紙の本に愛着があるという人の多くが、その理由の一つに挙げるのが、本の手触り。表紙の色合いやページをめくるときの質感は、読書の楽しみの一つだろう。

オールジャンルの雑誌『スピン/spin』(河出書房新社、税込み330円)の表紙の紙はちょっと特別。9月26日(金)発売予定の第13号は、柔らかな光沢をたたえた「きらびき」だ。

 和紙を装飾する技法「雲母引(きらび)き」に着想を得てつくられた輝き。ポール・コックスさんの絵と共にこの表紙を飾るのは、作家の山尾悠子さんの「ことば」。世界への根源的な問いと、幻想的な黄色のイチョウの葉が織りなすコラボは、紙の本ならでは。目次は堅いツルッとした手触りと地模様が特徴のファインペーパー「MLファイバー」で、大理石のような風合いを楽しめる。表紙と目次の紙は、紙の専門商社の協力で、現在庫限りとなった紙や新しい紙など、毎号違う「紙」を使用しているという。

 今号から創業140周年特別企画「140人・140冊・この1文」もスタート。選者がそれぞれの「河出の1 冊」をセレクト。作中の「この1文」、作品への思いが込められた「コメント」と、デザイナーの寄藤文平さんによる描き下ろしイラスト「ふくろうさん」とともに発表する。

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