65歳と言えば、定年して第2の人生を過ごす時期。新しく職に就く人もいれば、今まで我慢していた趣味に没頭する人も少なくないかもしれません。その65歳にして事業転換を図り、熱い情熱で福島にハワイを作ったとある男の実話をもとに作り上げたアニメーションがサントリー「BOSS」より公開されました。


 その男の名前は、石炭の採掘会社である常磐炭礦の副社長、中村豊。炭鉱業が斜陽化する1960年に、会社を救い社員の生活を守るべく立ち上がった中村氏が、掘れば掘るほど溢れてくる温泉を逆手にとり、“炭鉱から観光へ”をキーワードに驚くべき事業転換を果たした姿が描かれています。


 この時代は、石炭製品から石油製品への転換期であり、炭鉱も次々と閉山していく頃。採掘できる石炭は減り、練炭や豆炭といった石炭製品も下火に。常磐炭礦も例にもれず、苦しい状況に立たされていました。石炭を採掘するはずが湧き出る温泉。そこに目を付けて、思い切ったかじ取りをした中村氏。ハワイは当時、庶民の憧れの観光地であり、高嶺の花。沸き上がる温泉を生かし、そのハワイを東北に作ってしまう計画には会議に出席した一同が戸惑い、自信が持てずに声すらあげられませんでした。「誰も意見がないという事は、全員賛成という事かな」と会議をまとめる中村氏。


 当時のハワイのイメージと言えば、常夏の島で色とりどりの花で作られたレイと、フラガールたち。そのフラガールも東京から呼び寄せず、地元の炭鉱人の血を受け継ぎ育ってきた人たちが踊る事に炭鉱の精神が生きる、と中村氏は断言し、地元の炭鉱人たちによる、東北のハワイが生まれたのでした。