同作品は『みんな我が子』『るつぼ』などで知られるアメリカ現代演劇の旗手アーサー・ミラーが1949年に発表した作品。消費主義によって繁栄が促進されたアメリカ社会。その中で疎外されまいと必死にもがく老セールスマン、自立できない2人の息子、献身的に夫を支えるも希望の光を見出せない妻の姿を描いている。ブロードウェイ開幕と同時に大きな反響を呼び、742回のロングランを記録。そして同年のトニー賞ベストプレイ賞、ピューリッツァ賞、ニューヨーク劇評家賞など名誉ある賞を数多受賞したほか、2度にわたり、映画化もされた。
日本でもこれまで数多の名優によって上演された近代演劇の金字塔となっている。作品の中で描かれている社会システムの残酷さは世界共通の現実であり、競争社会、家庭の崩壊、若者の挫折は社会の根源的な問題である。同作品では普遍性を持って、現代を生きる私たちに問いかけ続ける。
今作の演出を手掛けるのは小川絵梨子氏。主演のウィリー役は「一人芝居」の第一人者としての演技力が国内外からも高い評価を得ているイッセー尾形。ウィリーの長男・ビフ役には秀逸な表現力と存在感で数多のドラマ、映画、舞台で活躍する中島裕翔。
東京上演(東京劇術劇場プレイハウス・6月26日から)を皮切りに、埼玉、大阪、愛知、富山、長野の6都市で8月まで上演される。
■出演者コメント
【イッセー尾形】
昔のアメリカドラマを観ていると、馬鹿でかい、四畳半ぐらいの車がよく登場するのですが、この台本を読みながら始終そのキャデラックぽい車が頭に浮かびました。まさにアメリカンドリームに敗れ果てた一家の悲惨な物語と言ってもいいでしょう。現代人がこれをどう観るか興味があります。「今だからこそ意味がある」と思われる作品にしたいものです。そのためにはまず台詞の一行一行から掘り下げなきゃ。
【中島裕翔】
人は、自分を定義するアイデンティティや肩書きみたいなものがないと不安になる生き物だと思います。何者でもない自分でいる状態が怖い。だから何者かになろうとする。
でも今度は、周りが求める期待に応えようとすればするほど、本当の自分との差に耐えきれず、いつか自分の心を壊してしまいます。過去の輝きに囚われることなく、“本当”の自分や、“今”の自分を自認する勇気を持てるか。
演劇の金字塔である作品に参加するのはとてつもなく緊張しますが、このような機会をいただけたことに感謝し、しっかりと学ばせていただきます。

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