1文字3ミリ!「麺ハンコ」に込められた、職人の凄まじい技術の画像はこちら >>


 急に麺(ビャンビャン麺)と書くことになったけど、「」の文字が思い出せないことってよくありますよね。そんなときに役立つかもしれないハンコが登場しました。


 島根県松江市にあるハンコ屋「永江印祥堂(ながえいんしょうどう)」の職人が手掛けた「麺ハンコ」がXで話題を集めています。


■ 1文字あたりのサイズは約3ミリ!フォロワーの声を受けて生まれた「麺ハンコ」

 このほど永江印祥堂の公式Xが公開した「麺ハンコ」は丸枠の中に、縦に「麺」と彫り込まれたシンプルなデザイン。ハンコの直径は1円玉よりも小さく、1文字のサイズは約3ミリしかありません。


1文字3ミリ!「麺ハンコ」に込められた、職人の凄まじい技術
1文字3ミリ!「


 「」の字の画数は57画(もしくは58画)もあり、余白に一切制限がない状態でさえ、正しく書くのは困難を極めます。それを3ミリという極小の範囲で、かつ書くのではなく彫るという形で、はっきり「」と読み取れる形に仕上げているのは、まさに職人の技術としか言い表しようがありません。


1文字3ミリ!「麺ハンコ」に込められた、職人の凄まじい技術の画像はこちら >>


 「麺ハンコ」の投稿は2.8万件を超すいいねを集め、引用欄には「よくこれが彫れたなあ」「ずっとながめてたい」「線がつぶれてないのすごすぎる!」などと驚愕するコメントが多数寄せられています。


 ちなみに「麺」は中国・陝西省発祥の麺料理。幅広の平麺が、文字画数の多さと並んで特徴的です。


1文字3ミリ!「麺ハンコ」に込められた、職人の凄まじい技術
文字潰れなし


 これまでも「寿限無」やピカソの名を彫ったものなど、ユニークなハンコを手掛けてきた永江印祥堂。


 今回の麺ハンコについては、Xフォロワーからの「もっと技術が見たい」「次はビャンビャン麺に挑戦してほしい」といった声を受けて「職人の技術そのものを楽しんでいただける題材として面白そう」と感じ、挑戦に至ったとのことです。

■ 肉眼では判別できないレベルの作業に「神経を使いました」

 制作には3人以上の職人が関わり、文字の配置調整、彫刻、仕上げなど工程を分担しながら、まる1日をかけて行われたそうです。


1文字3ミリ!「麺ハンコ」に込められた、職人の凄まじい技術
制作はまる1日かけて行われた


 麺ハンコは、やはり画数が非常に多い点がネック。「文字の潰れを防ぐこと自体が大きな難題でした」とX担当者は話し、全体のバランスを見極めながら、文字の配置や線の強弱を細かく調整していく過程の大変さを明かしてくれました。


 また、ハンコは文字を彫って終わりではなく、紙に美しく印影を出さなくてはなりません。印影はわずかなズレでも潰れてしまうため、押した際の見え方まで考慮した最終調整には特に苦心。肉眼では判別できないレベルの作業を繰り返すことには「神経を使いました」とのことでした。


 麺ハンコの厄介な点は、の字が2つあることではないでしょうか。最初のを片付けても、すぐにまた同じが立ちはだかってくる。考えるだけでも道のりの困難さが伝わってきます。


 その一方でさえ乗り越えてしまえば、あとは麺だけ。麺の字は麺の字で画数が多い方ではありますが、の字と比べれば子どものようなものではないでしょうか。


 どうやらX担当者にも、文字が相対的に簡単に見えてくる感覚はあるようで「この言葉ならではの面白さでもあり、難しさと同時に制作の醍醐味でもあったと感じています」と話してくれました。


 なお、「麺ハンコ」は今回の投稿のためだけに作られた非売品。投稿や成果物を通じて、自社の持つ技術を広めていくことが目的のため、販売はされていません。


 もし直近で「麺」を書かなければならない人がいたら、大人しく暗記した方がよさそうです。


<記事化協力>
永江印祥堂(ながえいんしょうどう)(@nagaeinsyoudou)


(ヨシクラミク)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By YoshikuraMiku | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025122303.html
編集部おすすめ