アラフォー男性、人生初の宝塚観劇 花組公演「悪魔城ドラキュラ...の画像はこちら >>


 7月20日、宝塚歌劇団花組公演「悪魔城ドラキュラ ~月下の覚醒~」「愛, Love Revue!」を、ライブ配信で観劇しました。


 宝塚といえば、女性団員のみで構成された、華やかで夢の世界のような舞台……という漠然としたイメージを抱いてきましたが、実際に観たことは一度もなし。

今回はアラフォー男性記者が生まれて初めて宝塚を観る、その体験記をお届けします。


■ ゲームファンとしても注目の「悪魔城ドラキュラ」

 筆者は、業務の中でゲーム記事も担当しています。このため以前、宝塚が本作を舞台化するという発表をうけ、原作であるプレイステーション用ゲーム「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」について、解説記事を書いたことがあります。


 1986年に誕生したゴシックホラー・アクションゲームの金字塔「悪魔城ドラキュラ」シリーズ。その中でも「月下の夜想曲」は、主人公アルカードの美麗なビジュアルや荘厳な音楽、探索型のゲーム性で多くのファンを魅了し、今なお語り継がれる名作です。


 そんなシリーズの転機となった人気作品が、宝塚の舞台でどう表現されるのか。ファンとしても非常に興味があり、思い切って観てみることにしました。

■ 圧倒的な再現度と迫力に衝撃

 結論から言うと……想像を超えるクオリティに、終始圧倒されました。


 アルカードを演じる永久輝せあさん、マリアを演じる星空美咲さんをはじめ、登場人物たちの姿はまるでゲームから飛び出してきたかのよう。凛々しさと気品を兼ね備えた立ち居振る舞い、目線や指先に至るまでの演技が、キャラクターの魅力を存分に引き出していました。


 ストーリーは一部アレンジが加えられていたものの、基本的には原作の世界観を忠実に踏襲。現代の公演にふさわしく練り上げられており、なおかつ原作に負けず劣らずの激しいバトルシーンも大きな見どころのひとつ。筆者のようなゲームファンでも違和感なく作品に入り込むことができました。


 宝塚大劇場ならではの豪華な舞台装置に、原作楽曲を交えたオーケストラの生演奏――その全てが融合した舞台は、まさに総合芸術。

約1時間半があっという間に過ぎ去り、「これはすごいものを見た……!」という感想しか出てきませんでした。

■ 「これぞ宝塚」な華やかなレビューショー

 第一部の芝居に続く第二部は、ロマンチック・レビュー「愛, Love Revue!」。


 幕が開くや否や、大階段を大勢の出演者が降りてくるシーンで度肝を抜かれました。聞くところによると、階段の幅は20cmほどしかないらしく、足元を見ずにどうやって降りているのか、不思議で仕方がないほどの熟練の動き。まさに日々の鍛錬の賜物でしょう。


 第一部と同じキャスト陣が、芝居のときとはまったく違う華やかな衣装に身を包み、次々と披露される歌やダンスは圧巻の一言。「一体何回着替えるの?」と思うほどバリエーション豊かで派手な衣装にも驚かされました。


 筆者が抱いていた“宝塚=華やかで豪奢なレビューショー”というイメージそのものが、目の前で繰り広げられている。そんな感覚でした。


 さらに、今回は千秋楽ということもあり、退団者2名のあいさつも見ることができました。舞台の熱気とともに、しめやかな雰囲気に包まれる時間は、初めて見るはずなのに思わず涙ぐんでしまうなど、感慨深いものがあります。

■ 初観劇を終えて……宝塚は「別世界」だった

 人生初の宝塚観劇を終えて感じたのは、「これは一度体験しないとわからない」ということ。画面越しでも圧倒される迫力と美しさ……もし宝塚大劇場で生で観ていたならば、もっと深く心を揺さぶられていたのは間違いありません。


 ゲームファンとしても、キャラクターや世界観の再現度には驚きました。

アルカードやマリア、リヒターなど、それぞれの人物像にしっかりとした説得力があり、「これが宝塚の表現力か」とただただ感心するばかり。


 そこはまさに、日常とかけ離れた「別世界」。創立から111年もの長い間、多くのファンから愛され続けている宝塚歌劇団の魅力が、少しだけわかったような気がします。

■ 宝塚未経験者こそ一度観てほしい

 今回の観劇はライブ配信サービス「U-NEXT」を利用しました。他にも、配信は「Rakuten TV」でも行われており、どちらも視聴料は3500円とお手頃。自宅にいながら臨場感ある映像で舞台を楽しめるのは、初めての人にとって大きなハードルを下げてくれるポイントです。


 宝塚はハードルが高い、そんな先入観を持っていた筆者ですが、終わってみれば「もっと早く観ていればよかった」というのが正直な感想。宝塚を知らない人にこそ、この体験を一度味わってみてほしい。そんな気持ちになった初観劇でした。


(山口弘剛)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛‌ | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025072904.html
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