コミケ会場に駅の窓口が転移!?鉄道サークルの“出札口”ブース...の画像はこちら >>


 8月16日、17日に開催された世界最大級の同人誌即売会「コミックマーケット」(C106)。その会場内にまさかの“出札口”が出現していたことが判明し、話題です。


 コミケ会場ではなく駅にいるのではないかと錯覚するような、本格的なたたずまいに「こーゆーの観たくてコミケに行くんよ」「なんという完成度」といった声が相次いでいます。


■ 鉄道サークル「内浦鉄道管理局」が手掛ける、完成度が高すぎる“出札口”

 サークル「内浦鉄道管理局」が17日朝に「設営完了しました!」というコメントとともに投稿したのは、C106会場内の自ブースの写真。


コミケ会場に駅の窓口が転移!?鉄道サークルの“出札口”ブースが本格的
業務中に転移してきた?


 即売会のブースといえば長机に布を敷き、ちょっとしたポスターなどとともに頒布物を置くのが基本のスタイル。


 中にはディスプレイ用の棚やボードを設置して“お店感”を演出する方もいますが……なんと内浦鉄道管理局はブースをまるごと、乗車券などを販売する「出札口」に仕上げてしまいました。


 長机まるまる1つ分のスペースにアクリル板、ビデオフォン、大理石のキャッシュデリー(金銭受渡台)などが設置された光景は、もはや駅の一角。ブースの内側にサークルメンバーがキリッとした表情で構えているのを見ると、「ん? 業務中に転移した?」と錯覚しそうになります。


 さらに内浦鉄道管理局のブースのこだわりは外側だけでなく内側にも。別画像で確認してみると、乗車券箱やコインキーパー、はんこ類が収まる棚など、こちらも本格的です。


コミケ会場に駅の窓口が転移!?鉄道サークルの“出札口”ブースが本格的
ブースの内側


 出札口の内側を見る機会はそうそうありませんが、「多分こうなってるんだろうな」と思わせるリアリティが宿っています。


 そんな本格的すぎる“出札口”の姿に、Xでは「こーゆーの観たくてコミケに行くんよ」「あんたら凄いよ…」「なんという完成度」と驚きの声が続出。投稿は3.5万件を超えるいいねを集めています。


 内浦鉄道管理局は2018年に国鉄制服と、沼津が舞台のアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」が好きなメンバー数人で活動を始めたサークル。2025年現在では、17名の“職員”が在籍しています。


 「日本国有鉄道」(国鉄)において着用されてきた各種制服の研究・分析及び、イベント等で着用して広報や交流活動を実施するほか、伊豆半島における、公共交通と観光についての研究・分析といったテーマでも活動を行っています。


 この忠実に再現された「出札口」や、そのアイデアの背景について、話をうかがってみました。

■ 出札口スタイルのきっかけは新型コロナの流行 感染症対策を求められ、ひらめく

―― 出札口スタイルでブースを設営するのは普段から行っているのでしょうか?


 イベントには2019年のC97より出展しております。当時から切符類の頒布は行っていましたが、まだアクリル板等はなく乗車券箱だけの質素なものでした。


―― このスタイルをとるようになったのは、どういうきっかけで?


 2020年に新型コロナウイルスが流行し始めると各サークルにも感染症対策が求められるようになりました。


 その際にせっかくなら窓口風のアクリル板を設置してはどうかという話が出始め、どうせ作るなら本物さながらにしようという事になりました。


コミケ会場に駅の窓口が転移!?鉄道サークルの“出札口”ブースが本格的
出札中


―― なるほど!コロナ期のアクリル板で……


 そこからは各メーカーに問い合わせや発注を行い、C99に1窓口(1スペース)で#コミケ出札口 を作り上げました。


 当初から大きな反響をいただき、C100からは2スペースを利用した2窓口の今の形になりました。


―― ブース内の備品は、すべて専門店などで揃えているのでしょうか?


 アクリル板を除いて、全て実際に駅などで使われている本物です。


コミケ会場に駅の窓口が転移!?鉄道サークルの“出札口”ブースが本格的
窓口の備品はアクリル板を除き全て本物


 実際に生産を行っている業者に個人への卸しは可能かなどを問い合わせて販売いただきました。


 乗車券箱や釣り銭機等は中古払下げ品を、アクリル板は私自身で設計を行い、専門の加工業者に製作を依頼しました。


―― ブース設営・運営をされるなかで、特にこだわっている部分はなんですか?


 とにかく雰囲気作りを大切にしております。


 その場で切符や定期券を発行し、お金をやり取りする、昭和の窓口スタイルを参加者の皆さんに体感していただけるように取り組んでおります。


 頒布品の切符や定期券は当時と同じ製法で製作している他、架空ではありますが列車の時刻表なども製作し、追及したリアリティで多くの方に楽しんで頂いております。


―― 当日ブースの前を通った人や訪れた人からの反応はいかがでしたか?


 通られるみなさんが、足を止めて写真を撮っていかれておりました。我々としてはみなさんが驚き、笑い、凄い!という反応をして頂いており、よっしゃ!という感じでした(笑)


―― 何気なく通った通路にこのブースがあったら、絶対足を止めちゃいますね(笑)


* * *


 内浦鉄道管理局が手掛ける「コミケ出札口」については、サークルの既刊「出札口をつくる」でも詳しく紹介されています。またX内では「#コミケ出札口」のハッシュタグも活用中。こちらを調べると今回のみならず、過去の“出札口”の様子を見ることができます。


<記事化協力>
国鉄内浦鉄道管理局(X:@JNRuchiura/HP:jnruchiura.com)


(ヨシクラミク)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By YoshikuraMiku | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025082003.html
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