昨年秋、東北地方を中心に連日、クマの出没が報じられた。背景には、クマの個体数の増加や、餌となるドングリの凶作、中山間地域で進む過疎化、放置されている柿などの誘因物など、さまざまな要因があると言われている。
番組では、長野県軽井沢町の徹底したクマ対策を密着取材。クマと人の共存のあり方を探る。
軽井沢町にある「NPO法人ピッキオ」。「人の安全を守ること」と「クマの野生を保つこと」の両立を目指して、クマ対策で確実な成果を上げている。クマが人間の生活エリアに入らないよう、事前に捕獲してGPSや発信器を付けて監視。侵入してくるクマに対しては、ベアドッグとハンドラーで森へ確実に追い返している。
年間800万人もの観光客がやってくる国内屈指のリゾート地「軽井沢」は、クマが生息するエリアと人間の住むエリアの重なる部分が非常に多いため、他の地域以上に被害が出る可能性がある。そのため軽井沢ではクマ対策の徹底が、商業エリアの経済を守り、別荘地としての資産価値も維持することにつながる。
「ピッキオ」は、クマ対策で重要なことは、クマに人の怖さを教えて人のいるエリアに近づかないようにすることだという。軽井沢の街を挙げての地道な取り組みが実った“クマ被害ゼロ”。
一方、多様な固有種が生息することから世界自然遺産に登録された「奄美大島」。「アマミノクロウサギ」や「ケナガネズミ」といった数多くの絶滅危惧種が生息し、世界的にも類を見ないユニークな生態系が広がっている。
取材班は4年前から奄美大島で始まった“ある取り組み”を取材していた。それは、クロウサギを保護するための“国内初”の一般道路の交通規制。延長約12キロの市道「三太郎線」を夜間通行できるのは、30分に片側1台だけ。目的はクロウサギを事故から守るため。時速は10キロ以下で、全ての車が事前に予約しなければならないが、罰金や罰則などの法的拘束力はない。
この規制を主導したのが、環境省所属「奄美野生生物保護センター」のレンジャー、鈴木真理子氏。地元では「厳しすぎる」との不満の声も上がる一方、「罰則がないなんて手ぬるい」との批判も出た。
あれから4年、クロウサギの生息域が広がり、個体数は大幅に増加していた。交通規制やクロウサギなど生態系に影響が大きかったマングースの駆除活動が奏功したという。
しかし、いま新たな問題として浮上してきたのが、農作物被害。島の特産品の樹皮をウサギが食い荒らすという。「野生動物保護」と「経済」の両立の難しさが浮き彫りとなっていた。果たして人と野生の境界線はどこにあるのか。「奄美野生生物保護センター」のレンジャーたちの取り組みを追う。

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