特殊詐欺やフィッシング詐欺はなくならない中、最近では警察の名を語る詐欺電話が増えているようだが、実際、トビラシステムズ(名古屋市)が毎月公開しているレポートでもそうした詐欺が増えている様子。今回は2025年6月に同社の調査で確認された詐欺電話や詐欺SMSに関する独自調査レポートを公開した。
それによると、今年6月に新たにトビラシステムズの迷惑電話番号データベースに登録された番号の種別割合は、国際電話番号が63.4%(前月比+5.7%)で前月から増加した。着信件数が多かった国際電話の国番号では、上位からアメリカ合衆国やカナダなどの北米地域(+1)、中国(+86)、フィリピン(+63)、カンボジア(+855)、国際ネットワーク(+883)の電話番号を悪用し、警察、総務省、通信事業者などをかたる詐欺が引き続き多いという。中でも、北米地域の番号を使い、成田国際空港警察署遺失物センターをかたり「あなたの名前が記載された遺失物がある」などの自動音声ガイダンスが流れる不審な電話が発生した。
6月のフィッシング詐欺のSMSの種別割合は、宅配事業者をかたる手口が41.8%、金融・決済サービスをかたる手口が38.3%となった。実在する企業やブランドをかたる詐欺SMSについては、「国税庁」をかたるSMSが急増した。宅配事業者をかたるSMSでは、これまで文面に企業やブランドの名称を記載しない汎用的な手口が大半を占めていたものの、6月に入り「佐川急便」をかたるSMSが急増したという。
他方、警察官等をかたり捜査名目で現金をだまし取る「ニセ警察詐欺」の拡大により、幅広い世代で被害が発生している。警察庁の発表によると、2025年5月時点の被害額は316億円で、特殊詐欺全体の被害額の約64%を占めた。ニセ警察詐欺の手口としては、架電からメッセージアプリまでの誘導パターンが多様化している。ニセ警察官から直接電話がかかってくる事例のほか、最初に事業者や官公庁をかたる人物が登場した後、「問題に対処するため警察につなぐ」などの名目でニセ警察官に電話を転送する“劇場型”の事例も発生しているので、くれぐれも注意しよう。