投資ファンドのストラテジックキャピタル(SC)は9月24日、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの臨時株主総会の結果について「ガンホーのガバナンスは一歩前進となりました。しかし、ガンホーの価値を毀損している根本的な問題を解決するには至っておりません」との声明を発表しました。
同ファンドは、投資一任契約を結んでいるINTERTRUST TRUSTEES (CAYMAN) LIMITED SOLELY IN ITS CAPACITY AS TRUSTEE OF JAPAN-UPとあわせて、ガンホー株式を約8.5%保有しており、今回の総会でも大きな役割を担いました。
■ 定款改正は可決 社長解任は否決
決議では、取締役の解任要件を従来の「特別決議(3分の2以上)」から「普通決議(過半数)」に改める定款変更が可決された一方、森下一喜社長の取締役解任提案は否決されました。
この結果を受け、ストラテジックキャピタルは声明の中で、「ガンホー取締役会が、長期にわたる業績及び株価低迷の事実から目を背け、森下社長が『業績に貢献している。』『企業価値向上に貢献している。』等と主張したことは、SCを含むガンホー株主において、現在の経営陣に対する危機感を一層強める結果につながったと考えております」と述べ、これまでと変わらぬ強い姿勢を示すとともに、今後も経営陣との対話を継続するとしています。
■ 批判サイト公開までに至った深い対立 森下社長は“一発屋”という主張
両者の対立は以前から深刻なものとなっています。総会前の8月下旬には、ストラテジックキャピタルがガンホーの経営姿勢を厳しく批判する特設サイト「ガンホー『一発屋』からの再起に向けて」まで開設。
「森下社長は“一発屋”に過ぎない」「歪んだ開発体制」「無責任かつ不誠実な経営」といった強い表現で、経営トップの交代を求めていました。
サイトでは、同社の時価総額の多くが現金に偏っている点を問題視。主力タイトル「パズル&ドラゴンズ」以降に大きなヒットが出ていないことや、実を結ばない投資が続いていることにも触れ、市場から事業価値が十分に評価されない要因として「森下体制」の存在を挙げていました。
今回の定款改正によって、取締役解任を巡る議論のハードルは下がり、株主の意見が会社のルールに反映された形となりました。ただし、社長解任は否決されたため、森下体制は継続します。
外部株主の声が強まる中、ガンホーがこれからどのように持続的な成長を示し、ガバナンス改革を実効性のあるものにできるかが注目されています。
<参考・引用>
株式会社ストラテジックキャピタル「ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社(東証プライム:コード3765)の臨時株主総会の結果に関して」(9月24日)
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社「臨時株主総会決議ご通知」(9月24日)