車を運転していると、必ず遭遇するのが給油の場面。しかし、セルフスタンドが主流の今、「給油口が車のどちら側にあるのか」を迷った経験はありませんか?
特にレンタカーや社用車、知人の車等を運転する際は、事前に目視で確認でもしない限りわからないものですが、実はその答え、運転席にいながらでも一発でわかってしまうんです。
■ 雨の日に生まれた、通称「モイランの矢」
注目すべきはメーターパネル内、燃料計の近くに表示されている「給油機マーク(ガソリンスタンドのマーク)」。その横に付いている小さな矢印マークが、「給油口が車のどちら側にあるか」を示しているのです。

この矢印マークは通称「モイランの矢(Moylan Arrow)」と呼ばれるもので、1986年に当時フォードの内装デザイナーだったジム・モイラン(Jim Moylan)が発案しました。
1986年のある日、彼は社用車を運転中に給油をするタイミングがありました。そのとき、給油口がどちらにあるか分からず、雨の中で反対側から給油せざるを得なくなり、びしょ濡れに。そこで、運転席から一目でわかるよう燃料計に矢印を付けるというデザイン案をすぐに描き、上司に提出しました。
その後すっかりアイデアのことは忘れていましたが、約7か月後に承認され、1989年モデルの新車に初採用されることに。
以降、徐々に採用が進み、2000年代以降には広く普及。現在ではほとんどの自動車メーカーが採用しており、国産・輸入車を問わず多くのモデルに搭載されています。
■ 矢印の向きで給油口が分かる
矢印が左を指していれば給油口は左、右を指していれば右。これさえ見れば、初めて乗る車でも迷うことなく給油できるというわけです。
例えば、筆者のマイカーを見てみると、燃料計の矢印は左向きとなっていて、実際の給油口も車両左側。このように見事に一致しています。

普段から乗り慣れている自分の車では意識しないかもしれませんが、レンタカーやカーシェアを利用した際には大活躍する豆知識です。筆者自身もこの仕組みを知ったのは最近で、もっと早く知っていれば……と思ったもの。
小さな矢印ですが、知っていると知らないとでは便利さが大きく変わります。給油口を探して右往左往する前に、ぜひ一度メーターをのぞき込んでみてください。ドライバーなら覚えておいて損はない、ちょっとした車の豆知識です。
<参考>
Ford Authority「The Moylan Arrow: The Gas Tank Indicator Was A Ford Invention (Video)」
Ford Authority「Ford Designer Credited For Arrow Showing Vehicle’s Fuel Door Location」
(山口弘剛)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025082002.html