◆生まれたての赤ちゃんは0.1mm、比較的暖かい海域に生息の生物「くつろいでいる様子が可愛い」
――SNSでは「奇跡の可愛さ」「カラフルで可愛い赤ちゃん」「子猫と同じような、パヤパヤ毛だ」「めっちゃ癒し」「これなら飼いたい」などと、話題になりました。この可愛らしい生物の生態や生息地域について教えてください。
「ヒオウギガイという軟体動物である二枚貝です。小さいうちは貝殻をパカパカとさせて泳いで移動することもありますが、ある程度大きく育つと、足糸と呼ばれる固いタンパク質でできた物質で岩礁にくっついて生息します。国内では千葉県から沖縄県にかけて、比較的暖かい海域に生息しています。三重県、高知県、長崎県などで養殖もされています」
――育て方はどういった感じなのでしょうか?
「ヒオウギガイは濾過食性で、海中を漂っている微小な植物プランクトンを食べています。植物プランクトンであれば何でもいいわけではなく、食べられる種類(大きさ)が決まっているので、培養して与えます」
――赤ちゃんと大人になったときのサイズの違いは?
「生まれたての受精卵は0.1mm程で、生後半年で500円玉くらいの大きさになります。さらに、1年~1年半程で10cm以上の成体になります」
――とてもカラフルですが、なぜ色が違うのでしょうか?
「紫、黄色、赤(オレンジ)、褐色のものをよく見かけます。色が違う理由は詳しくはわかっていませんが、例えば、赤×赤から赤い個体が必ず生まれるわけではありません。ごくまれに片面が赤、片面が紫などの異なった組み合わせの個体が生まれることもあります。赤い個体はずっと赤色で、成長しても色は変わりません」
――ヒオウギガイならではの変わった行動や特徴を教えてください。
「ヒオウギガイには近縁種もいるのですが、やはりカラフルな色彩が特徴だと思います。
◆「くつろいでいる様子が可愛い」1年半ほどで食用に…「バター醤油を加えて食べるとおいしい」
――1年半ほどで食べられるとのことですが、味や食感を教えてください。
「貝柱には旨みがあります。外套膜(貝ヒモ)はコリコリとしていておいしいです。エラの部分は食べられるものの、ほぼ無味。中腸腺(ウロ)は苦く、時に有毒化するため食べられません。貝殻の色によって味に差はありません」
――おすすめの食べ方は?
「王道なのは浜焼きで、そのまま焼いてもいいですが、ひと手間加えて、それぞれの部位を切り離すと食べやすいです。お好みでバター醤油を加えて食べるとおいしいです」
――貝柱はホタテと似ているのでしょうか?
「ホタテとよく比べられますが、ヒオウギガイの貝柱はやや小ぶりで、食感や味の方向性も異なります。私は北海道出身でホタテもヒオウギガイもどちらも好きですが、ホタテは柔らかく甘く、ヒオウギガイはぎゅっと濃厚な印象です」
――ヒオウギガイの赤ちゃんを育てる楽しさはどういったところにありますか?
「カラフルなヒオウギガイが貝殻を開いてくつろいでいる様子が可愛いです。二枚貝の飼育は、餌の培養、与える餌の濃度計算、水質管理などが大変ですが、試行錯誤して育てるのもおもしろいです」
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