■未来の部屋に息づく「節約」と「夢」のリアル
――未来の部屋作りで、まず大切にされた点は何ですか?
渡邉:厳しい生活の中、夢を諦めずに日々を送っている未来の生活感を表現することに努めました。日々の食卓を支える豆苗は、自然と目に入る一番良い場所に置き、未来の唯一のぜいたくであるレモンサワーも、すぐに用意できるようセットしています。
レモンサワー用の食器は小道具さんがこだわって選んだもので、ジョッキはオリジナルデザインです。また、窓のカーテンは、劇団の小道具制作で余った端切れを使って未来自身が作った、という設定で飾っています。
――この部屋全体のコンセプトについて教えてください。
渡邉:居間は、未来が食事をし、勉強をし、身支度を整える場所でもあります。一つのテーブルでさまざまなことをしているはずだと考え、一人暮らしにしてはあえて大きめのサイズを選びました。
「芝居にひたむきな未来が、日々勉強に励んでいる感じを出してほしい」というリクエストがあったので、芝居の参考になりそうな本を多く置き、これまで演じた脚本はきちんとファイリングしています。未来の勤勉さが自然と感じられる飾り付けを意識しました。
■人物像を立ち上げるための美術設計
――天宮沙恵子プロデューサーからは、どのようなリクエストがありましたか?
美崎:「自分の人生に悩みながらも、夢に向かってひたむきに努力を続ける前向きな女性を表現してほしい」というリクエストがありました。
節約しながらも、未来の日々の暮らしが楽しく、豊かに見えるよう、美術スタッフそれぞれが工夫を凝らしています。
――間取りなどの空間設計について工夫した点はありますか?
渡邉:演出部が設定した未来の収入から考えると、家賃は6~7万円が限度となり、下北沢界隈ではワンルームが現実的です。ただ、ドラマ上では颯太が加わり、(西野七瀬演じる今井)沙織も頻繁に訪れるため、動きがつけやすいよう2部屋の間取りにしました。
知人から格安で借りている、という制作内での裏設定を設け、バランスを取りながらこの間取りに落ち着きました。
――撮影前や撮影時に、撮影部や照明部と話し合って工夫した点はありますか?
渡邉:セットを建てる際はスタジオの空間に制約があるため、セット数が増えるほど各スペースの取り合いになります。その中で、全ての空間を最大限に生かせるよう、サイズ感については何度も話し合いました。
■芝居とともにある、未来の日常空間
――寝室スペースについて教えてください。
渡邉:未来の暮らしぶりが自然に伝わるよう意識しています。潤沢な資金のある劇団に所属しているわけではないため、私物を小道具として使ったり、小道具やセットの一部を持ち帰って自宅で使用しているような雰囲気を演出しています。
また、努力家の未来は自宅で体力作りもしているはずなので、分かりにくいですが筋トレグッズも置いているんです。
――テレビ周りのスペースには、どのようなこだわりがありますか?
渡邉:テレビのある壁面は、未来の「好きなものゾーン」です。好きな劇団のチラシや心に残った芝居のポスター、忘れたくない言葉を書き留めた付箋などを貼っています。
付箋は未来の芝居に対する情熱があふれ出たものが書かれており、その内容は、助監督が丁寧に考えて書いてくれました。
勉強熱心な未来は映像でも芝居を学んでいるため、DVDも多く並べていますが、金銭的に余裕がないので、ダビング(録画・複製)してもらったものが多いという設定です。
――テレビ周りに貼られているチラシと窓の上のチラシとではどんな違いがありますか?
渡邉:同じ「好きなものゾーン」でも、テレビ周りは演劇関係が中心ですが、窓の上は映画やライブ関連のものを貼っています。ジャンルを問わず、未来の心に響いたものというイメージです。
■積み重ねてきた時間を物語る、紙ものと本の存在
――未来の部屋に飾られている手紙や写真には、どんなエピソードが込められていますか?
美崎:未来が劇団「アルバトロス」の仲間たちと撮った思い出の写真や、駆け出しの頃にファンからもらった手紙などを大切に飾ったボードを設置しました。
また、劇中で描かれた、未来が芝居を志すきっかけとなったお遊戯会での父親(汐川剛士/淵上泰史)とのツーショット写真も飾っています。直前まで修正を重ね、演出部の皆さんと一緒に仕上げていきました。
――舞台の台本のまとめ方で、工夫した点はありますか?
上原:映像作品では製本された台本が配られることが多いですが、今回は資金に余裕のない劇団という設定のため、数枚のコピー用紙を配布する簡素な台本にしています。
劇団員それぞれが工夫してオリジナルでファイリングしており、その個性が表れています。
未来は、自身が関わってきた作品の台本や勉強ノートを大切に自宅で保管しています。さらに、他劇団の舞台を観劇した際のチラシや、映画鑑賞時の資料、学習用ノートなどもまとめています。過去10年間、コツコツと集めてきた貴重な資料を捨てずに保管し、困った時に見返して答えを見つけられる“相棒”のような存在として大切にしている感じが出ればいいなと思っています。
――未来の部屋には多くの本がありますが、どのようなコンセプトで集め、配置しましたか?
上原:演劇、舞台、芝居、映像作品、世界の戯曲集など、芝居に関わる書籍を中心に揃えています。
同じ本を何度も読み返してきた様子を通して、これまで積み重ねてきた時間や努力が感じられればいいなと思っています。
――壁に貼られている大入袋も劇団員らしいですね。
渡邉:舞台の公演が大盛況だった際、主催者から出演者やスタッフに「ご縁(5円)」を願って配られる大入袋を、縁起物として楽屋に飾る慣習があると聞き、舞台人らしい表現として取り入れました。
同じような一角が稽古場にもありますので、ぜひ探してみてください。
■物語とともに変化していく、未来の部屋
――その他、未来の部屋で特にこだわった点はありますか?
渡邉:生活圏がサブカルチャー、古着、演劇、ライブハウスの街として知られる下北沢エリアという設定から、家具はリサイクル品を多めに使用しています。また、劇団で小道具やセットを手作りすることもあるため、カーテンなどは手作り感を出し、つぎはぎだったり、少しサイズが合っていなかったりするようにしています。
その結果、今では少し珍しい昭和の空気感が漂う部屋になりました。掃き出し窓の腰下部分の曇りガラスの高さは、ベランダでの芝居シーンが多い設定を踏まえ、未来の身長や室内からの見え方を計算して決めています。そうした細部も、監督との対話を重ねながら詰めていきました。
――未来と颯太の共同生活が進むにつれて、セットに変化はありますか?
渡邉:颯太が現れるまでは自分中心だった未来の生活が、次第に子ども中心へと変わっていく過程を、細かな装飾で表現しています。
一人暮らしの頃は脚本や資料が無造作に散らばっていましたが、活発な颯太の安全を考え、徐々に片付けられていきます。
――颯太が通う「よしずみ保育園」など、他のセットでこだわったことや工夫したことを教えてください。
渡邉:未来のアパートに関しては「演劇人といえば生活困難でも夢を諦めずに頑張る」というイメージが昔からあるかと思いますが、令和の現代でも、その構図は変わらないということで、多少時代錯誤かもしれませんが、昭和感を感じる内装にしました。よしずみ保育園は、園長(マキタスポーツ演じる松岡良純)が下で古着屋さんを営んでいるという、飛躍した裏設定があったので、雑居ビルにある庶民的な保育園ですが、ポップな要素も飾りで加味してもらいました。アパートや保育園は、温かみを感じる配色にしていますが、稽古場は汗水垂らして日々稽古している場ということで、泥臭い印象になるように努めました。
――どのセットも飾りが多い印象ですが、苦労したことはありますか?
上原:保育園のセットですね。装飾部のアシスタントが、園児たちが描いたであろう絵や、作ったであろう工作物を、時間をかけてゼロから作りました。
――最後に、視聴者に注目してほしいポイントを教えてください。
渡邉:芝居一筋の未来だからこそ、ファンレターやプレゼントも大切にしているだろうと考え、こだわりを持って飾っています。部屋の細かな装飾に注目していただき、未来の人となりを想像してもらえたらうれしいです。
また、資金に余裕のない劇団という設定から、稽古場にあるものが舞台装飾として使われている場面もあります。
颯太と生活する中で、未来の颯太に対する気持ちや、自分の中の価値観が徐々に変化する様子を美術部一同で繊細に表現しています。温かい気持ちになりながら、その空間を、画面を通して感じ取ってもらえたらと思います。

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