「あれ、いま令和だよね?」と思わず二度見してしまう、哀愁漂う一枚の写真。高度経済成長期を支えた企業戦士……ではなく、実はこれ、「ユニクロの最新アイテム」を着こなした現代の男性なのです。
写っているのは、Xユーザー・能栄(ノウエ)さん。「気分は昭和30’sサラリーマン」というコメントと共に投稿されたその姿は、1万7000件を超えるいいねを集め、「課長感がすごい」「完璧な着こなし」と絶賛されています。
能栄さんが着用しているのは、ユニクロと英国ブランド・JW ANDERSONのコラボ商品「ジップアップブルゾン」。
昨年は同モデルのベージュを着用して話題になりましたが、今年はあえて「ピンク」をチョイスしています。理由は「当時実際にありそうなカラーで着装してみたかったから」とのこと。
昨年のモデルに比べ、腰ポケットの角度や縫製仕様が簡略化され、よりカジュアルな印象になったというこのブルゾン。現代的なデザインのはずが、能栄さんの手にかかると、またたく間に昭和の商店街や工場で見かけた「ジャンパー」へと変貌してしまうのですから、不思議なものです。
加えて、「場所のチョイスが秀逸」と話題になったロケ地は、名古屋市にある「旧加藤商会ビル」。昭和初期に建てられ、現在も残る登録有形文化財です。
「戦後昭和30年代という設定で撮影するにあたり、戦災を免れ、現在まで残っている建物がないか調べていたところ、ここに辿り着きました」と能栄さん。当日はライブのために名古屋を訪れていたそうですが、その徹底したリサーチ力が写真の説得力を底上げしています。
■ 雰囲気再現に妥協なし こだわり満載のアイテム選び
もちろん、ユニクロのブルゾンを羽織っただけでこの雰囲気が出るわけではありません。そのコーディネートには、並々ならぬこだわりが詰め込まれています。
まず顔周りを印象づける眼鏡は、ネットオークションで入手した当時物のウェリントン型。1960年前後から流行したというセルロイド製フレームが、時代特有の空気を醸し出しています。
また、ボトムスに合わせているのは、深い股上や広い裾口など、1940~50年代の特徴を取り入れて仕立てたというセミオーダーのズボン。胸元を飾るネクタイも1940~50年代頃のもので、現代のものより全長が短く、大剣の幅が太いのが特徴です。
さらに小道具にも一切の妥協はありません。手に提げた鞄は修理して愛用している当時物であり、手元の煙草は、昭和27~43年頃のデザインである「ピース(缶ピース)」の外箱を使用(中身は現行品)するという徹底ぶりです。
配色面では、ブルゾンのピンク色が強いため、ネクタイやズボンは暗めの色でバランスを取り、ファスナーを開けた際には戦前頃のものと推定される「菱形柄のニットベスト」が見えるようにと、あらゆる箇所が計算された着こなしなのです。
■ 最新アイテムであえて「懐かしさ」を纏う 能栄さんなりのファッションの楽しみ方
それにしてもなぜ、あえてこの時代のサラリーマンを再現したのでしょうか。能栄さんは、「敗戦を経て、戦後のファッションが再び彩り豊かなものへと甦っていった点に強い魅力を感じたから」と語ります。
暗い復興期を抜け、アプレゲール(戦後派文化)やブギウギといった文化が生まれ、服装にも自由さが戻ってきた頃。「個人的に、この時代は近現代日本の洋装の集大成ともいえる時期だと感じており、その魅力に惹かれた結果、戦後洋装再現の第一歩として昭和30年代のサラリーマンを選びました」と、こうした時代背景に大きな魅力を感じたようです。
大きな反響について能栄さんは、「今も同じような格好をしている役職の方や、お父さん世代の方を連想したという声が多くありました。そうしたイメージのルーツを辿ると、戦後期に生まれたファッションの流れが現在まで受け継がれていることを感じます」とコメント。
流行は形を変えながら巡るもの。最新のユニクロを着て、あえて「懐かしさ」を纏う。そんなファッションの楽しみ方も、大いに「アリ」なのではないでしょうか。
今年も新たに発売されたユニクロブルゾンを買ってみました。
気分は高度経済成長期、昭和30'sサラリーマン。 pic.twitter.com/cLuFgcseeB
— 能栄(ノウエ) (@Teppou_Katuide) February 12, 2026
<記事化協力>
能栄(ノウエ)さん(@Teppou_Katuide)
(山口弘剛)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2026021802.html
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