―― 遺言の下書きかと思ったら「コロッケのレシピ」だったと気づいた瞬間、どのようなお気持ちになりましたか?
「父は好奇心旺盛なマメ男だったので、『あ~』と納得しながら脱力しました(笑)」
几帳面にメモを残す習慣が、亡き父らしさを今も伝えてくれているようだ。
―― 生前のお父様はお料理好きだったのでしょうか?
「父は戦前の満州生まれで、大連で中国人のコックがいる家庭で育ちました。帰国してから姉に習ったそうで、餃子と炒飯は我が家では父が作るものと決まっていました」
とりわけ餃子の腕前は格別で、「今でも私にとっては世界一おいしい餃子だと思っています。真似して作ってもとても太刀打ちできません」と振り返る。ただし、それ以外の料理を作ることはなかったという。
―― お父様はコロッケも得意料理のひとつだったのでしょうか?
「コロッケは作ったことがないんです。じゃがいもが大好きでコロッケも大好きでしたが……。いつか試してみようと思って書き留めていたのかもしれません」
メモには「裏ごし」や「ラードで揚げる」といった本格的な工程も記されていた。父親がコロッケを作ることはなかったが、こだわりの一皿をいつか作ろうとひそかに温めていたレシピだったのかもしれない。
―― このレシピをもとに、ご自身でコロッケを再現してみようという計画はありますか?
「はい、あります。
また、投稿には「いもは男爵」という書き出しを面白がるコメントも多く寄せられた。「雅だとか(笑)。『春はあけぼの』か!とツッコみました」と投稿主さんも笑う。8年越しに父の字で綴られたレシピを手にし、いつかその"幻のコロッケ"が食卓に並ぶ日が楽しみだ。
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