東方神起少女時代ら世界的人気を誇るアーティストたちを擁するSMエンタテインメント(以下、SMエンタ)の所属アーティストが集結するライブイベント『SMTOWN LIVE 2025-26 in FUKUOKA』が、1月31日、2月1日の2日間、福岡・みずほPayPayドーム福岡で開催された。その公演で、まだ日本デビューしていないにもかかわらず、驚くくらい大きな歓声を集めていたのが8人組ガールズグループ・Hearts2Hearts(ハーツ・トゥー・ハーツ)だ。

 Hearts2Heartsは、2025年、韓国の名門事務所SMエンタが設立30周年を迎えた記念すべき年にデビューさせた新人グループ。グループ名には、「様々な感情や心からのメッセージを込めた神秘的で美しい音楽世界を通じて、世界中のファンと心を繋ぎ、より大きな「私たち」として一緒に進んでいく」という意味が込められている。

 2025年2月24日に1stシングル「The Chase」でデビューしたHearts2Heartsは、デビューからわずか15日で、韓国の音楽番組で1位を獲得。新人賞では「2025 MAMA AWARDS 女性新人賞」「MMA(Melon Music Awards)今年の新人賞」をはじめ、2025年デビューアーティスト最多受賞となる9冠に輝き、Z-alpha世代のアイコン的グループとなっている。

■グローバルでも注目されているグループ

 日本でも“ブレイク前夜”ともいうべき状態だ。2025年3月30日に横浜・Kアリーナで開催されたグローバルミュージックフェスティバル『The Performance』で日本初ステージを披露。同年8月にはSMエンタの所属アーティストが大集結する『SMTOWN LIVE 2025 in TOKYO』で初めて東京ドームのステージに立ち、事務所の“箱推し”ファンからも温かく迎え入れられた。

 11月に韓国盤1stミニアルバム『FOCUS』をリリースすると、25/11/20付オリコンデイリーアルバムランキングで1位を獲得。12月にダイバーシティ東京プラザで開催されたリリースイベントには5000人ものファンが詰めかける人気ぶり。SNSでは「ハトゥハの人気すさまじい!」と驚きの声が続々と投稿される反響が広がっている。

 グローバルでも注目を集め、前出の『FOCUS』は米音楽メディアThe Fader選定の「The 51 Best Songs of 2025」でK-POP最高順位の11位に。さらに、米ビジネス誌Forbesでは「Most Acclaimed Rookie Album」に、イギリスの音楽総合サイトNMEでは「NME 100: Essential Emerging Artists For 2026」にも選定されている。こうした反響を受け、3月19日にニューヨーク、同22日にロサンゼルスでショーケースを行うことが決まり、同28日にはインドネシア・ジャカルタでファンミーティングを開催予定となっている。

 それでは、今、知っておきたいHearts2Heartsの魅力に迫る。

■第5世代のセオリーではなく、SMブランドの継承ともいえる王道を再提示

 K-POP第5世代の楽曲とパフォーマンスは、SNSでのバイラル、チャレンジ動画、中毒性のあるワンフレーズで勝負をかけるものが主流だ。だが、Hearts2Heartsは、それらとは少し違う道を歩んでいる。

 Hearts2Heartsの楽曲とパフォーマンスは、派手さやインパクトで刺さるというよりも、繰り返し見聞きするほどに魅力ポイントが増えていくタイプといえる。ボーカルとハーモニーを丁寧に積み上げ、8人という多人数を活かしたフォーメーションの美しいステージングでファンを魅了する。SMエンタで鑑みると、初期の少女時代を彷彿させる。このように、あえてSMブランドの継承ともいえる王道を再提示したのは、30周年というアニバーサリーに彼女たちをデビューさせた意義なのかもしれない。

■まずは“個”よりも、“チーム”で勝負 構造美で魅了する

 2023年以降にデビューしたK-POP第5世代は、「個の時代」といわれている。強烈なセンター、圧倒的メインボーカル、SNS映えするビジュアル担当など、グループの中にいながら、“推しやすい単体アイコン”を作る戦略が主流だ。

 その流れの中で Hearts2Hearts は、あえて、「“個”より“チーム”で勝つ戦略」をとっている。明確なセンターを置くのではなく、楽曲ごと、パートごとに中心が移動する“循環型”構造を取る傾向が強い。これは、個よりも集合体としてのスケール感を印象付ける。5人グループが主流の第5世代の中にあって、8人組のHearts2Heartsには有効な手段だ。

 少女時代らK-POP第2世代の頃から「カルグンム(刃群舞)=刃物のように鋭く揃ったシンクロダンス」がフォーカスされたが、Hearts2Heartsには「カルカク(剣角)パフォーマンス=“剣”で描いたように、鋭く正確な“角度”を見せるという意味に由来する、複数人が動きの角度、タイミング、位置を完璧にマッチさせるダンス」という修飾語が用いられていることからも、その“構造美”が特徴となっている。

■“チーム”を支えるメンバーたちの“個”をクローズアップ

 とはいえ、そんな“チーム”を支えるメンバーたちの“個”は、かなりハイレベル。メンバーそれぞれの特徴や個性を紹介してみよう。

◆JIWOO(ジウ)
 リーダーのJIWOOは、グループの精神的支柱であり、安定感のあるボーカル&ラップとバレエ経験から生まれる優美な動きが魅力。全体のバランスを見ながらパフォーマンスをまとめる統率力があり、MCやコメントでも落ち着いた印象を与える。透明感のあるビジュアルは、ボブのヘアスタイルがトレードマーク。日本語が堪能で、昨夏に行われた東京ドームでの『SMTOWN LIVE』記者会見では、通訳なしで流ちょうにコメントした。今後の日本活動のキーパーソンになりそう。

◆CARMEN(カルメン)
 グループの最年長のCARMENは、SMエンタ初のインドネシア・バリ島出身のメンバーで、エキゾチックな容貌が目を引く。デビュー曲「The Chase」ではクライマックスと高音パートを担当した。その歌声で、楽曲の雰囲気を作る。

◆YUHA(ユハ)
 「音色」「表情」「物語性」を持つ歌声が魅力。曲の導入パートを担当することが多く、その声で楽曲の世界観が立ち上がる。小学校時代は、数々のピアノコンクールで上位入賞を果たしている。メンバー最長の約7年におよぶ練習生期間を過ごしているだけに基礎が磨き上げられ、歌、ダンス、ビジュアルすべてに優れたオールラウンダー。

◆STELLA(ステラ)
 洗練されたビジュアルと独特の雰囲気にまず惹きつけられる。ダンスはキレとしなやかさの両面を持ち、表現力の高さからブリッジパートを担当することも。カナダで育ったバイリンガルで、ラップパートも担当。

◆JUUN(ジューン)
 ダンスラインを支える存在で、フォーメーションの中心に立つことも多い。キレのある動きと体幹の強さが特徴で、大人数構成の中でも存在感を発揮する。福岡での『SMTOWN LIVE』では、SMエンタガールズのダンス番長、少女時代のヒョヨンとのコラボに抜てきされた。ハスキーボイスも魅力。

◆A-NA(エイナ)
 エキゾチックなルックスとモデルのようなフィジカルで視線をさらう。明るいキャラクターで、チームの雰囲気を和ませるムードメーカー。2025年3月から、ZEROBASEONEのキム・ギュビン、TWSのドフンと共に、韓国の音楽番組『ショー!K-POPの中心』のMCを務める。

◆IAN(イアン)
 猫のような目元と透明感が魅力。落ち着いた低い音色が特徴で、低音部を担当する。JIWOO、JUUNと共にラップを担当することも多い。クールな雰囲気と繊細な表情演技が強み。楽曲ごとのコンセプトに合わせて印象を変えられる柔軟性があり、グループの世界観拡張に貢献するメンバー。

◆YE-ON(イェオン)
グループ最年少の15歳。末っ子らしい若々しいエネルギーと自然体の魅力で、グループにフレッシュさをもたらす。幼少期にミュージカルを学んでおり、しっかりした歌唱力と安定した音程感が魅力。

■2月20日に「RUDE!」でカムバック! 日本活動にも期待

 こうした個々の魅力あるHearts2Heartsが、2月20日にデジタルシングル「RUDE!」でカムバックした。タイトル曲「RUDE!」は、ハウスベースのダンス楽曲で、リズミカルなグルーヴと弾けるシンセサウンドが特徴。歌詞には既成のルールにしばられない“おてんば”な少女たちのキュートな反抗心と、Hearts2Heartsならではの大胆な魅力が込められている。

 おしゃれで完成度の高いパフォーマンスで話題となった前作「FOCUS」に続き、振付にはダンスバトル番組『STREET DANCE GIRLS FIGHTER』で注目された韓国の若手ダンサー/振付師のチョ・ナインが参加。華やかな動線変化、ペアやユニットをフィーチャーした振付で多人数グループの長所を際立たせる新たな「カルカクパフォーマンス」が期待できる。2月21~22日にソウルオリンピック公園オリンピックホールで開催された初のファンミーティング『2026 Hearts2Hearts FANMEETING 』で新曲「RUDE!」を初披露し、S2U(ハチュ/Hearts2Heartsのファンダムネーム)を沸かせた。

 リーダーのJIWOOは福岡での『SMTOWN LIVE』で、「日本活動も準備しています!」と宣言しており、今後、日本での活動の本格化を期待したい。

文・坂本ゆかり

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