任天堂の公式オンラインストア「My Nintendo Store」に、人気漫画「ワンピース」を彷彿とさせる怪しげなゲームが登場し、Xなどで話題を集めています。
■ 明らかに「ワンピース」を意識しているキャラクターたち
My Nintendo Storeに、5月29日配信開始予定として告知ページが出ているのは「パイレーツアニメクエスト:ワンボーイの冒険と島のピース」という作品。

サムネイルには筋骨隆々な男性キャラクターが堂々と描かれています。
タイトルと合わせて見ると、明らかに「ワンピース」を意識したデザインです。胸の傷はルフィ、左腕のタトゥーはナミのトレードマーク。赤毛は今ひとつピンときませんが、ユースタス・キッド……か?
いずれにせよさまざまな「ワンピース」キャラを混ぜ込んだキメラだということは、多くの人に納得していただけるのではないでしょうか。
ゲーム自体はいったいどんな内容なのか、気になって販売ページの紹介文を読んでみると「欲望の海を航海し…禁断の果実を組み合わせて、理想の海賊の心を手に入れよう」「魂を明かす親密な質問と、『運命の果実融合』モードを切り替えながら、神秘的な果実を組み合わせて感情を落ち着かせ、絆を深めよう」とのこと。なにこれ?暗号文?
明らかな翻訳調のため今ひとつ要領を得ませんが、サンプル画像などと合わせてみると「恋愛?シミュレーション」×「パズル」を組み合わせたゲームのようです。
上述の説明にある「『運命の果実融合』モード」というのがパズル部分のようなのですが……「スイカゲーム」じゃね?これ。

「ワンピース」をパク……下敷きにしたゲームなので「悪魔の実」をモチーフにした何かかと思ったのですが、サンプル画像のゲームシーンは明らかに「スイカゲーム」です。
2023年ごろに一大ブームを巻き起こした「スイカゲーム」は当時から類似作品が作られてきましたが、2025年になってもまだ手をつけようとする人がいるとは。
サンプル画像にはサムネの傷跡キャラ以外のキャラも登場していますが、どいつもこいつも「ワンピース」キャラっぽいビジュアルをしています。サンジのような、ゾロのような……似ているようで似ていないむず痒さたっぷりのキャラばかり。

■ “ガールズサイド”も登場中……開発しているのは誰?
ちなみに本作にはガールズサイドと思しき「パイレーツアニメクエスト:ワンガールの冒険と島のピース」も存在します。内容はまったく同じ。

こちらもやはりビジュアルやサンプル画像に登場しているのは、「ワンピース」のキャラクターに限りなく近い、謎のキャラクターたち。ナミのような、ロビンのような、ルフィのようなキャラがごろごろ。たぶん「ワンピース」以外からも色々持ってきてるなこれ。
キャラのポーズが明らかにボーイズサイドと同じであるほか、サンプル画像に登場しているキャラの名前やセリフを堂々と使いまわしています。
たとえばサンプル画像にいる「海賊ルナ」というキャラクター。ボーイズサイドにもガールズサイドにも登場しています。


ボーイズサイドの方はルフィみたいな男性キャラ、ガールズサイドの方はビビみたいな女性キャラ。どちらも「海賊ルナ」です。プレイヤーネームの可能性もあるのでなんとも言えませんが……違和感が拭えません。
そしてどちらも同じく「輝くものが全て金じゃない…でも俺は光ってるだろ?」というセリフが設定されています。何を言っているのかがわからないのはさておき、これがキャラのセリフだというのであれば使い回しもいいところ。粗製乱造の精神が透けて見えます。
また、ガールズサイドの偽スイカゲームのサンプル画像では、キャラクターが「あっ!み、水晶みたいな梨だ!きっと役に立つはず!」というセリフを喋っています。

いや「み、水晶」という入力はありえないでしょう……「す、水晶」なら分かりますが。
これらの怪しいゲームを開発したのは「Red Fables」というクリエイター。Google検索をかけてみると公式サイトのようなページがヒットしますが、アカウントが停止されているようで、閲覧はできませんでした。


Red Fablesは5月27日現在、My Nintendo Store上に37作品を展開中。筆者の方で「これは明らかにパクリでは?」と指摘できるようなタイトルは、今回紹介した2作のみでしたが、見る人が見ればもっとあるのかもしれません。
■ My Nintendo Storeでは生成AI作品は禁止されていないが……改めての審査に期待
ちなみに今回の作品で表示されているキャラクターの画像で検索をかけてみたところ、「ワンピース」の公式から転用しているような形跡は見られませんでした。イラストの雰囲気から、おそらくは生成AIによるものと見られます。
My Nintendo Storeでは、生成AIを用いたゲームを販売することは禁止されていません。
一方で任天堂は海賊版や模倣品の通報先として「不正商品情報ご提供窓口」を用意しているなど、著作権的に問題のある作品に対しては、厳しく対処する姿勢があると見られます。

今回の作品がMy Nintendo Storeに登場しているということは、正当に審査基準をくぐり抜けたものなのでしょう。しかしながら、ここまでキャラクター性が酷似する内容があるとなると、その審査基準には疑問が残ります。
現に、本作はSNS等で少しずつ話題になっており、多くのユーザーが疑念を持ち始めていることもまた事実です。今後の動向が注目されます。
【続報】「ワンピース」に酷似と注目のゲーム2作品がMy Nintendo Storeから削除(5月29日公開)
<参考・引用>
任天堂「不正商品情報ご提供窓口」
My Nintendo Storeページ「パイレーツアニメクエスト:ワンボーイの冒険と島のピース」
My Nintendo Storeページ「パイレーツアニメクエスト:ワンガールの冒険と島のピース」
※記事内の画像は「My Nintendo Store」のスクリーンショットです
(ヨシクラミク)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By YoshikuraMiku | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025052706.html