JR東日本の「Suica」は日本全国で使用できます。しかし、Suicaには利用エリアが設定されており、Suicaで列車に乗って日本中どこにでも行けるわけではないのをご存知でしょうか? そこで今回はSuicaでJR「東京駅」から行ける“限界駅”やSuicaが使えない“境界駅”を紹介しましょう。
Suicaで列車に乗ったら行ける範囲は限定されている!
実は、Suicaに限らず交通系ICカードの利用範囲は、日本全国で大きく14のエリアに分けられています。つまり、Suicaで駅の自動改札内に入った場合、そのエリア内なら移動先の駅でもSuicaで改札を出ることができますが、ほかのエリアをまたいで移動することはできないんですね。
こちらがSuicaなどの交通系ICカードが利用できるエリア。Suicaは日本全国で利用可能ですが、囲まれたエリアとエリア間をまたいでの移動はできません(画像はJR東海公式サイトから引用)
このことは鉄道ファンなら常識になっていますが、一般的にはあまり知られていないので、今回は東京駅から改札内に入った場合、特急券等が不要な鈍行でどこまでSuicaで行けるのか、その「限界駅」を紹介しましょう。
また、Suicaに対応していない路線を乗り換えてしまったせいで、Suicaで改札を出られない「境界駅」もありますので、こちらについても紹介します。

今回はJR「東京駅」からSuicaで改札を入って、どこまで行けるのかを紹介します。果たしてどの駅が限界になるのでしょうか?(筆者撮影)
東京駅から北側の限界駅は「浪江駅」「水上駅」「黒磯駅」など
まず、JR「東京駅」からSuicaで行ける北側のもっとも遠い限界駅はJR常磐線の「浪江駅」(福島県)になります。東京駅から浪江駅までの移動距離は274.4kmもあり、乗車時間は鈍行なら5時間弱かかります。乗車料金は4,840円になりますが、ここまでならSuicaで行くことができるんですね。

JR「東京駅」からSuicaで改札を通り、JR常磐線「浪江駅」まで鈍行で行くには5時間弱かかりますが、この距離でもSuicaで乗車することは可能です(画像はphoACより引用)
ちなみに、JR東北本線の限界駅は「黒磯駅」(栃木県)で、移動距離は163.6kmとなります。鈍行の乗車時間は3時間20分程度、乗車料金は3,080円です。

こちらがJR東北本線の「黒磯駅」。かつては特急が行き交っていた大きな駅ですが、新幹線ができたため現在は使われなくなった場所も多く寂しい感じに……(筆者撮影)
また、JR上越線では「水上駅」(群馬県)が限界駅となっています。移動距離は164.3キロで鈍行での乗車時間は3時間程度。

こちらがJR上越線の「水上駅」です。群馬県の端っこの駅ですが、Suicaに対応しています。ここは青春18きっぷ期間になると旅行者で混雑することでも有名ですね(筆者撮影)
OTONA LIFE | オトナライフ貯まった「JREポイント」みんなはどうやって消化している? 少しマニアックな使い方も!https://otona-life.com/money/236651/JR東日本のポイントサービス「JREポイント」は、Suicaでの乗車や定期券購入、あるいはビューカードを利用するたびにどんどん貯まっていきますよね。でも、貯まったJREポイントって、みんなどうやって使っているのでしょうか? そこで今回は、ガチ乗り鉄の筆者が貯まったJR...東京駅から西側の限界駅はJR中央本線の「松本駅」
次に、Suicaで東京駅から行ける西側の限界駅を紹介しましょう。それはJR中央本線の「松本駅」(長野県)です。東京駅から松本駅までは移動距離235.4km。乗車時間は鈍行で4時間半程度かかり、乗車料金は4,070円となっています。
JR中央本線「松本駅」では松本電鉄の上高地線へ乗り換えられますが、松本電鉄はすべての交通系ICカードに非対応。なお、写真は元京王線の3000系という車両です(筆者撮影)
ちなみに、東京駅からJR中央本線の「甲府駅」まではSuicaで行けますが、JR身延線がJR東海エリアとなるうえに交通系ICカードでの乗り換えもできないため、「甲府駅」がSuicaの境界駅となります。
こちらはJR中央本線の「甲府駅」にある「かふふ来の鐘」。旧甲府駅の釣鐘で、かつて甲府駅に吊り下げられていました。戦後、甲府駅構内が火事になったとき、この鐘を連打して大事に至らなかったそうです(筆者撮影)
ほかにも、JR中央本線「塩尻駅」ではJR中央西線に乗り換えられますが、ここはJR東海エリアになるため、Suicaで乗り換えることができない境界駅となります。
南西側の限界駅は「熱海駅」や「国府津駅」
南西側の限界駅はJR東海道本線の「熱海駅」になります。東京駅から熱海駅までの移動距離は104.6km。乗車時間は2時間程度で乗車料金は1,980円です。
熱海駅まではJR東日本エリアですがその先はJR東海エリアになるため、Suicaで乗車したまま通過することはできないんですね。しかも、東京駅からは沼津行きの普通列車も走っているため、沼津に向かう人がSuicaで乗車して、うっかり熱海駅を超えてしまう場合もあるようです。
東京駅からSuicaで乗車して熱海駅まで来てしまった場合は、一旦熱海駅で改札を出て再度Suicaで改札に入り直しましょう。もし、熱海駅を通過してしまった場合は、沼津駅の有人窓口で精算するしかありません。
また、JR東海道本線「国府津駅」は境界駅となっています。これは国府津駅から乗り換えることができるJR御殿場線がJR東海エリアとなっているから。ただし、「国府津駅」はJR東海エリアのSuicaに対応しているので、Suicaで改札を出てそのままSuicaで入り直せば、JR御殿場線に乗ることができます。御殿場プレミアム・アウトレットなどに行く際には注意しましょう。
(Image:RBagusdiani / Shutterstock.com)JR「御殿場駅」はSuica対応駅ですが、JR東海エリアになるので、東京駅からSuicaで行くと、自動改札で出ることができず窓口での精算が必要となります
境界駅はほかにもたくさんある!
ほかにも特定の路線でSuicaが対応しておらず、「境界駅」となっている駅があります。
まず紹介するのがJR烏山線です。
全国的にも珍しい充電式の車両が採用されているJR烏山線ですが、実は交通系ICカードに非対応です(筆者撮影)
次の境界駅はJR常磐線「水戸駅」です。「水戸駅」からは、郡山駅と水戸駅を結ぶJR水郡線に乗り換えられるのですが、水郡線は一部の駅しかSuicaに対応していません。そのため、乗り換える際にはきっぷを購入してから乗り換えたほうが無難です。
こちらがJR「郡山駅」の水郡線ホーム。水郡線は全線非電化路線で、Suicaに対応しているのは上菅谷駅、常陸大宮駅、常陸大子駅、常陸太田駅の4駅のみです(筆者撮影)
JRでいちばん海抜が高い駅があることで知られるJR小海線も、一部しかSuicaには対応していません。そのため、小海線に乗り換えられるJR「小淵沢駅」も境界駅となります。ほかにもJR吾妻線の乗り換え駅となる「渋川駅」やJR久留里線への乗り換え駅「木更津駅」なども境界駅です。
最後に紹介するJR鹿島線「鹿島サッカースタジアム駅」は少し特殊な駅。鹿島サッカースタジアム駅は鹿島臨海鉄道の境界駅となるため、Suicaで自動改札を出ることが可能です。しかし、鹿島サッカースタジアム駅はカシマサッカースタジアムでイベントなどが行われるときにしか営業されない、ほぼ”臨時駅”。
その場合は、ひとつ手前の「鹿島神宮駅」が境界駅となるので、この路線を使う際には注意が必要になるでしょう。
まとめ
いかがでしょうか? 今回はJR「東京駅」を起点にしてSuicaでどこまで行けるのか、限界駅や境界駅を紹介しました。とくに、東京から沼津に行く列車では車内でアナウンスがあるにも関わらず、Suicaで乗車した人たちが「沼津駅」の窓口で精算している姿をよく見かけます。
また、関東近県でもSuicaに未対応の路線があるので、路線を乗り換えるときは注意が必要でしょう。もし、東京から少し離れた場所に遊びに行くときは、無理にSuicaで乗車せず目的地までのきっぷを買っておいたほうが無難ですね。
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