本作は、主演・杉咲と監督/脚本・今泉力哉氏のタッグで贈る“考えすぎてしまう人”のためのラブストーリー。主人公・土田文菜(杉咲)がこれまでに経験してきたさまざまな別れや、かなわなかった恋などから、人を好きになることにどこか怖れを抱いていて、「大切な人とはつきあわないほうがいいのではないか?」「そもそも恋愛とはなんなのか?」などと逡巡しながらも前に進んでいく物語となる。
ゲストとして登場した加賀は、本作を欠かさず毎話見ているという。大島らとともに、今泉が語るこれまで明かすことのなかった撮影の裏側や本音、そして「そもそも恋愛とはなんなのか?」を語り合った。
■第1話誕生の秘話 「実は元々は第2話がドラマの第1話でした」
今泉は、トークイベントで数々の裏話を明かした。元々は第2話がドラマの第1話だったという。「最初、文菜が1話の時点でけっこう嫌われていた、というか、ついていけない、みたいな感想も多く目にして。1話がちょっと尖りすぎてたっていうのはあるんですけれど。自分の中でもわかっているというか、原因は2つあって。1つは、最初にゆきお(成田凌)とコインランドリーで出会って、相手の職場についていって、で、しかもお酒まで飲んで、家にも行くみたいな。怖いじゃないですか。危ないし。
続けて、第2話の文菜が古着屋で働いていて、行きつけの喫茶店があって、と色々な登場人物が紹介される回を1話にしようとしていたと明かした。「ゆきおともすでにつきあってて、山田も小太郎(岡山天音)もいて、みたいなところから始めようとしていたんです」と語る今泉に、加賀と大島も驚きをみせた。そして第1話が今のかたちになった経緯として、今泉が脚本を執筆しながら、本作のロケハンを行った際、同行するスタッフに相談したところ、「(コインランドリーでの)出会いは第1話で見たい」「これはだいぶ危ないけど、面白い」という声があがり、「本当?じゃあ第1話でやる?」というやりとりを経て、変更に至ったという。そのエピソードに、大島は「監督より他のスタッフの方が尖ってたんですね。確かにこれ地上波だっけ?って思いながら何回かリモコン確認しちゃいました」と反応した。
■加賀が語る、小太郎の魅力
「僕、見ててこんなにベラベラ喋っちゃうドラマ初めてで。“やめなやめな”、“行くな行くな”、“それダメ”ってめっちゃ喋っちゃうんですよ。でもそのダメだよっていうところにつま先はみ出ちゃう、その危ない魅力がドラマを通して一貫してるんだなと思った時に、心の制御の出来なさを感じて、すごい好きなんですよ。ネタでもそういうことは書いたりするんですけれど。
それに対し、今泉は「同じですよ、笑ってます。俺も愛おしいなと思っているし、やっぱりそのダメな部分とか、あの、良かれと思って言っている小太郎の言葉が全部ずれていたり。正直なことが正しいわけじゃないのに、嘘とかつけずにバレちゃう人じゃないですか。ああいうのはその人の魅力と思って書いています。でも相手にしたら無茶苦茶じゃないですか。例えば女性に“ちょっとむくんでない?”みたいなことを言っちゃうとか」と、同じく小太郎を愛でている様子をみせた。
■今泉が描く成長しない人物の魅力
大島は、「僕は監督の過去の作品とかインタビューとかも知りすぎているんですけれど。いろんなところで、成長しない主人公を描いて、それを(見ている人が)見守るような、答えのない作品をつくりたい、とおっしゃってると思うんですけれど。とはいえ、文菜は10話という長い期間で描いているから、どうしても進化せざるを得ないのかなと思っていて。
今泉は、「成長させないというのは、言葉としては言えるけど、難しいですよね。何を成長と呼ぶか、で。最終回に向けてゆきおとちゃんと向き合おうとする、それだけでも十分な成長と捉えられるし。具体的に何かをするって行動だけじゃなくて、思考したり悩んだりっていうことも十分な行動だし、十分な成長と俺は思っているんですよ。告白するかどうか迷っている人と、迷いもしていない人って全然違うと思っていて。(結果だけじゃなく、)過程を描きたいし、その悩みの過程を誰かが見ていることを描くことが映画とかドラマではできると思っていて。そこはやりたいんです。そうすると、見ている人たちが日々上手くいってなかったりする時に、あ、自分のこの上手くいっていない時間も誰かが見ているかも、って。その日々も主人公になり得るというか。
■今泉が辿り着いたラストとは?
加賀は、「こんなに心に揺さぶられて、キャラクターに愛を感じるっていうのは、やっぱりこれは今泉さんの人間愛だとは思うので、これがやっぱり魅力だから10話が本当に怖くて。誰かが絶対どうにかなるじゃないですか」と意見。それに対し、今泉は「10話はもちろん文菜がゆきおと向き合ってどうなるか。一番大きいのはそれでも続けていくのか、別れるのか、みたいな部分だと思うんですけれど。撮影をしながら、現状の脚本だとなんか1個足りない、と思ってたんです。別れ話とか、正直に向き合った際に生まれる、まだあまりドラマなどで描かれてない感情が絶対あるはずなのに、ってずっと思ってて、ずっと考えてて。で、自分なりに1つの答えに辿り着いて。多分あまり描かれていない感情に文菜がなります。それを描くことで、救われる人もいれば、呆れる人もいると思うっていう結論に達します。
質問コーナーでは、「純粋な好きと言う気持ちでつきあってきたこと、安定感を考えてつきあってきたことと両方経験があるが、感情と理性どっちを大事にすべきか?」「恋愛的に好き、性的に好き、人間的に好きの違い」や「ムチャクチャ好きだった人との恋愛から立ち直るには?」などの質問にも答えた。
最後に今泉が最終話の見どころを語った。「10話でゆきおと向き合うことをしようとしている文菜が向き合った結果の感情を描けている自信はあるので、すべての人に届くというよりは、深く誰かに届けばいいかなと思っていて。それで誰かがちょっとでも、今まで恋愛ものは見ていても省かれた外側にいたけれど、あ、そこを描いてくれるんだ、と思ってもらえる作品になっている気はするので、ぜひお楽しみに。小太郎もまたなんか大暴れしているので」とコメントした。

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