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 アメリカ国防総省(ペンタゴン)周辺のピザ屋の混み具合から「世界情勢の異変」を読み取ろうとするXアカウント「Pentagon Pizza Report(@PenPizzaReport)」が、ここ最近やたらと注目を集めています。


 例えば1月7日午後2時頃(アメリカ東部時間)のポストは投稿からわずか10時間ほどで約70万表示を記録。


■ ペンタゴンの動きを知るためにピザ屋を監視する人々

 投稿内容はシンプルで、「ペンタゴン最寄りのピザ屋が通常より混んでいる」「ドミノ・ピザやパパ・ジョンズも同様に平均以上の混雑を記録している」というものでした。


 添付されたのはGoogleマップの「混雑する時間帯」を示すスクリーンショットで、平日の昼過ぎにもかかわらず「A little busy(少し混んでいる)」「Busier than usual(通常より混んでいる)」と表示されている様子が並んでいます。


ペンタゴン周辺のピザ屋が混むと世界が動く? ネットで再燃する“ピザ観測ミーム”
Pentagon Pizza Report(@PenPizzaReport)の投稿


 これだけなら「へぇ、たまたまじゃない?」で終わりそうな話ですが、ネットがざわついたのはその後です。


 この投稿から数時間後の1月7日午後7時前後(日本時間8日午前9時頃)、アメリカ政府が国際的な複数の組織・枠組みからの離脱を発表。


 「ペンタゴン、またピザ頼んでいる=重大案件説が当たっているかも」といった声や、「他の件かもしれない」「トランプ何を考えているんだ」といった声など、半分ネタ、半分本気でこの状況を見守る空気が広がりました。

■ 「ペンタゴン・ピザ理論」は冷戦時代からある都市伝説&ジョーク

 実はこの「ペンタゴンが忙しくなると、周辺のピザ屋も忙しくなる(ペンタゴン・ピザ理論)」という話自体、冷戦時代から語られてきた定番の都市伝説&ジョークです。かつてソビエト連邦の諜報機関が、アメリカの安全保障をめぐる動きを探る手がかりとして、ペンタゴン周辺のピザ店の注文状況を注視していた、そんな逸話に由来するとされていますが、裏付けは取れていません。


 この話が現在のように広まるきっかけとなったのは、1991年のことでした。AP通信が配信し、ロサンゼルス・タイムズ紙などに掲載された記事の中で、ワシントンのピザ店主が語ったとされる逸話です。内容は、湾岸戦争前夜、CIAへの深夜のピザ配達が過去最高を記録した、というものでした。


 当時、この記事は「Slice of Life: Pizza Orders Soar in D.C.(日常の一コマ:ワシントンD.C.でピザの注文が急増)」という見出しで紹介されています。すでにこの時点で、「世界情勢の緊迫度を手早く知りたければ、ペンタゴンやホワイトハウス、CIAへのピザ配達件数を見ればいい」といった冗談交じりの見方が示されていました。


 いずれも背景にあるのは、有事や緊急対応の際、職員が建物内に長時間とどまることで、手早く食べられるピザの注文が増えるのではないか、という推測。こうした考え方を、現代の地図サービスやSNSと結びつけて“観測”という形にしたのが、「Pentagon Pizza Report」という存在なのです。


 そもそも、実際の軍事や外交の意思決定が、ピザ屋の忙しさで分かるほど単純なものではありません。時代とともに働き方も変化しており、現代においては「ピザ屋が混んでいる=世界が動く」はほぼ完全にネタと化しています。オフィスパーティーが開かれる際にもピザは注文されるわけですから。


 それでも「信じてはいけないと分かっているけど、ちょっと見ちゃう」絶妙なラインを突いてくるのが、このアカウントの持ち味。


 地図、数字、時間帯といった一見それっぽいデータに、「ピザ」という妙に平和な題材を組み合わせることで、不安な国際情勢すらミームとして消費しようとする。Pentagon Pizza Reportのバズは、世界が緊張しているからこそ生まれた、インターネット的な“現実逃避”のひとつなのかもしれません。


 「またピザ屋が忙しくなっているぞ」と騒いでいるうちは、まだ余裕がある。そんな安心感すら含めて、今日も人々はペンタゴン周辺のピザ屋を監視しつづけています。


<参考・引用>
Pentagon Pizza Report(@PenPizzaReport)
Newspapers.com「Slice of Life: Pizza Orders Soar in D.C.」


(宮崎美和子)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 宮崎美和子 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2026010807.html
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