老舗高級料亭「つきじ治作」は、2月11日より、エントランス空間における新たなおもてなしとして、光と音による演出『澄池(すみいけ)』を開始する。

 つきじ治作は、昭和6年(1931年)に初代総料理長兼店主・本多次作によって創業。
約800坪の敷地には四季折々の表情を見せる日本庭園が広がり、中央の池では滝の音とともに150匹を超える錦鯉が悠然と泳ぐ。意匠の異なる座敷が池を囲み、訪れる人々に非日常のひとときを提供してきた。

 初代店主・本多次作は、「食」を通して人をもてなす日本の美意識を大切にし、その精神は味だけでなく、空間や所作の細部にまで受け継がれている。創業から95年という時を重ねた今年、その歩みの延長線上に誕生するのが『澄池』だ。

 昼の時間帯には、自然音と調和した音の重なりがエントランス全体を包み込み、穏やかな空気を演出。夕暮れから夜にかけては、入口の岩や木々が深い黒や濃緑へと移ろい、実際の池を見立てた光の演出が現れる。池のゆらぎや鯉の気配を思わせる軌跡、来訪者の動きに呼応して変化する光が、現実と幻想のあわいを静かに描き出す。

 門をくぐった瞬間、光と音の気配がやわらかく人々を包み込み、庭園の情景がエントランスにも滲み出すように広がる。時間とともに変化する音と光は、空間に“間”を生み、一夜の体験をより特別なものへと導く。

 『澄池』は、これまで支えてきた人々の歩みと、これから出会う人々の時間を迎え入れる象徴的な存在。つきじ治作は、この新たな試みとともに、次の100年へと静かに歩みを進めていく。
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