昨年末の『新語・流行語大賞』に“薬膳”がノミネートされ、若年層の間でも漢方薬やハーブなど自然由来の療法への関心が高まっている。かつては中高年層が中心だった分野だが、いまや20代・30代が日常的にハーブティーを取り入れるなど、セルフケアのスタイルが変わり始めている。
そうした時代の空気を反映するかのように、DMMオンラインサロン「SALON AWARD 2025-2026」では、植物療法士・菅原あゆみ氏が主宰する「NeRoLi herb」が新人賞を受賞。検査では“異常なし”とされながら不調を感じる人が増える中で、注目が集まる“植物療法”という選択肢について、菅原氏に話を聞いた。

■朝のハーブティーで“病気未満”の不調にセルフケア「“そもそも痛みが起きない体”を目指すことが大切」

――新人賞受賞となりましたが、受賞されたご感想をお聞かせください。

「まさか受賞すると思ってなかったので、大変嬉しく思います。光栄です」

――アロマやハーブティーにはなんとなく「リラックスできる」イメージがありますが、「植物療法」そのものは、まだ一般的には馴染みが薄い印象を受けます。そもそも「植物療法」とは、どういったものでしょうか?

「植物療法とは、植物の力を活用して心と体のバランスを整える自然療法のことです。私たちが日常的に口にしている野菜やお米も、広い意味では植物療法の一部といえます。今の社会はストレスや添加物、生活習慣の乱れで腸内環境が乱れがちで、それが不眠や冷え、メンタル不調といった“未病”につながっていると考えられます。

 ハーブティーは腸内環境などを整えることで、メンタルの安定や体質改善にもつながります。生理痛や頭痛、眠れない、朝がだるいといった“病気とまではいえないけど不調”な状態に対して植物の力を取り入れ、不調を感じにくい体づくりを目指すことが、植物療法の抜本的な意味になります」

――そうした“未病”のケアは、具体的にどのように生活に取り入れればよいのでしょうか?

「まずは朝の習慣から変えるのが効果的です。起きてすぐにカフェインを摂るのは避けて、白湯やハーブティーを飲む。それだけでも体に負担をかけずに整えられます。
職場に持っていく飲み物をハーブティーに変えるだけでも、自分の体調に意識を向けるきっかけになると思います。

 気分がスッキリしないときは、精油の香りを嗅いだり、アロマをスキンケアに混ぜて使ったりするのもいいですね。夜はラベンダーとお米を布に入れて手作りカイロのようにして枕元に置くと、眠りの環境づくりに役立ちます。植物療法には「香る・飲む・塗る・浸かる」といった様々な取り入れ方があります」

――女性にとっての植物療法のメリットについても伺えますか?

「女性はホルモンバランスの影響を受けやすく、生理やPMSなどで日常的に不調が起こりがちです。もちろん、痛みが強いときは鎮痛剤を使う選択もありますが、“そもそも痛みが起きない体”を目指すことが大切だと思います。

 植物は、特に女性にとって本当にやさしい存在で、「ハーブティーを飲まないなんて、人生半分損している」と思うほどです(笑)。体が整えば、気持ちも自然と安定していくと感じています」

■コロナ後に変化した植物療法への意識、“薬の前にできること”をもっと当たり前に

――「NeRoLi herb」開設から約10年。植物療法への意識はどう変化しましたか?

「特に変化を感じたのはコロナ以降ですね。ワクチン接種後や感染後の不調を感じていても、病院では「異常なし」と言われてしまう。でも本人はつらい。そういう人が自然療法に目を向け始め、漢方やハーブについて自分で調べて取り入れる人が増えてきた印象です。

 10年前は“意識の高い人”が中心でしたが、今は一般の方にも確実に広がっています。
特に女性の間では、“薬以外の選択肢”としてハーブに対する理解が高まってきたと思います」

――植物療法に関心はあっても、ハーブの香りや味が苦手という声もあります。

「確かに、単体のハーブはクセがあるので苦手に感じることもあるかもしれません。でも、例えばルイボスティーにローズを加えたり、緑茶に近い味のネトルにレモンピールを合わせたりすると、ぐっと飲みやすくなります。

 体調に合ったハーブは『美味しい』と感じることが多くて、自分の体が必要としているものに自然と反応しているのだと思います」

――代謝を上げたいときなどに、具体的におすすめのハーブはありますか?

「だるさや重さを感じるときは、体が酸性に傾いているサインかもしれません。そんなときには、アルカリ性に導いてくれるハイビスカスが役立つと言われています。です。酸味が強いので、ローズを加えたり、ルイボスにブレンドするのもおすすめです。ハイビスカスをお酢と蜂蜜に漬けて、ビネガードリンクにする方法もあります。こうした使い方はサロンでも日常的に紹介しています」

――日本ではまだ植物療法が主流とはいえません。現在の状況をどう見ていますか?

「日本では、植物療法がまだ“特別なもの”と捉えられている印象があります。ですが、昔は日本にも和漢や民間療法の文化がありました。おばあちゃんたちはクマザサ茶を飲んだり、イチョウの葉を使ったりしていたんです。


 それが今では、少し不調を感じたらすぐ薬、サプリ、エナジードリンク…という方向に流れがちになってしまいました。でも植物は、もともと薬の原材料です。だからこそ、“薬を必要として飲む前の選択肢のひとつ”としてもっと植物に目を向けてほしい。自分の体を整えたい、快適に暮らしたいと思う人に、植物療法という考え方が届いたら嬉しいです」
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