「自分が子どもの頃に、こういう環境があったらよかったなと思います」

 そう話すのは、B.LEAGUE(Bリーグ)・アルバルク東京の大倉颯太選手(26)。自身が手がける「KOA BASKETBALL ACADEMY(コア・バスケットボール・アカデミー)」の3つ目となる新拠点「墨田校」が、4月3日に開校する。


 2023年7月に開校した新木場校(東京都江東区)、戸田校(埼玉県戸田市)に続く3校目。大倉はそのきっかけについて、「プロとしてプレーする中で、バスケットボールの進化や自分自身の成長を実感する機会が多く、その中で“なぜそのプレーをするのかという理解”の重要性に気づいた」と説明する。

 「ただ走るのではなく、なぜ走るのかを理解して取り組む。この練習をすればドリブルのスピードが上がるといったように、目的を知ることで取り組み方が変わり、上達のスピードも変わってきます。そうした意識を持てたのは、Bリーグの選手になってからでした」

 その実感が、育成への取り組みへとつながった。

 「もし自分が子どもの頃からそうした意識で練習できていれば、もっと違った成長があったかもしれません。だからこそ、育成年代のうちからそうした意識を持って取り組める環境が必要だと感じました。だったら自分で作ろうと思ったんです。自分の思いに共感してくれるコーチと出会い、仲間も増えていく中で、3校目の開校につながりました」

 同アカデミーでは、技術面だけでなく体づくりにも重点を置く。

 「自分の体をコントロールできてこそスキルが活きると考えています。そこにしっかり取り組んでいる点が特徴です。うまさだけでなく、駆け引きや体の使い方まで、現役選手としての知識や経験を伝え、試合に勝てる選手を育てていきたいです」

 子どもたちに向けては、「バスケが上手くなりたいという思いで来ていると思うので、それぞれが目標を持って取り組んでほしい」と呼びかける。


 「みんな違っていいと思いますが、“こうなりたい”という気持ちは大切にしてほしい。このアカデミーをきっかけに、人としても成長してくれたらうれしいですね」

 大倉は1999年生まれ、石川県野々市市出身。バスケットボールが盛んな地域で育ったが、「当時はプロが身近な存在ではなかった」と振り返る。

 「憧れの選手も特にいなかったです。ただ、指導者やチームメイトには恵まれていましたし、小中高と競技を続けてこられたことは大きかったと思います」

 中学3年時にはエースとして布水中を日本一に導き、北陸学院高、東海大でも世代トップクラスの活躍を見せた。大学在籍時の2019-20年シーズンから特別指定選手としてBリーグの強豪・千葉ジェッツでプレーし、2021年にプロ契約を結んだ。

 そのキャリアの中で、大きなけがも経験。大学3年時の2021年2月に右前十字靭帯を断裂。2024年1月には左足でも同様の大けがを負った。そんな2度の大けがを乗り越え、2024-25シーズンからはアルバルク東京でプレーしている。

 ポイントガードとして試合をコントロールする役割を担い、武器であるシュート力で存在感を発揮。「特にスリーポイントは強み。
今季は昨季より確率も上がっている」と手応えを口にする。

 これまでのキャリアについては「夢がかなったという感覚とは少し違う」としながらも、「バスケットボールを続けてきてよかったという実感はあります」と語る。

 現役選手としてプレーを続けながら次世代の育成にも力を注ぐ中で、「毎シーズン優勝を目指して戦うこと。そしてプレーを通して、見てくれる人に何かしらの影響を与えられたらと思っています」と話す。

 さらに「子どもたちの成長を見ることが、自分のモチベーションにもつながっている」とし、「バスケットボールは生活の中心にあるもの。ない人生は想像できないですね。これからも関わり続けていくと思います」と語った。
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