世界的な自動車企業であるトヨタが営む博物館である以上、これまで開発してきたトヨタ車が多数展示されているのだろうと思いきや、140台ほどの展示車のなかでトヨタ車は約2割ほど。同館スタッフは「自動車、ガソリンエンジンの歴史を展示しておりまして、それは初代の『ベンツ・パテント・モトールヴァーゲン』(内燃機関で走行する世界初の車)から始まって、弊社の未来、水素ガスにまで至るこのエンジンのずっと流れの歴史をやっております。他社の車についても、歴史上、当然保管しておかなければいけない車たち展示してご覧いただいております」と、あくまで宣伝目的ではなく、自動車産業の歴史をひもとくものであると、その理由を語る。
数ある展示車のなかから、同館が今回展示したのは2台。トヨタ『セリカ GT-FOUR ST185型』(1993年)、トヨタ『サイノス コンバーチブル』(1995年)という“個性的”な車を展示した。「今回、トヨタ博物館として初めて参加させてもらうにあたり、何を展示していいのかと迷ったんですけど、トヨタ自動車、トヨタ博物館ならではの、他社様と被らないものということで検討した結果ですね。トヨタの乗用車とは少し違う独自のコンセプトカー、ラリーカーという形で展示させていただきます」とその理由を語る。
特に『サイノス』については、「日本で作られた『サイノス』を、アメリカの方に送って、コンバーチブルに改造して(送り返して)もらってますので」という、車体を行き来させた当時ならではの生産工程で作られた1台。展示車については、「同車を発表する際のモーターショーでの、最初のコンセプトカーですね」と伝えた。
同館には、こうした珍しい車を含め、バックヤードには500台以上の車を保管し、さまざまなテーマに応じて140台ほどを展示しているという。取材に協力いただいた同館スタッフは「個人的な見解ですが」と前置きしたうえで言う。
「今、若者の車離れと言われています。あと、車がEV化していくことで、どんどん家電製品に近づいている。でも、うちの会長も言っていましたけど、身の回りで使われるいろんなものの中で、物に対して『愛』が頭につくのは車だけなんです。それだけ車は人に愛されて、大事にされて、ということを我々は今後も忘れてはならないと思います。そして今、車がお客様にとって愛を持って迎えられるのはなぜかということを、車の歴史を振り返っていただきながら(考えていただく)。そして(その歴史を)我々がどうつなげていくかというのは、今後の開発と両輪でやっていかなきゃいけないものだと思っております」。

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