日本最古の弁当屋の「実在しない昭和テレビCM」架空CMソング...の画像はこちら >>


 画質や造作を古い時代風にした「アナクロ映像」が流行っています。そんな中、「日本最古の弁当屋」が、数々の「架空CMソング」を作るユニットとタッグを組んで「実在しない昭和のテレビCM」を創作。「ありそうで実はなかった」逆転の発想で話題となりました。


■ 舞台は1850年創業「日本橋弁松総本店」

 舞台となったのは、ペリー来航よりも3年早い1850年から営業を続ける老舗弁当店「日本橋弁松総本店」です。同店のWEBサイトによると「現存する弁当店としては日本最古」とのこと。甘辛く濃い目の味付けが特徴で、著名人にもファンを多く抱えています。


日本最古の弁当屋の「実在しない昭和テレビCM」架空CMソングユニットが制作
日本橋弁松総本店 並六白飯弁当


 そんな「日本橋弁松総本店」ですが、創業から今日まで、一度もテレビCMを放映したことがなかったそう。2025年に創業175周年を迎えるにあたり「過去の映像が発掘された」という設定のもと、「存在していたかもしれないテレビCM」を制作したということです。

■ 架空CMソングユニット「キシリ徹」とのコラボ

 今回制作を手掛けたのは、架空の企業からの依頼を受け、架空のCMソングを作るというコンセプトで活動するユニット「キシリ徹」。「70年代ジャズ歌謡風ソングVer.」と「特撮ヒーロー風のテーマソングVer.」の2つがYouTubeで公開されました。


 「70年代ジャズ歌謡風ソングVer.」は、「キシリ徹」のやなせ京ノ介さん演じる架空の歌舞伎俳優「やなせ愛ノ介」が、濃い表情で日本橋を歩きながら濃い味付けの「弁松」の弁当を食べるというもの。


日本最古の弁当屋の「実在しない昭和テレビCM」架空CMソングユニットが制作
「存在していたかもしれないテレビCM」という設定で制作された、「日本橋弁松総本店」の70年代CM風映像


日本最古の弁当屋の「実在しない昭和テレビCM」架空CMソングユニットが制作
「存在していたかもしれないテレビCM」という設定で制作された、「日本橋弁松総本店」の70年代CM風映像


 こうした「昔風」映像は、その中にある「本来の時代にはないもの」を探すのが楽しみの一つだったりしますが、意外と設定が細かく作り込まれているのが興味深いポイントです。

■ 細部まで作り込まれた“昭和の空気”

 冒頭のクレジット部分では映像がステレオ録音であることが示唆されていますが、「制作日」とされる1978年は、ちょうどテレビでステレオ放送が始まったタイミング。日本橋にかかる首都高の橋脚も実は1963年に完成しています。


日本最古の弁当屋の「実在しない昭和テレビCM」架空CMソングユニットが制作
クレジットや映像の背景など、時代に実在してなさそうで実は存在している絶妙な時代考証感


日本最古の弁当屋の「実在しない昭和テレビCM」架空CMソングユニットが制作
クレジットや映像の背景など、時代に実在してなさそうで実は存在している絶妙な時代考証感


 「ズレてそうで、実際にこのシチュエーションで実在していてもおかしくない」という絶妙なライン。これもまた、長い歴史を重ねてきた店へのリスペクトを感じさせます。

■ SNSでも展開された“発掘”演出

 制作に先立って、同店のXアカウントでは、VHSが倉庫から発掘されたという設定の映像や、70年代風のソノシートをレコードプレイヤーで再生する映像など、いかにも「それっぽい」映像を投稿。長い歴史のなかで「あったかもしれない瞬間」を再現するという、ユニークとノスタルジーが同居する試みになっています。


 なお、10月24日には、「日本一古いお弁当屋さんの弁当を、日本一美味しく食べる」と銘打ち、日本橋弁松総本店の“本物”のお弁当に舌鼓を打ちながら、架空CMを作った「キシリ徹」のライブを楽しめるイベントが開催予定。チケットはPeatixで販売されます。


<記事化協力>
YouTube「キシリ徹 【架空のCMソングを作るユニット】」
日本橋弁松総本店(@benmatsu1850)


(天谷窓大)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 天谷窓大 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025091804.html
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