起こるわけですよね。大人の会話が恋しいという人たちが聞いているっていうのを小耳に挟んでからは、そういう人たちが入りやすい窓口にしようとは思っています。ちょっと今までとは馴染みが変わっちゃったっていう方もいらっしゃるかもしれないですけど、子育てを一生懸命やっていらっしゃるお母さんとかお父さんたちが、ちょっと今日なんか試せるような生活情報を出すことの意義もあると思うので、そっちをメインにしています。

【本仮屋】私はスーさんのラジオをずっと聞いていて「それぞれの生活を踊る皆様」というフレーズが大好きなのですが。あれを聞いた時、そうか、それぞれの生活があるんだなって、イメージを持てるようになって。私は、小さい頃から同じことを反復する人生を生きてきているので、変わった人生だと思っていて。周りの人も変わった人が多い中で、そうか、地球にはたくさんの人がいて、たくさんの生活があるんだと感じて。私は全国放送をやっているのですが、お手紙をいただくと、どこどこの山でこういう農家していますとか、私のお名前が全然違ったりするんですよ。どんな人かもわからない私に心を寄せてくださってるというのがあるので、そういう人たちをイメージしながらしゃべるようにしてます。
「本当は本仮屋です!」とかも別に思わなくて、そのままでいいですという感じです。

【ジェーン・スー】私の場合も、顔を見たことがないという方が多かったでしょうし、いまだに「声しかわからない」という方もいると思うんです。ウチの番組は、大沢悠里さんの思いを引き継いで「病気療養中の方、介護中の方、お休み中の方」というように声をかけていたのですが、ある時学生さんから「勉強中の方もいれてください」というメールがきたので、入れるようにしたんです。言っているほうは「皆さんよろしくお願いします」という意味なんですけど、リスナーから「あれでほんとに救われました」と言われたことが何回かあって。介護中、孤独で、誰にも自分が存在してることを認識してもらえてないような時に(ラジオで)「介護中の方」と呼びかけられると「私もここにいていいんだ」って思えるって言っていただいたので、病気療養中の方もそうですけど、そこは悠里さんイズムをそのまま継承して。誰の居場所になるっていうことですね。

【向井】学生さんから、学校で居場所がなくて行きたくないし、でも行かなきゃいけないし。文化祭とかあっても参加したくないけど、でも行かなきゃいけないし。そんな時、文化祭の時に、ずっとトイレにこもってラジオ聞いてました…というお手紙をいただいて。でも、ここがすごく難しいんですけど、僕らはやっぱり照れもあって、そういう人たちのことを思えば思うほど…。一応職業でカテゴライズすると、芸人という職業をやっているので、野暮なこと言ってしまいそうになるんです。だから、普段からはそういうことをなるべく意識しないようにしながら、手紙をもらった時に意識して…みたいな、なんかそんなバランスでやっているんですけど。
しゃべっているときには考えすぎちゃうと、照れちゃうから、放送が終わった時に確認するという感じでやっております。(#3に続く)
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