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 「こちらはNTTドコモです。お使いの回線に不正が見つかりました。只今より回線をストップいたします。ご不明点が有る方は1を押してください」


 Xユーザーの「かつお」さんが、仕事場の固定電話にかかってきた怪しげな電話を、意図せずして“撃退”してしまったエピソードが話題です。


■ そもそもボタンがないので押せません!

 かつおさんがこのほど投稿したのは明らかに詐欺と思われる着信内容と、自宅で使用している固定電話の画像。


怪しい電話を意図せず撃退してしまう?黒電話ユーザーの詐欺対応が話題
そもそもボタンがない


 発信者はボタンを押して電話に応答することを要求していますが、かつおさんが投稿した画像に写っているのはダイヤル式の黒電話。どう頑張ってもボタンを押すことができません。ボタン自体が存在しないのですから。


 かつおさん自身も投稿に「押せないんだな~」というコメントを添えており、意図せずして詐欺電話を撃退してしまったことを明かしています。


 そもそも家に固定電話があることも珍しくなりつつある令和の時代、黒電話が使われていること自体が驚き。


 一瞬コレクション用のものかとも思いますが、電話がかかってきたということは現役で使われているということ。かつおさん自身も「この黒電話は私の仕事部屋で使っています」と話しています。


 電話がかかってきた当時仕事中だったというかつおさん。受話を取ってすぐに詐欺電話だと気がついたため、切ったそうです。ボタンの有無以前に、プッシュ式だろうとかつおさんには通じなかったようですね。

■ ダイヤル式とプッシュ式ではそもそも信号の方式が違う

 「ボタンがなくても番号は振られているわけだから、入力自体はできるのでは?」という疑問を抱く方もいるかと思いますが、かつおさんが使用している黒電話のようなダイヤル式(パルス式)の電話と、ボタンがついているプッシュ式(トーン式)の電話では、信号の方式がまったく異なります。


 プッシュ式電話はボタンを押したときに発生する“音の信号”(DTMF信号)に対応し、ダイヤル式電話はダイヤルを回すことで生じる「断続する電気信号(パルス信号)」に対応します。


 このように信号の仕組み自体が違うため、ダイヤル式電話では案内にあった「プッシュ入力」ができないのです。


 今回の場合は詐欺電話だったからこそ、ダイヤル式電話であったことが幸いしました。とはいえ詐欺電話以外でもプッシュ入力が必要になる場面はあるはずです。


 そのような場合についてうかがってみると、かつおさんは「自宅の電話はメインが台所に普通のプッシュホンがあります。ボタンを押す必要がある場合はメインの電話機を使います」と話していました。

■ 巧妙化する詐欺の手口

 かつおさんのもとにかかってきた電話は、詐欺電話の中でも比較的わかりやすい内容でした。


 「不正」という曖昧な言葉を用いていることや、「ただいまより回線をストップします」という唐突な案内も不自然で、比較的見抜きやすいものだったといえるでしょう。


 しかし詐欺の手口は年々巧妙化しており、よりわかりにくい形でボタン入力を求めてくるケースも考えられます。


 とはいえ、どのようなロジックでボタン入力を迫られようと、黒電話の前では無力。なぜなら、そもそもボタンが存在しないからです。


 黒電話は、ある意味で最強の詐欺対策アイテムとも言えますが、近年はオレオレ詐欺のように直接会話でだまそうとする手口も増えています。今回は「ボタンを押させる手口」(恐らくこの後、偽オペレーターに繋がる手口です)だったからこそ防げましたが、直接対話型の場合には黒電話も無力です。


 詐欺は電話機の種類を問わず誰にでも起こり得ます。黒電話の安心感に頼りきることなく、それぞれの環境に応じて詐欺対策を万全にしておきましょう。


<記事化協力>
かつおさん(@JP3DGT)


(ヨシクラミク)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By YoshikuraMiku | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025092608.html
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