就職してようやく新たな一歩を踏み出すスタートラインに立ったものの、初月給からすでに奨学金という重い“借金”の返済が始まるという人は少なくない。貸与型の奨学金制度が多い日本のこの状態を少しでも改善しようと、新潟市の企業が社員の奨学金を肩代わりする返済代行制度をスタートした。

少子化の時代に、企業ができる最も直接的な支援をしながら、離職防止にもなるという一石二鳥の挑戦だ。

 この企業は、業務システムの設計や開発を担うオーエムネットワーク(新潟市)。制度は入社3年目以上の社員を対象に、奨学金を会社が直接返済するというもの。増税・物価高で実質手取りが目減りしがちな時代に、家計の固定費そのものを毎月軽くすることが目的だ。立て替えや清算の事務負担や心理的負担を減らし、社員には「生活の安心」、会社には「辞めない理由」を生み、学び直しや地域定着の背中を押す。

 入社3年目という“フェーズ特化”は、責任範囲が増え、人生の意思決定が濃くなる時期にピンポイントで効かせるというのが理由。実際この制度の恩恵を得ているエンジニア(入社3年目)は、「奨学金の返済を気にせずに済むようになったことで、経済的なプレッシャーから解放され、業務に全力で取り組めています。私は地方で活動していますが、制度のおかげで生活や将来への不安を抑えつつ、最前線の技術やプロジェクトに挑戦できる環境が整いました。安心して学び直しやスキルアップに時間を投資できるので、キャリアの選択肢も大きく広がっていると感じます」としている。

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