本作は、主演・杉咲と監督/脚本・今泉力哉氏のタッグで贈る“考えすぎてしまう人”のためのラブストーリー。主人公・土田文菜(杉咲)がこれまでに経験してきたさまざまな別れや、かなわなかった恋などから、人を好きになることにどこか怖れを抱いていて、「大切な人とはつきあわないほうがいいのではないか?」「そもそも恋愛とはなんなのか?」などと逡巡しながらも前に進んでいく物語となる。
文菜は、佐伯ゆきお(成田凌)の美容室で髪を切ってもらっていた。仕上がりには文菜も満足して美容室を出る。ゆきおと従業員の紗枝(久保史緒里)が見送る。
数日後、文菜と山田(内堀太郎)はホテルの一室にいた。文菜は、昔好きだった人に送ったメールを最近、見返していたと話す。その相手はミュージシャンの田端亮介(松島聡)。「最初はそんなに好きじゃなかったけど、最後の方はかなり好きになってしまっていて」「完全にぶっ壊れていた」と話す文菜。自分で送ったメールの言葉たちが、あまりにも病的で暴力的で、と自省する。文菜はそのメールを山田に「読んでもらってもいいですか?」と言い、携帯を渡す。躊躇する山田だが、「俺が共有することであなたが少しでも楽になるなら」と読み始める。
2年前、文菜の部屋。そんなにつらい思いをしているのに呼ばれたら会ってしまう、という文菜の行動を責める小太郎(岡山天音)。小太郎は文菜のことが好きで、だから苦しい。しかし、「好きだから会いたい。その気持ち、わかるでしょ?」と言われ、今、文菜の家にいる自分の状況と被ってしまった小太郎はそれ以上、責めることができない。「なんで自分を好きになってくれない人を好きになるんだろうね」と小太郎に言う文菜。一方通行の想いを持つもの同士の空気は、少し温かく、とても切ない。
なぜか文菜とは適度な距離を取り続ける亮介は「俺を好きにならないところが文菜の魅力だったのになあ」と言う。文菜は、どんどん好きになっていて、好きな人のすべてを知りたいと思っていた。そんな文菜の気持ちを感じ取った亮介は、自分が特定の彼女をつくらない理由を話し出す。それは文菜がまったく想像もしない純粋な理由だった。
作中では脚本の今泉力哉が本作のために書き下ろしたオリジナルの楽曲を松島が奏でるシーンも。その歌は優しくも切なく、心に染みる。文菜が「好きになってしまったことで会いたい人に会えなくなる」ことがあることを知り、「人を好きになって自分を見失うのは嫌だ」と思うようになったきっかけを知る。

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