映画監督の山崎エマ氏(36)、講談師の神田伯山(42)が13日、都内で行われた山崎初の著書『それでも息子を日本の小学校に通わせたい』(新潮社)刊行記念トークイベントに登壇。山崎監督が、第97回アカデミー賞で短編ドキュメンタリー部門にノミネートされたドキュメンタリー映画『Instruments of a Beating Heart』のもととなる長編映画『小学校 それは小さな社会』製作の苦労を明かした。


 本作は、1年間、150日、700時間(監督が現場で過ごしたのは4000時間)に及ぶ撮影と1年を要した編集を経て完成。掃除や給食の配膳などを子どもたち自身が行う日本式教育「TOKKATSU(特活)」の様子もふんだんに収められている。

 山崎監督は「10年くらいかかって撮りきったものから世に出せたものなんですけど、いま34歳なんですけど、大人の大半の時間をそれに費やしていて、撮影できる学校を見つけるまで30校回って、5年以上かかって、コロナでずれて1年撮って1年編集して、完成したら日本の配給会社とか劇場は『これ誰見んの?』『日本の小学校の普通の日常の姿で、誰がお客さんで来るんですか』とか言われて、先に海外でたくさん上映して、逆輸入的に戻してきて気づいたら10年」と長いみちのりを明かした。

 「学校の全部を撮りたい」「撮り続ければ絶対におもしろくなる」という思いから、はっきり撮るものが決まっていないまま突っ走ったという。「それを世に出せたのはみなさんの協力」としつつ、「日本だと前例がないからみたいな感じで断られるんですけど、それを含めて、小学校は最初の30校は『誰が許可出しますか?』みたいな感じで私も行っていたので」と断られ続けたことを明かした。

 「アメリカから帰ってきたときは全然うまくいかなかったんですけど、日本のやり方、根回しを勉強して」という山崎監督。最初は門前払いで、自身の大阪の母校でさえ「来ないでください」と会ってももらえなかったと明かし、「説得する作業がスタート。いまとなってはその課題はいいね、っていってもらえるんですけど、そもそも普段も学校は大変で、そんな余計なことを、っていうのはわかります」と当然の反応だと苦笑い。それでもドキュメンタリーでやりたいことを熱く説得し、撮影につなげたことを振り返った。

 本書では、イギリス、日本、アメリカと複数の教育環境を経験してきた山崎氏が、幼少期から現在に至るまでのさまざまなエピソードをたどりながら、世界が注目する日本の小学校教育の唯一無二の特徴、そして今の時代だからこそ生かすことのできる「強み」を、山崎氏ならではの視点で浮き彫りにする。3月18日に発売され話題をよび、即重版となった。
編集部おすすめ