クックパッド「レシピスクラップ」炎上で声明発表も……料理家ら...の画像はこちら >>


 他社のSNSやウェブサイト上にあるレシピをアプリ内に取り込んで一元管理できる、クックパッドの新機能「レシピスクラップ」。リリース直後から多くの料理人や料理研究家たちから激しい批判が殺到していた本件について、クックパッドは3月22日午後6時、公式サイトおよび公式Xにて声明を発表しました。


 しかし、その内容が「説明不足」「問題の核心がスルーされている」として、さらなる不信感と困惑を招く事態となっています。


■ 一見すると画期的?「レシピスクラップ」の仕組み

 今回物議を醸している「レシピスクラップ」とは、Instagram、TikTok、X、さらには各種ウェブサイトなどで見つけたお気に入りレシピを読み込み、クックパッドアプリ内の「きろく」に一か所にまとめて保存できるという機能です。


 クックパッド側は、この機能が生まれた背景について「お気に入りのレシピをクックパッドで一元管理できたらいいのに」というユーザーの声に応えたものだと説明。インポートした情報は非公開の個人メモとして扱われ、「アプリ内に元の投稿へのリンクがあるため、新しい流入につながる可能性がある」と、レシピ開発者側へのメリットもアピールしていました。


 たしかに、ユーザーにとっては「お気に入りレシピを一元管理できる」という便利な機能です。しかし、たとえリンクが設けられていたとしても、「新しい流入につながる可能性がある」とするクックパッド側の説明に、料理家たちは猛反発。


 SNSでは「コンテンツのタダ乗りだ」といった指摘や、「アクセス数減少は死活問題になる」といった切実な声も見られます。

■ 「見直しは進める」がサービスは継続の方針

 こうした炎上状態の中、発表された声明「新機能についていただいたご意見と、今後の取り組みについて」にて、クックパッド側は料理家らからの懸念を「真摯に受け止めている」と表明しました。


 本機能については「レシピを公開・再配布するものではない」「元の投稿へのリンクを必ず掲載し、直接アクセスできる形にしている」と、あくまで個人利用のメモ帳であるというスタンスを改めて強調。そのうえで、「いざ作りたい時にあのレシピが見つからない」というユーザーの課題を解決するためであると、機能の正当性を説明しています。


 しかし実態としては、材料や手順といった調理に必要な情報がアプリ内で完結して閲覧できる設計であり、ユーザーが元の投稿へ遷移せずとも料理を再現できてしまう点が、今回の議論の焦点となっています。


 クックパッドは、レシピ発信者への敬意や価値の伝達については「まだ十分ではない部分があると認識している」と非を認め、「いただいたご意見をもとに、機能の仕様も含めた見直しを進めてまいります」とし、専用の意見窓口を設置して「よりよい形を一緒につくっていきたい」と改善を図っていく方針を明かしました。サービス自体の一時停止などは行わず、今のところそのまま継続する構えです。


クックパッド「レシピスクラップ」炎上で声明発表も……料理家らの反発さらに強まる
クックパッドの声明

■ 火に油を注ぐ結果に?料理家たちからはさらなる批判が噴出

 一見すると寄り添うような姿勢を見せた声明ですが、料理家たちからの批判は収まるどころか、むしろ熱を帯びています。その最大の理由は、料理家たちが最も危惧していた「根本的な問題に対する具体的な回答が一切なかった」ためです。


 具体的には大きく2つ。まずは「PV(アクセス数)奪取構造の放置」について。


 クックパッド側は「元の投稿へのリンクを必ず掲載し、投稿者のページへ直接アクセスできる形にしています」と説明していますが、レシピの材料や手順がアプリ内で完結してしまえば、元サイトへ飛ぶユーザーは激減するでしょう。


 そもそも現在のレシピ発信は、SNSや動画サイト上での再生数やアクセス数をもとに広告収益や企業案件へとつながる構造になっています。言い換えれば、「どこで見られるか」がそのまま収益に直結する仕組みです。


 この前提に立てば、たとえリンクが設置されていたとしても、ユーザーの行動がアプリ内で完結してしまう設計である以上、料理家たちの貴重な収入源であるトラフィックが失われるという懸念は避けられません。こうした根本の構造的欠陥について、声明では何ら解決策が示されていません。


 もうひとつは「他人のレシピで課金ビジネス」への説明が不足している点。


 本機能は、無料会員が「週5件まで」であるのに対し、月額550円のプレミアム会員は「無制限」で保存可能です。料理家が開発したコンテンツを利用して、自社の有料会員を促すというマネタイズ手法への批判が殺到していましたが、今回の声明ではこの“有償化の是非”については一切言及がありません。


 利用そのものは無料でも、より多く保存するために課金が必要となる設計である以上、「他者のコンテンツを前提にした収益構造ではないか」という疑問に対する説明が求められていました。

■ 問われる「真摯な対応」の在り方

 「懸念は真摯に受け止める」「一緒に作っていきたい」と言葉を尽くしつつも、具体的な指針を示さず、料理家側の不利益となる仕様を継続したまま意見を求めるだけのクックパッドの態度に、「誠意が感じられない」と落胆の声が広がっています。


 料理レシピの「材料・分量・手順」自体はあくまで“アイデア”とみなされるケースが多く、著作権保護の対象になりにくいとされていますが、プラットフォームとしての利便性を盾に、レシピを生み出す料理家たちを軽視するような構造が広がれば、業界全体への影響は避けられません。


 クックパッドが今後、集まった意見をもとに「仕様の見直し」でどこまで踏み込んだ改善案を出せるのか。その対応に厳しい目が向けられています。


<参考・引用>
クックパッド【公式】(@cookpad_jp)


(山口弘剛)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛‌ | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2026032302.html
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