「春と秋、こんなに短かったっけ?」そんな違和感を覚える人は多いようです。
株式会社大京が12月18日に発表した「住まいのサステナビリティ白書」によると、全国の20代から60代の男女を対象にした調査で、約9割(89.7%)が「春と秋が短く、夏と冬が長くなった」と感じていることが分かりました。
■ 「季節の変化」は、住まい選びの前提条件に
この“二季化”の実感は、単なる季節感の変化にとどまらず、住まい選びにも影響しています。
白書によると、引っ越しや住宅購入を考える際に、82.3%が「酷暑・猛暑などの極端な気温上昇」を災害リスクとして意識していると回答。
台風の大型化や線状降水帯による大雨・洪水も上位に挙がり、「どこに住むか」を考える基準が、気候変動と切り離せなくなっている現状が浮かび上がります。
■ 最新より現実 住まいに求められるのは実用性
では、いま注目されている住まいはどんなものなのか。関心の高いトレンドで最も多かったのは、64.4%の「住む人の声を取り入れた住宅」。次いで、家事のしやすさを意識した「回遊動線のある間取り」63.9%が続きました。
省エネ住宅への関心も59.8%と約6割に達しており、「最新設備」よりも「毎日の暮らしがラクになるか」「光熱費を抑えられるか」といった、生活に直結する視点が重視されているようすがうかがえます。
■ 働き方の変化が、住まいの役割を変えている
働き方の変化も、住まいへの意識を押し上げているようです。調査では、ワークライフバランスを重視する人が約9割に達した一方、在宅・リモートワーク派と通勤派が共存していることが分かりました。
実際に通勤時間と住環境について聞いたところ、「職場やオフィスに近く通勤しやすい住環境」を選んだ人が57.7%と約6割を占めました。一方で、「在宅勤務やリモートワークに適した住環境」を選んだ人も42.3%と、約4割にのぼっています。
家で過ごす時間が増えた人にとっては、住まいは「寝る場所」から「生活と仕事の拠点」へと役割を広げているようです。
■ 住まいの環境が、気分や幸福感を左右する
さらに興味深いのは、住まいと幸福度の関係です。「安全安心・快適さ」「地域とのつながり」「環境への配慮」の3つすべてを重視して住まいを選んでいる人は、現在の生活に対する幸福度が特に高い傾向にありました。
住まいの環境や機能が生活の幸福度に影響すると答えた人は84.8%に上り、「どんな家に住むか」が気分や満足感に直結している実態が見えてきます。
酷暑が当たり前になり、働き方も多様化するなかで、住まいはますます「生活の土台」としての存在感を強めています。省エネや快適性といったキーワードの裏には、「少しでもストレスなく暮らしたい」という生活者の切実な本音が見えてきます。
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By おたくま編集部 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025122504.html
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