河瀬直美(※瀬=旧字体)監督の最新作『たしかにあった幻』(2月6日公開)の特別予告と屋久島で撮影したシーンの場面写真が公開された。

 本作は、河瀬監督にとって6年ぶりとなる劇映画の最新作で、オリジナル脚本としては8年ぶりの作品。“愛のかたち”と“命のつながり”を主題に、先進国の中でドナー数が最下位という日本の臓器移植医療の現実と、年間約8万人にのぼる日本の行方不明者問題を重ね合わせて描いた人間ドラマだ。

 主人公は、ルクセンブルク出身のヴィッキー・クリープスが演じるフランスから来日した医師のコリー。日本における臓器移植への理解と移植手術の普及に尽力するが、西欧とは異なる死生観や倫理観の壁は厚く、医療現場の体制の改善や意識改革は困難で無力感や所在のなさにさいなまれる。また、プライベートにおいても屋久島で知り合った迅(寛一郎)と同棲を始めるが、お互いが使う時間のズレからくるコミュニケーションの問題に心を痛めていた。

 コリーと迅が出会う重要な場所に選んだのは、“神の島”と呼ばれる屋久島。河瀬監督の作品にとって「自然」は欠かせない。ずっと撮り続けてきた「森」の中でも太古の昔からの記憶を持つ屋久島の森は憧れであり、「王様みたいな存在」と監督は語る。

 『あん』(2015年)で偏見の先にある生の歓びを、『光』(17年)で失われゆく視力の中に見出す新たな愛を、『朝が来る』(20年)で血縁を超えた母たちの絆を描いてきた河瀬監督。本作でも、「死」が終わりではないこと、そして移植医療によって命が受け継がれていくことを通して、「生」の意味を静かに問いかける。

 特別予告には、河瀬監督の作品で主演を務めたアオイヤマダ、永作博美、長谷川京子、大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」の設計を担当した建築家の藤本壮介氏が寄せた言葉が使用されている。

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