(※以下、ネタバレを含みます)
5thアルバム『音故知新』は、さまざまな時代の音楽やカルチャーをSnow Manなりの解釈と表現で再構築した作品。
Snow Manが各時代を象徴する人物に扮して登場するオープニング映像の後、ムービングステージに乗った9人がメインステージに横一列で登場すると、ドームが揺れるほどの大歓声が起こった。岩本が「What's up!トーキョー!騒いでいこうぜー!」と声をあげると、ボルテージは一気に最高潮に。高さ5.5メートル、幅26.5メートルのステージがアリーナを移動しながら披露された「TRUE LOVE」では、等身大の情景を描く歌詞が会場にやさしく広がり、9人が一体となって作り上げる“ハート”のフォーメーションがその想いを確かなものとして刻み込む。観客は自然とその世界観に引き込まれ、物語の始まりを見届けるように視線を向けていた。
年代別演出の中では、1960年代をイメージしたブロックも展開。岩本が振り付けを担当した「悪戯な天使」では、大人びたロマンチックさとミステリアスな空気が同居し、耳に残るメロディが静かに感情を揺らす。1980年代ブロックの「Miss Brand-New Friday Night」では、上下に可動するムービングステージを駆使し、立体的で躍動感あふれるパフォーマンスを届けた。本ツアーでは、岩本が振り付けを担当した楽曲は「悪戯な天使」含め4曲披露されている。
ライブの随所でメンバーがファンをあおり、一体感を生み出していく。「Nine Snow Charge!!」でのコール&レスポンスでは、岩本が「きみが、好きだー!」、深澤が「みんな!会いたかったよー!」、ラウールが「胸がきゅるるんっ」、渡辺が「おれのパンツ洗ってくれよ」、向井が「すきやで」、阿部が「好きだバカ」、目黒が右親指を目に当てて舌を出すポーズ、宮舘が「抱いてやるよ」、佐久間が「東京ドーム、愛し合おうぜ!」と個性豊かに放っていく。
また、高さ20メートルのクレーンを使用した演出も大きな見どころのひとつ。アリーナの頭上から、2階スタンドの高さまで上がり、ファンと目線を合わせていく。「Ready Go Round」では、宙高く舞い上がったメンバーが爽快感と疾走感のあるサウンドに身を委ね、ドームの空間そのものを味方につけるように手を振った。呼応するように、色とりどりのペンライトが大きく波打っていく。
攻めの姿勢を感じさせる「BOOST」では、炎や火を用いた迫力ある特効演出が加わり、1公演あたり約3000発に及ぶ炎が打ち上がる中、力強いダンスで観客を圧倒。さまざまな楽曲でハードなダンスを披露する一方で、直径4.2メートルの巨大バルーンが合計45個、会場いっぱいに浮かび上がり、地上約40メートルに達する幻想的な光景が広がる楽曲も。そのやわらかな光に包まれながら、9人は想いを込めて歌い上げ、ステージと客席の境界が溶け合うような、静かな余韻を残した。
Snow Manのライブでは初となる試みも随所に盛り込まれた。「Dangerholic」ではポールダンスを取り入れたアクロバティックなパフォーマンスに挑戦。岩本が台宙し、どよめきが起こる場面も。さらには「もしも…狭すぎる理容店があったら」と題した本格コント映像では、深澤扮するサラリーマンが、クセの強い理容師たちのいる理容店に迷い込む。多彩なキャラクターを演じきるSnow Manの姿に、ドームは大きな笑いに包まれた。
恒例の“舘タイム”の時間も。1人無言でムービングステージに乗り上下する宮舘に、メンバーからはツッコミの嵐。宮舘の動きに合わせて照明が動き効果音が鳴り、笑いに包まれる会場はいつしか赤のペンライトで埋め尽くされ、さらなる一体感が誕生。この日は約7分間。サングラス装着をじらす宮舘に、渡辺が「頑張れ」とエールを送ると、「頑張る」とすんなりと装着。会場に巻き起こった笑いとともに次なる曲へ。SNS総再生数10億回超えを記録した話題曲「カリスマックス」では、宮舘に続いてメンバー全員がサングラス姿になり、会場の空気を一変させるクールな佇まいと圧倒的な存在感で、熱気をさらに高める。一方、「SERIOUS」では、不気味な音やスクリームが散りばめられたミステリアスなR&Bナンバーによって、張り詰めた緊張感が支配する時間を生み出し、ダンス曲にも振り幅の大きさを強く印象づけた。
MCでは、女性、男性、“ちびっこ”に向けて、コール&レスポンス。盛り上がりを感じさせるファンの大きな返答を楽しみながらも、男性から返ってきた想像以上の声の大きさに「え?すごない?」と目を丸くするSnow Man。渡辺が前日に「美的ベストビューティマン」を受賞した話題から転じて、ユニット曲でのショートパンツから下着がはみ出さないようにTバックを着用しているとして大盛り上がりする場面も。翌日の情報番組に向け9人がぎゅっと集まって各番組のポーズをとるなど、わちゃわちゃとトークを繰り広げた。歌やダンスで見せるギャップのあるクールな表情やキュートな表情とはまたちがった、Snow Manならではのおだやかで和気あいあいとした“素”の空気感が流れていた。
なお、今回のツアー衣装はメンバーのラウールがプロデュース。ユニット曲を除き6ポーズの衣装が用意され、各年代の世界観を視覚的にも鮮やかに表現した。最大幅約120メートル、高さ約31.6メートルのメインステージや、外周約301.6メートルの花道など、ドームならではの大規模セットも物語を支える重要な要素となっている。
音楽の歴史をSnow Man流に再解釈し、過去から現在、そして未来へとつないでいく本ツアー。5大ドームツアーの東京公演初日は、5万5000人の観客とともにアンコールを含め約2時間45分で全33曲を駆け抜けた。確かな熱と余韻を刻み込む一夜となり、グループの進化と表現力を改めて印象づけた。
本ツアーは、全国5都市17公演を巡り、自身のツアー最多となる78万人を動員する予定。
■深澤辰哉 本編最後のあいさつ全文
やっぱり改めて好きだなと感じました。それはもちろんライブもそうだし、応援してくださってる皆さんもそうだし、一番はメンバーですかね。今回アルバムを引っ提げてのツアーなんだけど、『音故知新』というタイトルで、もしこの時代にSnow Manがいたらって、本当にアルバムを作る上で、いろんな時代のいろんな楽曲を聴きました。そのときに、改めて、俺、小学生の時とかこういう曲聴いてたなぁとか、すごく自分の人生をすごく振り返る時間になって。で、考えたんですよ。自分がもしSnow Manじゃなくて、この事務所に入ってなくて、そしたら何してるかな?って考えたんだけどね。でも思いつかなかったです。自分には、このアイドルという、人生の半分以上で、本当にこのお仕事をしてなければ、もちろん8人にも会えてないですし、皆さんにも会えてないですし。本当にこの人生で改めてよかったなっていうのをすごく感じました。
最近ね、実体験なんだけど、「あーいいなあ」と思ったのは、僕が11月にちょっと体調を崩してしまいまして。
このお仕事をさせてもらって、みんなに出会えて、僕は本当に幸せなんだなというのを、今も噛みしめながらライブに立たせていただいています。何が言いたいかというと、僕のこの人生に彩りをくれて、本当にみんなありがとうございます。


![VVS (初回盤) (BD) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51lAumaB-aL._SL500_.jpg)








