第169回直木賞・第36回山本周五郎賞をダブル受賞した永井紗耶子の時代小説を実写映画化した『木挽町のあだ討ち』(2月27日公開)。本作の主題歌に、椎名林檎の楽曲「人生は夢だらけ」が決定し、あわせて同楽曲を使用した主題歌スペシャルムービーが解禁された。

 「人生は夢だらけ」は、椎名が作詞・作曲した提供楽曲をセルフカバーし、アルバム『逆輸入 ~航空局~』(2017年)に収録された人気曲。ミュージカル調の華やかさとジャズの心地よいグルーヴ感が融合した一曲。舞台の幕が上がるような高揚感と、物語がクライマックスへ向かって一気に駆け上がっていく感覚を与える。人生の陰影や自由と束縛、過去の経験や迷いまでも前向きに突き抜けていく力強さが魅力だ。

 解禁となった主題歌スペシャルムービーは、仇討ちを遂げた菊之助(長尾謙杜)と、主人を殺した男・作兵衛(北村一輝)の衝撃的な場面から始まり、一年半後、仇討ち事件の真相を追う田舎侍・加瀬総一郎(柄本佑)が芝居小屋・森田座を訪れるシーンへと展開。芝居小屋の人々との出会いや、仇討ち当日の事情聴取、登場人物それぞれの思惑が断片的に映し出され、事件の裏に隠されたもう一つの物語が少しずつ浮かび上がっていく。

 覚悟を決めた菊之助の表情に、「良かろうだろうが古い物は尊い」「それは人生 私の人生 誰の物でもない」「奪われるものか 私は自由」といった歌詞が重なり、物語の余韻を強く印象づける映像に仕上がっている。

 監督・脚本を務める源孝志は、主題歌の選出理由について、「とりわけ歌詞の言葉の選び方、置き方がたまらなく好きだ。散文的でありながら物語を内包するうねりがあり、文学的なのだが血や体液のような生な残り香が漂う。陰と陽、表現者として多面的なところもリスペクトせざるを得ない。この『人生は夢だらけ』は“陽”の椎名林檎の魅力を感じさせる最たるもので、陽を浴びる大通りを、高らかに、堂々と歌いながら歩いていくような曲だ」と、コメント。

 さらに、本作は「世間からドロップアウトし、生き甲斐を求めて(食うためだけではない!)芝居小屋に流れ着いた人間たちの物語」と位置づけ、「江戸という大都会で最下層と蔑まれながら、観客の前で束の間の夢を作り上げて見せる矜持、反骨と誇り。いわば日本の歴史の中で初めて現れた『自覚ある自由人』だと私は思っている。そんな彼らが武家社会の不条理に対して“一発かます”痛快さを楽しんでもらい、『いやぁ~ 面白かったね。気分いい』と言いながら映画館を出て行ってもらいたかった――それが、私がこの曲をエンディングテーマに望んだ理由です」と、物語との親和性を語っている。

 本作は、芝居小屋を舞台に、仇討ちの裏に隠された真実を描いた江戸ミステリー。主演の柄本のほか、芝居小屋「森田座」で謀略を巡らせる立作者・篠田金治役で渡辺謙が共演。さらに、長尾、北村、瀬戸康史、滝藤賢一、山口馬木也、愛希れいか、イモトアヤコ、野村周平、高橋和也、正名僕蔵、石橋蓮司、沢口靖子らが出演している。

編集部おすすめ