最強の暗記アプリ「Anki」をご存じでしょうか。暗記といえば、たとえば「ノートに英単語とその意味を手で書き、赤いシートで答えを隠しながら復唱する」という方法を思い浮かべる方も多いでしょう。
そうした学習方法と一線を画すのが、このAnkiです。たとえば、Z世代の大学生は大学のオンライン講義を受けながら、授業のスライドや教科書の内容をAnkiにどんどん入力し、テスト前にはAnkiで学習し直すことが多いそうです。
そんなZ世代の学習に欠かせないツールになりつつある「Anki」はどれほど凄いのか、30代後半にさしかかる筆者が試してみました。
Ankiは「忘れそうになったときに問題を出す」最強の単語帳
「ノートに英単語とその意味を手で書き、赤いシートで答えを隠しながら復唱する」と一線を画す「Anki」。その最大の特徴は、忘れそうになったタイミングで問題を出す「間隔反復法」を採用している点です。
Ankiではユーザーが問題に答えた際の難易度評価を基に、次の復習タイミングを自動的に調整します。たとえば、簡単に答えられた問題は復習間隔が長くなり、難しかった問題はより頻繁に出題されます。
つまり、ユーザーにとって問題の復習頻度は常に調整されており、効果的な復習が可能です。
ノートに手で書いて覚える学習方法だと、良くも悪くも「簡単な問題」と「難しい問題」を同じペースで復習し直すことが多いでしょう。しかし、難しい問題ほど反復学習の機会が多いAnkiでは、より効率的な学習ができると言えます。
参考書の「テキストの場所」や「見た目」で覚えるのが通用しない完全暗記向け!
参考書での復習では「この情報はページの左上にあった」「この部分は赤字で書かれていた」といったテキストの位置を無意識のうちに記憶しがちです。
しかし、Ankiでは「難しい問題は頻繁に出題される」「簡単な問題は再出題までの間隔が空く」というアルゴリズムに沿って出題されるため、「この情報はページの左上にあった」というような学習の仕方はあまり通用しません。
純粋に内容そのものを暗記する必要があり、「完全暗記」を目指したい方におすすめです。
Ankiのダウンロード方法は?
AnkiはPC向けアプリとスマホ向けアプリがあります。なお、iOS向けのアプリは3,500円のため注意しましょう。
まずは、公式サイトにアクセスします。

【1】Windows か Mac を選択し、①ダウンロードボタンをクリックしましょう

【2】ダウンロードしたインストーラーを実行し、②「Install」をクリックします

【3】インストールが完了したら③「Close」をクリックしましょう
Ankiで使うカードを実際に作ってみよう!
Ankiの利用には、自分に合ったカードの作成が必須。たとえばオンラインの大学の講座などを受けるならば、その講座を受けながら授業を繰り返し視聴して、その講座内容をAnkiのカードに起こしていくとよいでしょう。

そのうえでカードには主に2通りあります。
裏表カード
裏表カードは、最も基本的なカードタイプです。表面に質問や単語、裏面に答えや定義を記入します。

【1】①「追加」をクリックして新規カードを作成します

【2】②「デッキ」をクリックし、③カードを作成したいデッキを選択し、④「選択」をクリックします。デッキとはお部屋のようなもので、科目ごとに分けてグループ分けを行うことが可能です。新たにデッキを作成したい場合は「追加」から登録しましょう

【3】⑤「表面」と「裏面」に質問と解答を記載します。完了したら⑥「追加」をクリック。これでカードの作成は完了です

【4】デッキに戻ってみるとカードが1枚追加されていることが確認できます。学習したい場合には、⑦「学習開始」をクリックします

【5】先ほど登録した「表面」が表示され、⑧「解答を表示」をクリックすると「裏面」が表示されます
穴埋めカード
穴埋めカードは、文章の一部を空欄にしたカードです。表面に穴埋め問題、裏面に完全な文章を記入します。

【1】①「追加」をクリックします

【2】続いて、②ノートタイプの項目をクリックします。

【3】表面に問題を入力したら、⑤穴埋めにしたいところを選択し、⑥[…]をクリックします

【4】すると画像のようなタグが入力されました

【5】次に穴埋めにする単語のすぐ後に、⑦コロンをふたつ「::」+ヒントを入力しておきます。完了したら⑧「追加」をクリックします。以上でカードの登録は完了です

【6】登録したヒントは画像のように表示されます
実際にカード作成を行ってみたところ、正直、操作に慣れるまでは「カードを作る手間」自体にやや時間がかかってしまいました。
たとえば「英単語」や「英文」などのカードは操作に慣れると簡単に作れたのですが、「データベース」などのIT関連の知識では、カードの内容をどう裏表カードや穴埋め問題に落とし込むかを考えるのに時間がかかってしまいました。
一方で、カードの内容を考える工程自体で頭を使い、記憶が定着する感覚があり、これはこれでAnkiの良い使い方なのかもしれません。
・カードを作る工程で頭を使って記憶が定着する
・カードで繰り返し復習することでさらに記憶が定着する
という複数段階で記憶が定着していくのが、Ankiの本当の良さなのかもしれないと思います。
「詰め込み学習」や「一夜漬け」には意味がないので要注意!
Ankiは、あくまで長期的な記憶の定着を目指すアプリです。そのため、詰め込み学習や一夜漬けには向いていません。短期間で大量の情報を覚えようとするならば、Ankiを使う意味はほぼありません。
たとえば、「明日までに覚えなくてはいけないこと」などは手で書いたり、口に出したり、手を実際に動かすなどして覚える方がはるかに早いでしょう。それだけ差し迫った状況では、アプリをインストールする時間やカードを作る時間がもったいないはずです。
実際、筆者自身もある程度充実したカードを作るにはそれなりに時間を要しました(※慣れればもっと早く作れるとは思います)。
一方で、資格勉強など、少なくとも数カ月程度の時間の余裕があるような学習であればかなり効果的です。
Ankiは、長期記憶を定着させるために、時間をかけて繰り返し学習し続けるのに向いているアプリと言えます。
Ankiを「最強暗記アプリ」にするには、継続的な利用が不可欠です。毎日コツコツ学習して、確実に知識を蓄えるという使い方をおすすめします。
By OTONA LIFE