Appleの動画配信サービス「Apple TV」で、Apple Original Films最新作『アウトカム』が4月10日より世界同時配信が始まった。監督・脚本をジョナ・ヒルが務め、主演にキアヌ・リーブスを迎えたダークコメディだ。


■キアヌ・リーブスが“嫌われ者”のスター役

 本作でリーブスが演じるのは、子どもの頃からの長年の活躍で、国民的に親しまれてきたハリウッドスター、リーフ。ある日、リーフのもとに、衝撃的な“謎のビデオ”が届く。自身のイメージを失墜させ、キャリアを完結させかねない脅迫を受けたことをきっかけに、心当たりのある人たちへの訪問を開始する。“謎のビデオ”を送ってきた犯人探しから始まり、やがてそれは“謝罪行脚”へと変わっていく、人生を見つめ直す再生のドラマ

■40年ぶりの共演&“エンジェル”再集結

 この奇想天外な物語をより特別なものにしているのが、現実と映画がリンクする演出と“奇跡のキャスティング”。劇中、ドリュー・バリモアは実在する自身の人気番組『ザ・ドリュー・バリモア・ショー』のセットにリーフを招く本人役で登場。二人の共演は、1986年のテレビ映画『ベイブズ・イン・トイランド(原題:Babes in Toyland)』(日本未公開)以来、実に約40年ぶり。ドリューとキアヌが長い年月を経て再び同じ画面に映る瞬間は、まさに映画史に残る“歴史的な再会”として海外主要メディアでも大々的に報じられ、大きな話題を呼んでいる。

キャメロン・ディアスが俳優復帰

 さらに、主演キアヌを支える友人役として俳優復帰したキャメロン・ディアスが共演。キアヌとは『フィーリング・ミネソタ』以来、30年ぶりの共演。さらに、キャメロンとドリューが同じ作品に名を連ねるのは、2003年の『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』以来、約23年ぶり。かつて世界を熱狂させた伝説の「エンジェル」たちが再び一つの物語に集結したことも話題になっている。


■スコセッシが“ハリウッドの闇”を体現

 さらに、巨匠マーティン・スコセッシも出演。これまでにも多く、カメオ出演や本人役として出演してきたスコセッシ監督。本作では、リーフに大きな影響を与える人物、リッチー・“レッド”・ロドリゲス役として登場する。

 レッドは、かつてリーフを最初に「スターになる」と見出したマネージャー。しかし、リーフが大スターの階段を駆け上がった際、無情にもリーフに置き去りにされた過去を持つ。現在の彼の拠点は、80年代の空気が止まったままの古びたボウリング場。そのボックス席を「事務所」と称して陣取り、B級タレント専門のエージェンシーを営んでいる。バスを降りてハリウッドに降り立ったばかりの右も左も分からぬ新人を捕まえては、「夢を叶えてやる」と甘い言葉を吹き込んでいるという。そんな「ハリウッドのペテン師」とも呼べる怪しげな役どころを、スコセッシは抜群のユーモアを交えて怪演している。

 この配役を実現させたのは、スコセッシを師と仰ぐジョナ・ヒル監督との強固な絆。キャスティング・ディレクターのエレン・ルイスが「業界の残酷な真実が凝縮された役」と語る通り、成功者の影で消えていく者の悲哀を、スコセッシは自らのキャリアで目撃してきた光景を投影するかのように演じきった。かつての師を演出するジョナ・ヒルと、それに応えるスコセッシの2人がいる撮影現場には、映画愛が満ちていたにちがいない。


 スコセッシ監督と初共演を果たしたキアヌも「彼と同じ空間で芝居ができるなんて、信じられない体験。巨匠が放つ一瞬の間、その空気感は、まさに映画史の講義を受けているような重みがあった」と、その存在感に脱帽。ハリウッドの光と影を知り尽くしたスコセッシが、俳優として「業界の闇」を体現し、本作に唯一無二のリアリティと深みを刻み込んでいる。

■豪華キャストが集結、話題性も抜群

 ゴールデングローブ賞受賞のマット・ボマーも参戦。ボマーは端正なイメージを封印し、海外メディアから「判別不能(Unrecognizable)」と称されるほど激変。その徹底した変貌ぶりは、SNSでも「誰だか分からない」と早くも大きな話題を呼んでいる。

 さらに、「第94回アカデミー賞」授賞式の司会を務め、ウィル・スミスに平手打ちをくらったクリス・ロックも本人役として登場。ハリウッドのリアルな裏側をそのままスクリーンに持ち込んでいる。

 そのほか、ドラマ界のレジェンド、スーザン・ルッチ(『サタデー・ナイト・ライブ』『デビアスなメイドたち』)やラバーン・コックス(『オレンジ・イズ・ザ・ニュー・ブラック』)、次世代アイコンのカイア・ガーバー(映画『バビロン』)、スコセッシ作品の常連ウェルカー・ホワイト(映画『アイリッシュマン』『グッドフェローズ』)、デヴィッド・スペード(映画『アダルトボーイズ青春白書』)、ロイ・ウッド・Jr、アイビー・ウォーク、そして全米で旋風を巻き起こすアツコ・オカツカら、ジャンルを超えた多彩な顔ぶれが作品に厚みを加えている。

 現実とフィクションの境界を曖昧(あいまい)にする演出と、業界の光と影をシニカルに描くストーリーで、映画ファンの注目を集めそうだ。
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