鳥山氏は、1992年生まれ、兵庫県宝塚市出身。2023年『あるもの』で第29回三田文學新人賞を受賞。25年『時の家』で第47回野間文芸新人賞を受賞。建築士でありながら、作家として執筆活動をしている。ほかの作品に「欲求アレルギー」(「三田文學」2024年春季号掲載)、「アウトライン」(「群像」2024年11月号掲載)などがある。
畠山氏は、1992年生まれ、大阪府出身。京都大学文学部卒業。2015年「地の底の記憶」で文藝賞を受賞し、25年『改元』が三島由紀夫賞候補となった。著書に『地の底の記憶』(河出書房新社)と『改元』(石原書房)がある。
なお、『第174回直木三十五賞』は、嶋津輝氏『カフェーの帰り道』(東京創元社)が受賞した。
■受賞作『時の家』
青年は描く。その家の床を、柱を、天井を、タイルを、壁を、そこに刻まれた記憶を。
■受賞作『叫び』
大阪府茨木市に移り住んだ早野ひかるは自暴自棄の荒んだ暮らしですっからかんになった夜、遠くから聞こえてくる鐘の音に誘われ、生活保護を受ける男に出会う。積年の負い目を男に見抜かれ、激しく否定されていくうちに早野のこころは軽くなり、男のことを「先生」と呼んで銅鐸作りと茨木の来歴を学ぶようになる。
茨木ではかつて罌粟栽培と阿片製造が盛んで、この地から満州に渡って天皇陛下ご裁可の下、広大な大地を罌粟畑に塗り替え、「陛下のための花束」を編むことにロマンを抱いた青年がいた。郷里に戻ったら、1940年開催予定の紀元2600年記念万博に行くことを青年は楽しみにしていた。早野は青年に思いを馳せるうち、いま自分がここにいることの意味のなさが補われ、ここにいることの必然を感じ始める。自らの「聖(ひじり)」として仰ぐ女性と大阪・関西万博へ行く約束を交わし、いつしか令和と昭和がつながり、封印されていた叫びが溢れ出す。

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