津久井は2019年10月に、ALS(筋萎縮性側索硬化症)であることを発表。ALSとは、意識はあるのに体が動かなくなる病気で、難病に指定されており、進行を遅らせる治療法はあっても、原因や治療法はまだわからない難病。しかし公表した後、徐々に体が動かなくなっても、奇跡的に声が出て、告知後も2022年3月放送分まで3年間ニャンちゅうを演じ続けた。現在は羽多野渉が引き継いでいる。
今回の書籍は、ALSと診断されるまでの経緯、声優になったきっかけや実際の現場の様子、発症から現在まで何を思い、どのように過ごしているのか、日々どのように工夫を凝らしているのかなどを細かく記した一冊となっている。そこに常にあるのは「笑い」。現実と向き合い、できなくなったら工夫してまるで「工夫の工場」のような生活をつづっている。津久井が全力で残す、これまでの笑いと涙と工夫の記録で「介護をされる人」や「胃ろうや呼吸器をつけた人」からの貴重な体験談をまとめた一冊になった。
罹患した2019年は歩きにくいという状況だったが、2020年には手が上がらなくなり、2026年2月現在、津久井はALSの進行により体が動かなくなっている。それでも視線入力で原稿を書き、書籍を制作した。今回の情報解禁にあわせて公開された動画では、自身の言葉で発売の告知している。
なお、連載を進めるごとに指が動かなくなり、タイプは口にくわえた割り箸で一文字ずつうちこむ「秘儀・割り箸入力」に変更、さらに首も動かなくなったら視線入力し、「できなくなったら工夫会議」で挑戦し続ける明るさの源は、「夫婦漫才」の相方・妻の雅子さんの存在だった。告知されたときには「あなたって、こういう節目節目で派手なことやるよね」、呼吸困難で意識不明になり、気管切開するかいなかのときも「生きればいいじゃん」と声をかけたことが明かされている。288ページのボリュームで定価は1870円。
■津久井教生の軌跡の一部
1992年4月 ニャンちゅう誕生。初回から声優をつとめる
2019年3月 突然大きく転び足に違和感を覚える。
5月に整形外科を受診後、神経内科に検査入院
2019年9月 ALSと診断される
2019年10月 ALSと世間に公表。同時にニャンちゅうの声を続けることも伝える
2019年12月 腫瘍摘出手術
2020年10月 9月末まで家族だけで介護していたが、訪問介護を導入
2021年 要介護4に認定。夏ごろ重度訪問介護スタート。
2021年12月 割り箸入力で原稿執筆。視線入力のトレーニングを開始
2022年4月 ニャンちゅう誕生30周年
2022年6月 要介護5に認定
2022年10月 ニャンちゅう役をバトンタッチすることを公表
2022年12月 気管切開手術。声を失う。胃ろうもする
2025年 視線入力で書籍の書き下ろし原稿を執筆
2026年4月27日 連載と書き下ろし原稿による本作を刊行
■津久井教生(つくい・きょうせい)プロフィール
1961年3月27日東京生まれ。

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