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 見た目は紙。でも、水に濡らして形を作り、乾かすとカチカチに固まる……そんな“紙らしくない紙”が存在します。その名は「ミスティックペーパー」。


 株式会社オリオンが製造・販売を手がけるこの素材は、折り紙のように手軽に成形できる一方、乾燥後は高い強度を発揮。紙に似た見た目からは想像しにくい、ユニークな特性で注目を集めています。今回は、このミスティックペーパーについて、株式会社オリオンの担当者に話を聞きました。


■ 折る、曲げる、塗る、切る……変幻自在の工作素材「ミスティックペーパー」

 ミスティックペーパーは木材パルプを原材料として作られており、見た目は非常に紙に似ていますが、そのまま触るととても硬い素材です。


濡れるとフニャフニャ→乾くとカチカチ 創作の幅を広げる「ミスティックペーパー」の魅力
濡れるとフニャフニャ→乾くとカチカチ 創作の幅を広げる「ミスティックペーパー」の魅力


 しかし水に浸すことで柔らかくなり、自由に形を変えることが可能に。乾かすと、その形のまま固まります。


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濡らすとフニャフニャ


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 水性や油性塗料による着色も可能で、ハサミやカッターで簡単に切ることもできます。また木工用の接着剤が使え、接着も簡単です。


 折り紙のように動植物の形を作ることができるほか、固くなる性質を活かして小物入れ等の制作も可能。紙ならではの素材感を活かして“ぬい”やフィギュアの衣装、ジオラマに置く自然・工業アイテムなども手軽かつリアルに作ることができます。


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ジオラマの置物


 さらに和紙のように光を通す性質もあるため、ランプシェードにすると非常に美しくなるそうです。


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ランプシェード


 学校教材用に「かたまるのすけ」という規格もあり、こちらは素材自体は同じであるものの子どもたちが扱いやすいサイズになっています。


 子どもの遊びから本格的な造形まで、幅広く活躍するミスティックペーパー。新素材と思いきや、その正体は100年以上の歴史を誇る工業用素材「バルカナイズドファイバー」そのもの。20年以上前に「ファイバークラフト」としてホビー界に登場して以来、プロも愛用する本物の素材として、その唯一無二の特性を受け継いでいるのです。


 長い年月を折り重ねてきたユニークなクラフト用素材「ミスティックペーパー」について、株式会社オリオンの担当者に詳しくお話をうかがってみました。

■ 立体造形だけじゃない!「ミスティックペーパー」の驚きの使い道

――「ミスティックペーパー」はどういったきっかけで誕生したのでしょうか?


 20数年前、工業用素材として優れた特性を持つ「バルカナイズドファイバー」に着目したことが始まりです。


 本来は電気絶縁や研磨ディスクに使われる強靭な素材ですが、「水に濡らすと柔らかくなり、乾くとその形で固まる」という特性が、クラフトや造形の世界で活用できると確信し、製造元である北越東洋ファイバー(当時:北越製紙)、商社、そして弊社の3社でプロジェクトチームを結成してスタートしました。


――そんな昔からあったんですね


 種類豊富なバルカナイズドファイバーの中から、模型・工作にも適した品番(HB-77)を選定し、当時は「ファイバークラフト」の名で展開。その後、造形界隈の皆様の高度な表現力に合わせ、よりその不思議な特性を象徴するため、公募によって「ミスティックペーパー」としてリブランディングを行いました。


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着色も可能


――「ミスティックペーパー」は成形後でも、再び水に濡らすと再成形できるのでしょうか?


 はい。可能です。一度乾燥して固まった後でも、再度水に浸すことで繊維が緩み、再び成形し直すことができます。


 この「何度でもやり直せる」「造形を追い込める」点が、モデラーの皆様に支持されている大きな理由の一つです。


――さまざまな可能性を秘めた素材だと感じているのですが、立体造形以外の活用方法はあるのでしょうか?


 同じ素材を用いた教材用製品「エイサーくんjr.」があります。素材の強靭さが和太鼓の革の役割を果たし、打楽器として成立するほどのしっかりとした音が出ます。実際に小学校の授業で作られ、運動会の演武でも使用されています。


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エイサーくんjr.


――太鼓としても使えるとは……!ユーザー発信などで、御社で想定していなかった活用方法などはありますか?
 SNSでは「可動フィギュアの関節パーツの補強」や、極薄く削り出して「革製品のような質感の表現」に使われている事例を拝見しております。この素材の可能性に改めて驚かされております。


――ユーザーからはどういった反応が出ているのでしょうか?


 「紙だと思って触ったら、乾燥後の強度がプラスチック並みで驚いた」「この固まり方は何か樹脂などを入れているのかと思ったけど、100%紙(木材パルプ)であることに驚いている」「粘土のように盛るのではなく、シートから三次元が作れるのが新鮮」、といった驚きの声を多くいただいております。


 特にXでの盛り上がりは、100年以上の歴史を持つこの素材のポテンシャルを現在のクリエイター様が再発見してくださった形となり、メーカー担当者共々、大変刺激を受けております。


* * *


 折る、切る、塗る、包む、曲げる……変幻自在に形を変え、工作の可能性を大きく広げてくれるミスティックペーパー。


 サイズは「大判 1枚 1350×1000」、「680角 1枚入りパック 680×680」「A4サイズ 3枚入りパック 297×210」の3種類が用意されています。


 5月13日から17日まで(一般公開日:16日、17日)開催される「第64回静岡ホビーショー」への出展も予定しており、当日は製品販売やお試しコーナーも用意しているとのことです。


<記事化協力>
株式会社オリオン公式X(@orionwirgman)
株式会社オリオン公式サイト(k-orion.co.jp)


(ヨシクラミク)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By ヨシクラ ミク | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2026033001.html
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