育児などを理由に「在宅で働きたい」と考え、求人サイトで仕事を探した人が、結果的に高額な契約を結ばされてしまう――。そんな相談が、全国の消費生活センターなどに相次いでいます。きっかけとなっているのは、「完全在宅」「未経験OK」とうたわれた一見すると普通の求人情報でした。
消費者庁は12月19日、在宅ワークの求人を入り口に、高額なコンサルティング契約へと誘導する事業者に関する注意喚起を公表しています。
■ 在宅ワーク求人を入り口にした高額契約トラブル
消費者庁によると、問題となっているのは、求人サイトに「データ入力」や「リスト作成」など、初心者でも取り組みやすい在宅業務として求人を掲載していた複数の事業者です。
未就学児の育児などを理由に在宅での就労を希望する人が、条件に合う求人として応募し、オンラインや対面で面接を受けると、当初の説明とは異なる内容が持ち出されるケースが多いといいます。
面接の場では、「データ入力だけでは収入にならない」「こうした作業はAIが行う時代で稼げない」などと説明され、代わりに「WEBマーケティング」と称する業務を勧められます。
そして、結果的にはこの業務を行うには「コンサルティング契約が必要だ」とされ、数十万円規模の費用を支払うよう求められるそうです。
説明では、指導に従って作業をすれば数か月で元が取れる、最終的には費用を上回る収入が得られるといった言葉が使われ、消費者が契約に踏み切ってしまう事例が確認されています。
しかし、実際に行われる業務は、アフィリエイト広告を利用したもので、広告収入は成果次第で大きく変動する不確実なものでした。
消費者庁の調査では、事業者側が、あたかも一定額以上の収入が得られるかのように説明していた点が問題視されており、消費者の利益を不当に害するおそれのある「断定的判断の提供」に該当すると判断されています。
契約後に思うような収入が得られなかったケースや、途中解約で返金の合意がなされたにもかかわらず返金されなかったといった相談も寄せられているとのことです。
消費者庁は、「簡単に稼げる」「必ず元が取れる」といったうたい文句をうのみにしないよう注意を呼びかけています。また、仕事を探すための面接で高額な支払いを求められた場合は、すぐに契約せず、慎重に判断する必要があるとしています。
■ 実際に面接を受けた人の体験談
近年、こうした実在する企業が、問題のある勧誘を行うケースは増えています。今回のように「求人サイトに求人を掲載して勧誘する」手口も、編集部の取材では、すでに4年前には存在していたことを確認しています。
当時、該当する求人に応募してしまったという智子さん(仮名)に、今回話を聞くことができました。消費者庁の発表内容を見てもらったところ、「説明の流れはまったく同じだった」と振り返ります。
仕事を見つけたのは「大手求人サイト」で、「完全在宅」「未経験OK」、作業内容は「データ入力」という、今回と同様の求人だったといいます。応募後、新宿にあるオフィスビルで面接が行われ、やはり「データ入力だけでは収入にならない」として、別の仕事を案内されたそうです。
このとき智子さんが勧められたのは、「WEBマーケティング」ではなく「サイト運営」でした。会社側からは、ブログシステム一式と運営コンサルティングが提供され、半年から1年ほどで「簡単に元が取れる」と説明されたといいます。収益はアフィリエイトで、初期費用は80万円程度だったとのこと。
当時はトレンドブログが流行していた時期で、そうしたブログ運営を斡旋する内容だったとみられます。智子さんは、話に魅力は感じたものの、初期費用があまりに高額だったため契約を断念。結果的にその判断が、被害を防ぐことにつながりました。
このように、手口はほぼ同じまま、扱う「商材」を変えながら、この種のビジネスは続いています。記者が把握する限り、近年ではSNS広告を通じた勧誘も増えており、3~4年前は「Webライター」や「動画制作」、ここ2年ほどは「SNS運用代行」「イラスト」、最近では「AI副業」など、「AI」を前面に出した商材が目立つようになっています。(これらのパターンでは、仕事に取り組む前に高額な「スクール」に勧誘し、卒業者が仕事を斡旋してもらえるという仕組みが主です)
さらに、インターネットを通じて契約まで完結する場合は、自分からサイトにアクセスして申し込んだ形になるため、クーリングオフが使えない契約になることがあります。そのため、後になって違和感を覚えても、取り消しが難しく、被害が表に出にくいケースも少なくありません。
■ 複数社が関与する共通の手口
もう一つ特徴的なのが、こうしたビジネスを展開している企業が1社にとどまらない点です。全く同じような商材や勧誘手法を、複数の企業が並行して扱っているケースが確認されています。
今回、消費者庁が公表した事案でも、5社の企業が関与していたことが明らかになりました。ある企業は別の企業と共同で事業を行い、別の企業は単独で、さらに別の企業は複数社と共同して関与していたことが明かされています。
記者がこれまで取材・調査してきた、「簡単に稼げる」とうたう副業ビジネスの事例を踏まえると、同様の手口に関与している企業は、今回公表された5社にとどまらない可能性があると考えます。現在、調査を進めている“別の類似案件”では、あるルートから入手した資料から、30社以上の関与が疑われるケースも浮上しています。
こうしたビジネスの背景には、「会社を使い捨てにすることを前提とした仕組み」が存在しています。特定の人物やグループが全体の筋書きを描き、その手法を複数の会社にフランチャイズのような形で共有しているようです。
実際に実行役となる会社は、当初は説明どおりのサービスを提供しているものの、インターネット上に悪評が広がる影響などから、2~3年ほどで事業をたたむケースも少なくありません。なかには、後半になると費用だけを支払わせ、十分なコンサルティングが行われなくなる事例も存在しています。
■ 「仕事を始めるのにお金が必要」は疑う
こうしたトラブルを避けるためには、いくつか注意すべき点があります。分かりやすいサインの一つが、「仕事をする側」であるにもかかわらず、「契約金」や「高額な初期費用」「スクールへの入会」を求められるケースです。
そして、少しでも不審に感じた場合や、被害に遭った可能性がある場合には、一人で抱え込まず、消費者ホットライン「188(いやや)」に相談することが大切です。一方で、家族や知人には相談しにくいと感じる人もいるでしょう。そうした場合には、最近では生成AIに状況をそのまま入力し、第三者的な視点で意見を求める方法もあります。
記者が実際に複数のAIに今回のような事例を入力してみたところ、いずれも「詐欺の疑いがある」「注意が必要」といった趣旨の回答が返ってきました。最終的な判断をAIに委ねるべきではありませんが、「おかしいかもしれない」と気づくきっかけとしては、一定の効果があるといえそうです。
在宅ワークの求人情報をきっかけに、高額なコンサルティング契約をさせる事業者に関する注意喚起を行いました。https://t.co/WNMynB8HNy
— 消費者庁 (@caa_shohishacho) December 19, 2025
<参考・引用>
消費者庁「在宅ワークの求人情報をきっかけに、高額なコンサルティング契約をさせる事業者に関する注意喚起」
(宮崎美和子)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 宮崎美和子 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025122202.html
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