毎年、節分の時期になるとニュース等で取り沙汰される「恵方巻の大量廃棄問題」。食品ロスへの関心が高まる中、北海道・釧路市にあるスーパーマーケットの投稿がXで大きな注目を集めました。
「恵方巻の大量廃棄?なにそれ?」そんな強烈な一言と共に、見事に空っぽになった売場の写真を投稿したのは「スーパーあいちょう釧路」。大手チェーンではなく、地域に根ざしたスーパーがいかにして「廃棄ほぼゼロ」を達成したのか。その裏側にある戦略と想いをうかがいました。
2月3日の午後6時には、すでに恵方巻の棚が空になっていたという「あいちょう」。実は同店では数年前から「予約主体」の販売形式に切り替えており、今年の売上の7割は予約分で占められていたそうです。
あらかじめ「当日買えなくても知らないですよ~」とアナウンスし、予約を促すことで製造数をコントロール。当日分の販売も行いましたが、結果として廃棄になったのはわずか「1本」のみだったといいます。
■ 背景には中小スーパーならではの切実な事情 「食品小売業への批判」へのアンサーの意味も
なぜここまで徹底したのか。代表取締役である相澤さんによると、その背景には昨今の労働環境の変化と、中小スーパーならではの切実な事情がありました。
近年の働き方改革などで労働時間や休日日数の管理が厳格化される中、工場を持たない中小スーパーは手作りで対応するため、製造数に限界があります。限られた時間とリソースの中で売上・利益を最大化しなければ、従業員の賃金アップも実現できません。
また、毎年SNSなどで繰り返される「食品小売業への批判」に対する、現場からのアンサーでもあったようです。問題提起を行うだけのネット上の心無い声に対し、「大手も我々中小も、何も考えていないわけではない」「小売業をなめるなよ、という意地もありましたね」と相澤さんは語ります。批判をただ受け止めるのではなく、「結果(完売)」で証明してみせたのです。
■ 無理に追加製造せず 「もうやめやめ!」で終了
当日は平日にもかかわらず、朝から多くの客が訪れました。普段は鮮魚を担当する相澤さんも、この日ばかりは魚の仕事を封印し、ひたすら恵方巻を半分にカットする「マシーン」と化していたのだとか。
そして夕方。まだ売れる可能性はありましたが、現場の判断は「もうやめやめ!」。従業員の疲労を考慮し、無理に追加製造することはせず、商品がなくなった時点で潔く終了したとのことでした。
投稿には「スーパーの鑑」「余さない量を考えて作っていて素晴らしい」と、消費者や同業者から取り組みに対する称賛の声が続々。「売れ残りを恐れて安売り」「売り逃しがないよう大量生産」するのではなく、「従業員を守りつつ、適正な量を売り切る」。このスタイルこそが、これからの恵方巻販売のスタンダードになるのかもしれません。
来年に向けては、今年多かった企業などの大口注文をさらに強化し、製造体制や作り手の育成にも力を入れていくとのこと。「恵方巻の大量廃棄?なにそれ?」と毎年言えるように。北のスーパーの挑戦は続きます。
恵方巻の大量廃棄?
なにそれ? pic.twitter.com/ROvk3aCQBo
— 【釧路の魚くん】スーパーあいちょう釧路 (@ainori_aichou) February 3, 2026
<記事化協力>
【釧路の魚くん】スーパーあいちょう釧路さん(@ainori_aichou)
(山口弘剛)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2026020601.html
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