「2023ミス日本みどりの大使」で日本大学芸術学部音楽学科 助教の上村さや香さんが8日、日本大学芸術学部江古田キャンパスにて、国産材(能登ヒバ等)を使用したカスタネット制作体験を通じ、木材資源の循環利用および森林保全の重要性について理解を深める教育普及型ワークショップ『国産材でつくるカスタネット~森林循環を音で学ぶ~上村ゼミ × ヤマハ「おとの森プロジェクト』を開催した。

 このワークショップは、日本大学芸術学部「春のオープンキャンパス」の一部として、上村ゼミと、ヤマハ株式会社「おとの森プロジェクト」の共催、国土緑化推進機構「緑と水の森林ファンド」助成事業として実施されたもの。
森林資源の循環利用、木材活用の意義、地域資源の価値を次世代へ伝えることを目的とした教育普及型プログラムで、音楽・教育・森林分野を横断する学際的な取り組みとして実施している。

 「今日は楽器と森の関係について、カスタネットを作ることで、音の奥にある森に想いを馳せていただけたら嬉しいなと思います」という上村さんの言葉でワークショップがスタート。まずは、ピアノ、ギター、ヴァイオリン、木琴、ドラム等、多くの楽器が木で作られていることを紹介し「森が無いとこうした楽器も作れません。音楽と森はすごく深く繋がっています」と説明する。

 しかし「これらの楽器の約99%が輸入材で作られている現状があります」と上村さん。続けて「日本の森林の課題として、日本の木をあまり使えていないという課題があります。使って植えて育てるという森林循環というサイクルを約50年から100年かけて行うことで森林の健康が保たれるんですが、現在半数以上が50歳以上を迎えてしまっていて、今使う時なのに使えていないんです」と森林資源活用の課題を語った。

 「木の文化」の現代的な価値や意義を加味して、緑や木の重要性を広く社会に発信する役割を担う「ミス日本みどりの大使」として活動した上村さんは、全国の森を巡って、林業従事者と接する中で、石川県の県木である能登ヒバでギターを作る試みや、そのギターを使ったライブ活動などを通じ、森林と音楽についての研究を続けている。国産材で楽器を作る取り組みが進みつつある今、今回のワークショップを企画したのだという。

 そしてここからは、ギターの制作にも使用された能登ヒバをはじめとする国産材で、参加者がカスタネット制作を体験。上村さんは「能登地方にしか生息していない木材で、匂いも香りもとっても良いので後で嗅いでみてください。皆さんに能登ヒバを使ってカスタネットを使って鳴らしてもらうことで、能登の復興にもつながると思っています。
能登ヒバ特有のサウンドキャラクターを楽しみながら作ってみてください」と笑顔で促した。

 参加者は、4種類の木材から好みのものを選び制作を開始。カスタネットは2枚の板を打ち鳴らす楽器だが、このワークショップでは上の板に選んだ樹種の材質によって音が決まってくるという。「ヒバは少し柔らかくて軽いので音程が高くて柔らかい音になります。広葉樹は重くて硬いので、どちらかというと硬いカンカンという感じの音になるイメージです」と上村さん。そして、自分で紙やすりをかけ、ワックスで磨き、ゴム紐で固く結び付ければ完成。自分で作り上げたカスタネットだけに、参加者たちが愛着をもって楽しそうに打ち鳴らす姿が印象的だ。

 最後には、この日のために作詞作曲した新曲(曲名未定)を、上村さんの能登ヒバのギター演奏と歌、参加者のカスタネットで合奏。ぶっつけ本番ながらあたたかい音色の見事なコラボが完成。日本の木材の魅力を発見する、新たな出会いの場となった。

■「2023ミス日本みどりの大使」上村さや香さんインタビュー

――アーティスト、ミス日本、研究者、これまでの上村さんの活動の集積が実ったワークショップでした。

「2023ミス日本みどりの大使を経て、日本大学芸術学部音楽学科の助教となって、シンガー・ソングライター、そして研究者である自分に何ができるかなと考えたとき、日本の森林林業のために、音楽の力を通して皆さんに森林の大切さ、木を使うことの大切さを身近に感じてもらえたらいいなと思って活動しています。
今回、カスタネットをテーマにした新曲を披露したんですが、ギターよりも習得に時間のかからない身近なカスタネットを使って、木の響き、楽器を作るには森が必要なんだ、ということを皆さんに感じてもらえたらいいなと思います」

――カスタネットは「木の材質によって音が違う」という原点が体験できる楽器ですね。

「そうですね。今日は能登ヒバ、ウォルナット、イタヤカエデとナラの4種類を用意したんですが、一個一個、木目も違いますし、組み合わせによって音も違うので、そうした木の持つ一つ一つの個性を楽しんでもらえたらいいなと思っています」

――音楽と森の繋がりについての意識は、ミス日本みどりの大使の活動でより深まったようですね。

「みどりの大使として、能登ヒバのギターで『森で愛ましょう』というオリジナル曲を全国で歌って、林業従事者の皆さんの“本当に感動した”“こういう活動をしてくれていることが嬉しい”という声をいただきました。その経験を通してこれから自分に何ができるかを考えたとき、発信し続けることの大切さを改めて感じました。今後もさらに音楽と楽器・森林についての考えを深めながら、楽曲やメディアとしての表現とともに研究としても発信し、学際的に発表していけたらと考えています。」

――現在もOGとしてミス日本コンテスト運営委員会の委員として活動に協力されていて、後輩たちを見守る立場になったと思うのですが、ミス日本を経て自分の世界が広がった経験されている立場から、これからの人たちにメッセージをいただければと思います。

「中学生の頃から15年間くらい音楽活動を続けてきて、それまでの私には音楽しかなかったんですが、みどりの大使に選んでいただいたことで、もう一つ人生の指標ができたという感じだったんです。自分がやってきた音楽が森林と繋がっていて、国産材でできた楽器に出会ってと、どんどん世界が広がって行きました。これからもし『ミス日本』に挑戦したいという方には、新しい学びがたくさんあるコンテストだと知っていただきたいです。ミス日本の勉強会でいろいろなことを学ばせていただき、みどりの大使になってからも、自分の得意分野を活かして、社会に貢献していく糸口を見つけて、それが今の研究に繋がっています。これからも研究者として、アーティストとして学びを深めていきたいと思っておりますが、その原点にはみどりの大使の活動があります。学びの多いコンテストですので、ぜひ参加していただけたら嬉しいなと思います」
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