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 ゲーム「ブルーアーカイブ」のキャラクターたちの頭上に輝く“天使の輪”「ヘイロー」をAIとARの技術で自分の頭上に表示できるシステムが誕生。ゲームの世界に入り込んだような、リアルなコスプレ体験を楽しむことができます。


■ 「ブルアカの世界に入りたい」ファンの想いが開発の原点

 「ブルアカ」の略称で知られる「ブルーアーカイブ -Blue Archive-」は、NEXON Gamesが開発し、Yostarが運営するスマートフォン向けゲーム。プレーヤーは学園都市「キヴォトス」に赴任した「先生」となり、生徒たちとともにさまざまな課題を解決します。


 この中でキャラクターたちの頭上に浮かんでいるのが「ヘイロー(天使の輪)」。一人ひとり異なるデザインを持ち、感情などによってその形が変わるなど、物語の中でも重要な意味を持つ存在となっています。


「ブルーアーカイブ」の“ヘイロー”をARで再現するシステム 技術サークルが二次創作で開発
ゲーム「ブルーアーカイブ」のキャラクターたちの頭上に輝く“天使の輪”「ヘイロー」をAIとARの技術で自分の頭上に表示できる「ヘイローリンクシステム」


 「ヘイローリンクシステム」は、Webカメラに映った人物をキャラクターとして認識し、リアルタイムでその頭上に3Dのヘイローを描画。まるで、ゲームの世界に実際に存在しているかのような姿になることができます。


「ブルーアーカイブ」の“ヘイロー”をARで再現するシステム 技術サークルが二次創作で開発
ゲーム「ブルーアーカイブ」のキャラクターたちの頭上に輝く“天使の輪”「ヘイロー」をAIとARの技術で自分の頭上に表示できる「ヘイローリンクシステム」


 開発を手掛けたのは、コスプレ×テクノロジーをテーマに活動する技術サークル「EdelWorksPrj」。


 「ヘイローを自分自身の上へリアルタイムに表示する仕組みを作ることで『ブルーアーカイブ』の世界に入り、自分が生徒になったかのような体験ができるのではないかと考えたことが開発のきっかけです」と、開発メンバーの静丘さん、うこさんは語ります。

■ オープンソース技術を応用した2種類のAIで、個人ごとに対応したヘイロー表示を実現

 「ヘイローリンクシステム」は、カメラに映った人間の姿勢を検出するAIと、人物がどのキャラクターであるかを判定するAIの2つで構成。いずれもオープンソースで公開されている技術をベースに、独自のカスタマイズを加えて開発されました。


「ブルーアーカイブ」の“ヘイロー”をARで再現するシステム 技術サークルが二次創作で開発
カメラに映った人間の姿勢を検出するAIと、人物がどのキャラクターであるかを判定するAIの2つで構成


 カメラに映った人間の姿勢を検出するAIは、Googleの研究チームによる論文をベースに海外のエンジニアが開発した技術をカスタマイズ。頭部の角度を3次元で検出したり、ヘイローが身体の手前側か後ろ側かを判定できるように改造しています。


 「最も身近な技術でいうと、ブラウザでオンラインミーティングのできる『Google Meet』で使われているバーチャル背景を実現するものに近く、身体の輪郭を検出したりする部分について、類似の技術を応用しています」(静丘さん、うこさん)


「ブルーアーカイブ」の“ヘイロー”をARで再現するシステム 技術サークルが二次創作で開発
カメラに映った人間の姿勢を検出するAIと、人物がどのキャラクターであるかを判定するAIの2つで構成


 一方、キャラクターを判定するAIには、マイクロソフトが開発し、オープンソースで公開している物体検出AIの技術を応用し、人物の骨格情報などから個人を識別する個別IDを生成する仕組みを開発。


 生成されたIDに手動でキャラクターを紐付けることで、登録された人物がカメラの前に立つたび、対応するキャラクターのヘイローを自動で表示させることが可能だということです。


「ブルーアーカイブ」の“ヘイロー”をARで再現するシステム 技術サークルが二次創作で開発
カメラに映った人間の姿勢を検出するAIと、人物がどのキャラクターであるかを判定するAIの2つで構成


 なお、「ヘイローリンクシステム」は「あくまで二次創作」という位置づけで、版権元による各種ガイドラインを遵守したうえで開発にあたっているとのこと。


 表示されるヘイローの画像データは、「EdelWorksPrj」メンバーのメガブーさんが公式のデザインを参考に独自制作したものを使用しています。

■ 「実際にキャラになったみたい」体験者からは感動の声

 SNSで公開されたデモンストレーション動画には、「実際に体験してみたい」「コスプレするにしても巨大な武装までは作れない、といったケースにも対応できそう」など好評の声が寄せられたといいます。

 動画に出演したコスプレイヤーからも「実際にキャラになったような感覚で楽しい」「写真をあとから加工しなくてもヘイローが描ける」といった感想が得られたとのこと。2025年に開催されたコスプレ写真展の「コスナビ展」でも展示され、多くの来場者が体験しました。


「ブルーアーカイブ」の“ヘイロー”をARで再現するシステム 技術サークルが二次創作で開発
「実際にキャラになったみたい」体験者からは感動の声


「ブルーアーカイブ」の“ヘイロー”をARで再現するシステム 技術サークルが二次創作で開発
「実際にキャラになったみたい」体験者からは感動の声


 「今後の展開としては、より滑らかな追従動作の実現や、ドローンなどとの連動による演出拡張、撮影した写真に自動的にヘイローを合成するWebサービスの提供や、ブルーアーカイブ以外の作品にも対応を広げる構想もあります」と、静丘さん、うこさん。


 現時点では直近の展示予定はありませんが、「イベントからお声がけいただければ、ぜひ出展したいと考えています」とのこと。実際に使用してみたいという場合はEdelWorksPrjや、静丘さんまで気軽に相談して欲しいとのことです。


<記事化協力>
EdelWorksPrj
静丘さん(@Siz_oka)
うこさん(@ukokq)
シロコ:なを。さん(@nawo019)
ホシノ:有宮ひすいさん(@arimiyahisui)
ネル:すや。さん(@suya0113)
リオ:かちゃすさん(@2ponlove)


<参考>
ヘイローリンクシステム


(天谷窓大)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 天谷窓大 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025082706.html
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